kenkenさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

何者(2016年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

上手くいかない焦りと承認欲求を誤魔化し、一歩引いた立場で周囲を見下しながら「何者」かになりたい主人公。変われない事の恐ろしさね。絶妙な冴えなさ、ダサさを表情で伝える佐藤健の演技。
ラスト、変化の兆しを
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.8

正義感が強いけど知識は薄く思考も浅く独りよがり、見栄を張り嘘を重ねる。満たされない現状への不満とコミュニケーション不全。
最後はもっと情け無い終わり方で良かったと思う。ハッピーエンドっぽい締め方だけど
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犬神家の一族(1976年製作の映画)

4.1

早いカット割が印象的に差し込まれたり、急にコマ送りになったり。でも派手さは無く、全篇通して不気味な程静か。絶妙な湿っぽさとジリジリと迫ってくる恐怖。ミステリーの面白さや役者陣の魅力にも惹き付けられた。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

戦争への折り合いの付け方がブレ過ぎでは。言動で幾ら批判しようが実際の作戦は戦時中の精神性に通じている。特攻の否定や結末のあり方でそこから距離を取りつつ上手く着地させてるのかも知れないけど。
諸々気にな
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ゴジラ(1954年製作の映画)

3.8

戦争のイメージが色濃く全篇通してどこか暗いトーン。ゴジラが最後まで得体の知れない存在として描かれるのが良い。分からないから恐怖を感じるわけで。
人間ドラマ部分は変にケリをつけないと言うか、答えを出さな
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ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

4.2

近未来SFのガジェットと東南アジアの自然の掛け合わせがユニークで面白い。AIや装甲車両や戦闘機が森林や畑を背景にしてるだけで画になる。ハンス・ジマーの劇伴はじめ音楽も良い(レディオヘッドそこで流す?っ>>続きを読む

ズートピア(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ミソは後半40分。差別され、また他者の差別にも敏感だったはずの主人公が、自分にも内在する無自覚な差別意識に気付くところ。黒幕が一見気弱そうな虐げられる側だったのも必然性がある。悪人面のまま終わってしま>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.8

田舎町で巻き起こる怒りと欺瞞と復讐心の連鎖、人間模様を流れるような展開で魅せる。重厚な演技、音楽や撮影の良さで生まれるヒリヒリした緊張感と閉塞感。分かりやすい終わり方にしない意思。
何より、登場人物が
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猿の惑星(1968年製作の映画)

3.6

あまりにも有名なラストシーン。その後のエンドロールが静かな波音だけなの、良い。
最初は宇宙船のディテールに同年公開『2001年宇宙の旅』の凄さを感じたりしたけど、こっちは分かりやすさとかストーリーで勝
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マルサの女(1987年製作の映画)

3.7

パキッとしたカット割。
無駄なショットがない。

冒頭から男性性、搾取的関係の連続でしんどくなるが、その対比としての板倉の描き方。

後はとにかく山崎努が良い。

驚きとか意外性とかは無い。

インデペンデンス・デイ(1996年製作の映画)

3.8

CGとミニチュアを使った映像の迫力、1996年公開という点も考慮するとなお凄い。街が破壊されるシーンはパニック映画の趣き、敵との空中戦はゲーム的快楽がある。
大統領が戦闘の先陣を切り、アメリカが各国に
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バタフライ・エフェクト(2004年製作の映画)

3.8

練られた構成に唸るし、主人公の最後の選択は普通に切ない。でも絵とか包丁とかビデオとかの伏線がよく分からんかったなぁ…。撮り方、編集のテンポも好きじゃなかった。話がよく出来てる分余計気になる。

キリエのうた(2023年製作の映画)

2.7

アイナ・ジ・エンドはやっぱりうまいし「キリエ・憐れみの讃歌」は映画観た後も余韻が残り続ける。けど。

行ったり来たりする時間軸、起承転結は無いし物語性を放棄してる。が、断片的なシーンから何かが見えてく
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スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.1

架空の日本、多言語が飛び交う雑多で猥雑な世界観の描写が良い。こういう映画はロングショットでスケール感大きく映して欲しい気もするけど、あくまで円都で暮らす人々の視点に沿った見せ方と思えば違和感無い。むし>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

3.6

一人二役って事前知識があっても分かりづらくて、最初の方は何度も巻き戻しながら観た。
編集が良くないのか、緊迫したシーンでもギャグに見える瞬間があったり、冗長で微妙にズレた間が気になったり。

中学時代
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死刑台のエレベーター(1958年製作の映画)

4.2

光と影、白と黒、美しいコントラストの映像。マイルス・デイヴィスの即興演奏。シンプルだけど先が読めない読めない筋書。
周到な計画と無軌道な行動、二つの殺人が起こった経緯は全く違うけど行き着くところは同じ
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アリスとテレスのまぼろし工場(2023年製作の映画)

4.0

言いたい事先行で作られた感がすごい設定(そういうものかもしれんけど)、粗過ぎるストーリーと見せ方に中々ノレないまま映画は進み、本当にどうなってしまうのかと思いながら観てた。

それが、とんでもないエネ
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

4.5

原田眞人監督作を観るのは3作目で、共通するのは膨大な台詞量の割にとにかく聞き取りづらい!という事。

でも全てを理解する必要は無い。たくさんのキャラクター達が入り乱れて話が展開していくダイナミックさ、
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イレイザーヘッド(1976年製作の映画)

3.6

モノクロでスタイリッシュな映像に惹かれながらも徐々に不快感が増していき…
悪趣味とか超えてストレートに気持ち悪くグロテスクな造形と展開、普段見えいないフリをして誤魔化してる事を直視させられてるような…
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ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

アニメ制作現場の過酷さというより、商業主義とのギャップや受け手からの評価、それでも理想を貫けるかという作り手の葛藤が主軸。

物語も演出も分かりやすくてもう少しヒネリを欲してしまうけど、ラストの静かな
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オオカミの家(2018年製作の映画)

4.2

終わらない悪夢を見てる感覚になる。コロニア・ディグニダについて予習してても全ては理解しきれない。変化し続ける映像と不条理で難解な展開についていくのが精一杯で、集中力が切れそうになる瞬間も。
素晴らしい
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ターミネーター2(1991年製作の映画)

4.1

小学生の時にテレビで観て以来久し振りに鑑賞。印象強いシーンが多くて色々覚えてた。アクションと怖さと残酷さとキャラの魅力、バランス良い。

2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

4.4

壮大な音楽と無音の宇宙。精緻な映像美も相まって実に不穏。ジリジリと煽られる恐怖。流石に「木星と無限のかなた」パートで置いて行かれたけど、良かった。

暗い部屋で観るのが合ってた。次観るなら映画館がいい
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ほつれる(2023年製作の映画)

4.4

常に客観的な視点を崩さず、主人公の綿子含めどの人物の内面にも切り込まない。台詞、間、表情、仕草から読み取るしかないリアリティ。『わたし達はおとな』に続き、息苦しさの見せ方が本当に上手い加藤拓也監督。>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

3.8

「鮮人なら殺してええんか?」という台詞。
配役がはまってる。田中麗奈、コムアイ、豊原功補が特に印象に残った。

恐るべき子供たち(1950年製作の映画)

4.1

動きの少ないショットの連続と演劇的な観せ方で良い違和感が続く。ラスト30分は物語に合わせるように撮り方も揺らぎ始めて、最後まで美しい完成度。
姉弟の閉塞的な世界を守り、子供であり続けようとしたエリザベ
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ベン・ハー(1959年製作の映画)

3.3

パソコンの小さい画面じゃなくて、映画館で観たら迫力凄いんだろうな〜。当時としては破格の製作費と長い時間を掛けたからこそ出来る大作。
個人的にはそこまで響かなかった。

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.9

神経質な構図とかカメラワークとかいつものウェス・アンダーソンなんだけど、何故か観やすかったな。キャラとか色彩のチョイスが好みだったからか。展開にそこまで起伏も盛り上がりもないのが、却ってノイズにならな>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.5

ずっと独り善がりで激情型で最低の2人。純愛、ある意味純愛。
決して好きなシーンばかりじゃない。良かったのかもまだ分からない。でも強烈なインパクトで心に残る。

汚れた血(1986年製作の映画)

4.3

すべてのショットが美しい。セリフや展開がピュア過ぎてちょっと入り込みづらいけど、これだけ画作りや編集が徹底されてたら気にならない。いや気にはなるけど。

トロン(1982年製作の映画)

2.9

チープを通り越し、途中からは逆に良い感じに見えて来るコンピューター世界。実際のCGシーンは15分程で、手描きのアニメーションも使われてるとかなんとか。視覚的には楽しかった。

Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.4

繋がらないシーンの連続が、徐々に観てる側に訴えかけてくる。描写の積み重ね。
若者たちはやり直せるのか。無常感、諦め、ズルさを纏った大人達になっていくのか。

シザーハンズ(1990年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

中盤まではなんて優しい世界なのか、はみ出し者が救済される物語か、と思ってたけど。誤解と身勝手さと集団心理で別れの時は来る。死も絡まないとケリはつかないか。それでもファンタジーな世界で、理解者がいて、完>>続きを読む