春

デューン 砂の惑星PART2の春のレビュー・感想・評価

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)
4.5
IMAXにて鑑賞。流石にIMAXが真価を発揮する作品だと思う。アスペクト比もそうだけど単純にこれは是非デカい画面で観たい。見上げたい。

もはやSFの巨匠となったドゥニちゃんが満を持して難関であるDUNEを映画化したのが前作で、個人的にはとても高く評価していたのだが、新作が公開されたタイミングで復習として改めて家のディスプレイで観るととてつもなく内容が薄く、ストーリーとしては本当に設定の紹介くらいの要素しかなかったと気付いた。高評価なのは変わらないが。

ではその続編となる今作はどうだったのかと言うと、ストーリーは前作より色濃くなり、映像は映画の天井まで登り詰めていた。つまりちゃんと前作の正統進化であると。
一応話の決着は着くし、話としての面白さがある。
そのお話はなんとも絶妙な塩梅というか、言わば古典的な白人酋長モノみたいな話にメスを入れるように現代的解釈を踏まえた描き方をしているから、某アバターみたいなイヤらしさはほとんどない。しかしそれと同時に結果として分かりやすいエンタメ性も削がれている(前作からしてなかったが)。つまりモヤっとしつつ終わる。

輪をかけてティモシー・シャラメが物凄く、あの悪魔的な演説のシーンで自分も乗せられてリーサンアルガイブ!って叫びそうになるがそこで必ずチャニによる批判的な目が挿入され、この話の危うさを常に俯瞰させられる。

ただよくよく考えると明らかに説明不足だし、面白いお話の要件を満たしているようには全然思えないのが不思議なところで、それでも面白いのが更に不思議なところ。やはりこの作品のなかで映像の占めるウェイトが多いのが原因だろうか。

その映像に関して、
part1、2どちらもほぼ一つの星の中で描かれるため正直ルックの目新しさや衝撃は前作を超えることはなかったが、冒頭で戦闘員が浮いたり落ちたりするところなんか物凄いし、サンドワーム登場シーンは迫力の鬼。
そんな今作の映像で一番興奮したのはジエディ・プライム内のシークエンスだった。太陽が黒いからモノクロになるという設定のもと暫くモロクロパートになるのだが、白と黒の明暗が気持ち良すぎてどうにかなってしまう。
目新しさ爆発で本当に良かった。あのキモ花火の発想とか最高すぎると思ったら皆言ってて安心。SFとはかくあるべしと心から思う。
フェイドラウサのキャラクター造形も素晴らしくて、役割に対して登場シーンが多くないのが悔やまれる。

ただ僕は映画の宇宙船描写に欲情するタイプだから今作に宇宙船シーンがほとんどないのは残念だった。


売り方に反してかなり人を選ぶシリーズだとは思うけど、依然僕は好き。
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