まずは俳優全員の演技が素晴らしい。
長回しという技法に溺れることなく、それぞれのスライス・オブ・ライフを見せてもらえた。
長回しって「長回し撮影を頑張ってる俳優たちを見せられるだけ」のことも多い。
俳優の頑張りを愛せる映画であればそういう魅力のある映画として良いんだけれども。
やはり映画は物語や演技に感動するものであってほしいなと思う。
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その点でこの映画は「長回し頑張ったオレら凄いっしょ」に陥っていないどころか、エンタメ映画の王道の展開さえも無視した、とても意欲的で珍しい作品となっているとおもいますよ。
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監督が元料理人とのこと。
レストランの裏側のリアリティが半端ない。
これがレストランのの裏側なの??だったらやだなぁ、、と思うリアリティ。。
登場人物たちはそれぞれ個性的な要素(人種、セクシャリティなど)を持った人物になっていて、
監督はその要素についてすごくリサーチして作ったとのことです。
黒人女性が人種差別に遭うシーンがありますが、
それも演じる黒人女優さんと4時間ものインタビューをする中でキャッチしたいう、とてもリアルな差別描写でした。
はっきりと「差別だ!」と言える言動ではなく、ぬるぬるとじわじわとした差別。
差別を受けたと騒ぐ方が悪者にされるような微妙な差別。汚い。
下手したらこの映画を見ても「人種差別描写なんてなかった(あの黒人ウェストレスにも責任がある)」と言えちゃう人もいるかも。
あぁ嫌だ嫌だ。
しかし映画の描写としては最高。
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ネタバレはコメント欄に。