Nyayoi

カッコーの巣の上でのNyayoiのレビュー・感想・評価

カッコーの巣の上で(1975年製作の映画)
4.0
医療者なもので、どうしても医療者目線になってしまった。
こう言った場所で働くには、全体を客観視してある程度の割り切りもないと難しい。最初、看護婦長は優秀で職務を全うしようとしているように見えた。

主人公マクマフィーは狡賢さと頭の良さを持って皆を騙そうとしていた。精神病院の中での問題に反発して患者たちの意欲を引き出そうとしたのは確かだ。ただ、これだけ問題を起こす患者を放置はできない。病院を抜け出して好きなことをされては、病院の管理責任が問われてしまう世の中だ。

刑務所に帰せ、という意見に対して看護婦長は「どこに移しても他人に問題を押し付けるだけで不本意」。真剣にこの仕事の責任を持ちたいという人なんだと思った。病院の人々を責めたら、誰がこう言ったところの責任を持つのか、という矛盾に常に繋がってくる。

しかし、マクマフィーもやりすぎた。婦長も静かに「キレた」て行き過ぎた。若いビリーに対しての対応は明らかに間違ってしまった。
その後の展開は恐ろしいものだ・・。

聾唖を装っていたチーフがストーリーにスパイスを効かせ軸になっていく。最後の余韻は凄い。ジャック・ニコルソンの演技は絶品だ。

自由と束縛、どこから切り離せるのか、正解はないのだろう。
精神病院と患者という関係は現代社会においても時に見られること。人間の尊厳とは、正常と異常とはなんなのだろう。
さすが、いろいろと考えさせられる作品。
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