ガさんの映画レビュー・感想・評価

ガ

ガーゴイル(2001年製作の映画)

4.0

おぞましい映画だ。
愛と絶望は対極にあるものじゃなくて、絶望は愛に内包されてる。

愛情とパラフィリアの埋まらない溝を描いて、成就した愛による苦悩という矛盾に見えるものを理解させる。
そして、それって
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僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

3.0

ぜんぶの作りが安い。画だけで作ってる映画だと思った。

脈絡がわからない。
なぜサッカーを途中で止めたのか。
小さいキリストが何を表してるのか、何を訴えていたのか。
ジョジョラビットみたいにしてるけど
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風の歌を聴け(1981年製作の映画)

3.6

おれが捉えてた「風の歌を聴け」では、もちろんないけど、このダサさにくすぐられる感じは好きだ。

ミッキー17(2024年製作の映画)

3.9

壮大な茶番劇がとても好きだ!
忙しい僕らにはこういう作品が必要だよな〜。
そもそも映画は現実からの逸脱だからさ、こういうコミカルもシニカルも、めんどい毎日の踊り場として摂取したいのさ〜。

不憫なミッ
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ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

3.9

人の尊厳について考える。
イヴァンやイヴァンの周囲の人間と、アノーラの関係は誇張されているけど、社会の縮図。

水商売の女性に対して、道路工事のおじさんに対して、ホームレスに対して、自分とこの人は対等
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バッドランズ/地獄の逃避行(1973年製作の映画)

3.6

なんかテレンスマリックらしくないカラッとした人間らしさだった。
いいけどね。

白夜 4K レストア版(1971年製作の映画)

4.1

まるで自分。
「あなたは優しくて聡明ね。でも、私はあの人が好きなの」
「あなたに愛される人は幸せね」
優しくしてるのも、賢そうに見せてるのもただただ君のことが好きだからなんだよ。
でも、そんなのはもち
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名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)

4.0

まずは音楽って最高だなって思う。
感動も熱狂も喪失も全部詰め込んで最高。

それから、ボブディランの心を想う。
勝ち取ったのは自由と言われたけど、彼は最初から自由だった。
そのはずなのに、周囲がボブデ
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ロブスター(2015年製作の映画)

4.0

テーマが2個ある気がした。
一つ目は、強制について。誰も大きな声で言わないけど、この社会は色々なことを強制している。法律とか金とかそういう人間が作り出したものによって。
この映画は、そのキモさを愛の強
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ブルータリスト(2024年製作の映画)

4.1

美の核心とはなんだったのか。
「芸術は過程ではなく、その到達点である」という最後のセリフの本意は何か。
それは多分、作品と作家は別個のものであるということだと思った。

彼には、妻への愛にも自分のルー
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ザ・ルーム・ネクスト・ドア(2024年製作の映画)

3.8

死について、これまで考えてたことといえば、漠然とした怖さだけだったなと思った。

自分が終わる時、正しさよりも心の動きを尊重したいと思った。

ひとついいセリフがあったのに忘れちゃった。
またいつか観
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(2025年製作の映画)

3.5

よく分からんかった。
夢の世界が続きすぎて、現実との相互性を完全に見失い、状況に対する感情も原因も判然としないまま死んでいった気がする。。

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.8

愛とか信頼とか道徳が一切介在しない謀略。
それが何の妥協もぜす真っ直ぐ成就する。
だけど、理想に辿り着いた主人公が、セリフのない最後のシーンで悟ったことは、圧倒的な無意義さだった。
自分は無力な兎と同
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ファーストキス 1ST KISS(2025年製作の映画)

3.2

結構つらかった。。
ドラえもんやバックトゥザフューチャーからもう無数に取り扱われてきたことの出来の悪い焼き増しやん。

タイムリープの設定がかなりざる。。
事故でタイムリープできる?首都高が直ったらで
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オーガスト・マイ・ヘヴン(2024年製作の映画)

3.7

必要最低限の言葉で伝えきる力と設定の妙はさすがだ。

でも、すごく面白かったとは思えなかったのは、おそらく監督の中にあるテーマが抽象化されすぎて登場人物っていう具体に乗り切ってなかったんじゃないかな。
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リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)

3.9

優しい物語だ。
激情的な痛みと内省的な痛み。
凡庸な自分の平凡な痛みは、人には見てもらえないけど、確かに自分は痛くて。
それを表に出せる人に対して、劣等感を抱く。
やるせないけど、それでも生きなきゃい
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籠の中の乙女 4Kレストア版(2009年製作の映画)

3.9

知的欲求の開花。
人間性が生まれるのってそこなのかもしれん。

ヨルゴス・ランティモスの考えるヒトの定義を、そうじゃない状態を延々と観せることで理解させる。
背景を黒く塗りつぶした後に残ったシルエット
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シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

3.8

素晴らしい反戦映画。
ニュースで遠い国の戦争を見ても、映画で過去の戦争を観ても、どこか他人事でとどまってしまう。
この映画は、今、自分の国で戦争を描くことで、人殺しの無意義さを実感させようとしてる。

トーキョー・メロディー(1996年製作の映画)

-

恥ずかしいくらいのナルシシズム。
それに見合う才能。

この時点ではめちゃくちゃ歪だけど、その2つを失わずに、合流させていった結果あの洗練されきった坂本龍一ができたのかな。

Ryuichi Sakamoto | Opus(2023年製作の映画)

4.1

ナルシシズムと圧倒的才能の終着点。

あれだけたくさんの作品を残した芸術家が、70歳を超えた死の間際に、素人からみても乱れた演奏をしたのはなぜか。
音楽はこの人にとって、生そのものだから。

誰かに聴
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WILL(2024年製作の映画)

-

ずっと違和感がある。
どこまで行っても、色々と考えてるように見せかけても、ただ逃げてるだけとしか思えなかった。

快楽を追い求めるために悩んで、悩んでる自分に浸っている。そこには置き去りにしてきた人た
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I Like Movies アイ・ライク・ムービーズ(2022年製作の映画)

3.8

かわいらしい青春映画かと思いきや、映画好きの悪癖を丁寧に刺しにくる映画だった。
つまり、「映画を観てる=偉い」という幻想ですよね。。
平野啓一郎の小説で、「自分は愛されないのだという孤独を、仕事や趣味
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どうすればよかったか?(2024年製作の映画)

-

この人たちの人生を間違ってたって断罪することはできない。
だけど、その関係性を観て、足りなかったのは優しさだと思った。
そして、優しさの正体はやっぱり想像力だと思った。
本当の意味で誰かを想うなら、自
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ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

3.8

時代を遡っていった結果、穏やかなシーンで終わるところに作り手の皮肉な眼差しを感じる…

人は抗いようなく業にまみれてて、それをある一瞬自覚して反省したところで、またすぐに忘れてしまう。
結局は同じとこ
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風が吹くまま(1999年製作の映画)

3.9

桜桃の味から継がれた主題
「この世界は美しいからさ。死ぬにはもったいないよ」
なんて優しい死生観なんでしょう…。

それをこの作品では、他人の死を希求する男で表現した。
一見は思慮深そうに見えるのに浅
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ロボット・ドリームズ(2023年製作の映画)

3.6

セリフなしで状況や心情を伝える技術はすごかったけど、特に響くものはなかった。

オリーブの林をぬけて(1994年製作の映画)

3.7

どこまでが現実で、どこからフィクションなのかわからなくなる。
拙くも真っ直ぐな恋心が本当に存在してるように思えた。

自分だってこういう作品を書いたつもりでいたのにな。

そして人生はつづく(1992年製作の映画)

3.9

終わってみて後悔することばっかりだ。
その度に裂けるほど自分が嫌になる。
だけど、そして、人生は続く。
だから、次はもう少しだけ頑張ってみようと思う。
だから、今は楽しもうと思う。
それを人は成長と呼
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桜桃の味(1997年製作の映画)

4.2

1日、ただひたすらに荒野でレンジローバーを転がすだけなのに、こんなにも趣きがあるなんて。

自己を語らない男に、拙くも生の喜びと価値を語り続ける老人。
老人の語りと共に観ると、不思議と殺風景な荒野が彩
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