せっち

もっと超越した所へ。のせっちのレビュー・感想・評価

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)
3.8
文字通り「超越」してて色々凄かった。序盤は4組の男女の日常が代わりがわり映し出される。たしかに相手の家に転がり込んでたり自分勝手な節が見え隠れするけど、それでも女側も楽しそうで特に問題はなさそうに見える。

中盤時間が飛び、ホワイトデーのそれぞれのやり取りから雲行きが怪しくなる。すると今度は2年巻き戻るわけだが、ここでようやく本作がこの4組である理由が明かされ、こいつらのクズ男っぷりがこれでもかと描かれるのである。そう思うと2年経って皆落ち着いたな?と思うのも束の間、時は現在に戻り、女側はそれぞれ抱えていた不満を爆発させ男にぶつけ、男側も本性を曝け出す。救いようのない地獄絵図…ここでの前田敦子が想像を遥かに超える演技で素晴らしかった。

最終的に男たちは気圧され涙し、女たちの「出てって!」で追い出されるシーンはスカッとした。そしてそれぞれ元の日常に戻る…かと思いきやここからが超越。舞台畑の脚本ということでなるほど、クライマックスの演出は突然舞台に切り替わるメタ展開。

恋は妥協が大事、自分たちの様な人間はそこに小さな幸せを見つけないと、と問い聞かせるのだが、それはいいのか悪いのか…何にせよ、女側も考えを変えないと同じことの繰り返しになるので変化は必要である。そんな感じで凄いラストを見た。
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