ユウサク

プロセッション -救済への行進-のユウサクのレビュー・感想・評価

3.7
「ケイト・プレイズ・クリスティーン」のロバート・グリーン監督。全然見られてないな……。

6人の男性がドラマセラピーを通して教会の司教から受けた性的虐待のトラウマと向き合う。各々が脚本を書き、演じる。エドが真っ白な部屋を破壊する様子が印象的。事件として捜査中の人もいればまともに捜査してもらえず怒りを抑えられない人、裁判の準備中なので本作では一切詳細を語れず他のメンバーのサポートと演じることに専念する人もいる。またドラマセラピーだけではなく被害を受けた場所や教会を訪れることで、最悪なイメージと結びついた場所を自らの手に取り戻す暴露療法も併せて行われる。ダンは折った釣竿を湖畔に投げ捨てる。

1人の子役(テリック)が彼ら6人の象徴として役を演じることになるけど、当然直接的な虐待描写は一切撮らず、不安にさせるような言葉をぶつけられる程度に留めている。シーンによっては両親も同席し、時には母役、司教役を演じることでテリックのメンタルに最大限配慮しているのが伝わった。この題材で別の被害者増やしたらわけわからんからね。両親ははじめテリックには脚本の内容を伝えまいとしたけどよく話し合った結果テリックに脚本を読んでもらいテリックが「演じるよ」「僕は演じるだけで物語の少年と同一人物ではない」と自分の考えを述べたため参加を決めた、という流れだった。撮影中は司教を演じるトムやマイケルもテリックを最大限気遣い「大丈夫?」「不安じゃない?」と声をかけていた。
ただマイクの「司教に子守りを頼むくらいなら売春婦に頼んだ方がマシだ!」というセリフはカットしてほしかった。他の人を傷つけるようなこと言ったらダメだしこれをそのまま流してはいけないという判断を制作側がするべき。家に入ったらそのまま公聴会?の部屋になっていて過去の自分を安心させながら怒りを身体中で表現し、最後に自らピリオドを打つ、という流れは素晴らしかったのにな。もったいない。あとこのシーンで子役がめっちゃf word聞かされているのは気になったな。映ってないカットや後ろ姿しか映らないカットもあるからあのシーンの間ずっと現場にいたとは限らないけど。

ヴァチカンのエクソシストを楽しんだのなら、こちらもセットで見てほしいです。
ユウサク

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