ユウサク

ウーマン・トーキング 私たちの選択のユウサクのレビュー・感想・評価

3.8
テーマはもちろんのこと、全編8Kデジタルカメラで撮影、ウルトラパナビジョン規格を模したレンズ、2.76:1とシネスコよりもさらに横長のアスペクト比という点に非常に惹かれてずっと気になっていた。

実際の映写は下の黒縁より上の黒縁の方が太かったけどあれは映写ミス?
そしてもしかしてDCPは2K……?2K上映のスクリーンではあったけど終始ピントが合ってないような精彩感の無い映像で4Kマスターとは思えなかった。意図的なのか映写なのかはわからないけども。あれで全編8K撮影なのか。

終始彩度を極端に落とした映像で会話劇が続くため前半は何度か10秒くらい寝落ち……。やっぱり会話劇苦手だな、舞台っぽいやつだと尚更。話の肝ではないのかもしれないけど誰と誰が家族なのかも最初わからなくて混乱する。舞台設定とかを省略してるのか説明が端的過ぎたのかすら認識できないくらいいきなり本題に入るからメノナイトのことは知っていてもどうして現時点で村に男が一人もいないのかとかタイムリミットはいつなのかとかがわからず(あとでインタビューとかを見て知った)そこも頭が疲れた。サスペンス要素が重要ではないし正解のない会合だから宙に浮いた感じがするのも意図的なのかもしれない。でもそういう語り口が自分の身体のコンディションととても相性が悪かった……。

また直接の暴力表現はないけどその結果はかなり痛々しく映像化しているし見せ方もかなりショッキングなのでこれはどうなんだろうな……と思ったけど、でもあれが無ければ暴力性が伝わらない?でもフラッシュバックを起こしうるという点では同じでは……とか考え込んだ。何か他にやり方あるだろうか。
あと事実に即しているのでしょうがないんだけどこの会合に有色人種も混ざっていればな……と思ってしまった。物語に人種のことを混ぜるのは無理でもただキャストとしていてもらうことは出来なかったんだろうか。閉鎖的な集落だから上の世代にしか有色人種はキャストできない、下の世代にはミックスルーツの役者を、とか、素人の自分にも考えられるんだから製作陣はもっと考えたと思う。で、こういう結果になったんだろう。でも……という、歯痒さがある。

そういったことを考えつつ当然映画の中で描かれているテーマが大事なのはわかってるので「大事な話をしている……!」という気持ちと「映画としてはあまり好きではないな……」がずっとぶつかっていた。
ユウサク

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