てるる

時代革命のてるるのレビュー・感想・評価

時代革命(2021年製作の映画)
4.5
2021年フィルメックスで観逃してしまい、もう上映難しいのかと思ってたらユーロスペースさんやってくれました!

もう凄すぎてしばらくレビューもどう書いていいのか悩んでしばらく放置してしまった。

中国がイギリス・香港との一国二制度の約束を平然と破り、香港で起きた民主主義運動、通称「時代革命」を追ったドキュメンタリー映画。

もちろん本国では上映禁止だし、なんならネットで時代革命を検索するだけでも逮捕される可能性があるらしい。

それもそのはず、この映画を観たら偏向的な愛国主義者でない限り、中国共産党や香港政府に不信感を募らせること間違いなしの凄まじい作品だった。

日本でも当時は連日ニュースを賑わせていたけど、表面だけだったのが良く分かる。

デモ参加者の多くは若者。
この映画に登場するデモ参加者たちのほとんどが10代~20代。

こんな若者たちが、文字通り命を懸けて行動を起こさなければいけないのが切なすぎる。

恐ろしいのが香港警察で、放水にゴム弾に催涙弾はもちろん、実弾を撃ってしまう輩も。
そのシーンが映画には収められてて衝撃。

それだけでなく、連行した若い女性を集団レイプしたり、事故に見せかけて女性を殺害した疑惑まである。
それなのに誰1人罪に問われてないという。

それだけ危険なので、出演者たちは仮面で顔を隠すかフルモザイク。
監督は目だけは見せたかったけど、出演者たちからは隠して欲しいと言われたそう。

ここ最近では「チェチェンへようこそ」や「FLEE」でもディープフェイクやアニメとして描いて危険が及ばないように工夫していた。

言うなれば、中国や香港も同じくらい危険な国ということを認識しないといけない。

子供の頃は香港映画を観て育ったようなもんなので、この民主化運動の敗北や香港映画がどんどん規制されていくのが本当に胸が痛む。

この映画を観ると、独裁政権(あえて独裁と言います)の恐ろしさに絶望する。
でも同時に、真っ当な香港人たちの自由への愛と誇りに何度も涙した。

表向き「時代革命」は敗北してしまったけど、彼らの心の奥底には民主主義の炎が燻っているだろう。
願わくば、この若い世代が成長した時こそ本当に革命が成功するかもしれない。

そ日本は自由に勉強や仕事が出来て、自由にものを言えることが如何に幸せかが身に染みる。
そしてそんな自由のために若い世代が命を賭して戦わないといけない国がすぐ側にあることをもっと認識するべき。

ユーロスペースでは9/15で上映終了らしいです!
こんな貴重かつ素晴らしい作品は次いつ観られるか分からないので、お時間ある方は是非観に行くことをオススメします。
てるる

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