たむたむ

ボイリング・ポイント/沸騰のたむたむのレビュー・感想・評価

3.9
【我慢の限界点】
1年で最も忙しいクリスマス前夜の金曜日を迎えた、ロンドンのとある高級レストランの戦場と化す厨房舞台裏を、全編長回しで綴るドラマ。

料理系作品とは余り相性が良く無いのですが、ずっと気になっていた作品なので観てみることに。

とある客の存在で展開自体は読めちゃいましたが、これはマジで凄い。。観て良かった。
ノー編集・ノーCGによる、正真正銘のワンカット。たぶんアドリブで繋いでいる部分も多いんだろうけど、それも凄いし、ワンカットだからこその臨場感と緊迫感は、ドキュメンタリーさながら。

そんな奇跡のような映画を作り上げた新鋭、フィリップ・バランティーニ監督は、自身も12年間シェフとして働いたことがある経歴の持ち主だそうで、さすがのリアリティー。どうやら、ラストの展開も自身の過去を反映しているとか…

家庭不和によって仕事に集中できないシェフのアンディ、そんなアンディに不満を募らせるスーシェフのカーリー、支配人のエミリーは混雑する店を回すためスタッフに高圧的になり、客から人種差別を受け傷付くウェイトレスなど…登場人物個々の描き方は浅いけど、群像劇としても秀逸。

高級レストランのスタッフだって、1人の人間。日々、不満や悩み、不安を抱えながらも、常に美味しい料理を最高のホスピタリティで提供してくれているのだと、改めて実感しました。

私も年に何度かこういった店を利用しますが、次回から来店時の意識が変わりそう。。( ˘-˘ )
たむたむ

たむたむ