ここまでラストで持ってかれる作品は初めて!
型にハマった冷たい精神病院での日々のシーンはそこまで盛り上がりもなく淡々と進み、どこかモヤモヤしてスッキリしない感覚が続いていた。それがラストでやっとはっきりとした輪郭となって浮かび上がる。
そして感情となって湧き上がる。
人間に上下をつけた支配システムの中では人間としての尊厳など全て失われる。
そして服従しない者に対する最終手段がロボトミーなんて…
考えられない。
耳も聞こえず喋れないを装ったチーフも、あくまでも人間らしく立ち向かったマクマーフィも対照的ではあるが根っこの部分は同じ。
マクマーフィーの人間くささと前歯剥き出しの屈託のない笑顔も全てが切なくて、無念さを感じて止まない。ラストを知ったうえでもう一度観かえしてみたいと思った。
ジャック・ニコルソンの演技の素晴らしさ、名作と言われる所以がわかる気がした。