焼きはらすさんの映画レビュー・感想・評価 - 46ページ目

麗しのサブリナ(1954年製作の映画)

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「私は大人になんてなっていなかった、ただ髪型を変えただけだったんだわ」
この台詞が印象に残った。
理想の恋を掴もうと少し背伸びしていたサブリナが成長すると共に、彼女に恋する兄弟にもまた変化が生まれて行
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ホンモノの気持ち(2018年製作の映画)

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本物って結局どういうものを指すのだろうか?詰まる所人間の一方的な物差しによる見方でしかないのではないか。
恋愛という、労働などとは違い人間とAIの関係が主従ではない平等なフィールドになった時ほど本物が
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愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

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試写会で安田顕さんが言っていた通り、この物語の主人公は岩男とアイリーン、ナツの3人で誰の視点に立つかで映画のイメージが大分変わるのだと思う。

主人公たちに感情移入するのは難しい点も多々あるけれど、自
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ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

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誰かを愛することで、変わっていく女と変われない男の差が悲しい。
ひたすらに男のダメさが滑稽かつ残酷に、リアリティを持って描かれる。
景色が写真で振り返られていくように、恒夫にとっては、今となればただの
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さようなら、コダクローム(2017年製作の映画)

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コダクロームしかり古いものはいい。でも過去は置いていかなければならない。それでも捨てずに現像しておけば、心にはずっと残るかもしれない。

看護師のゾーイが無意識にも、この世にはもういない、父子の妻であ
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ガタカ(1997年製作の映画)

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20年以上前の映画だけれど、あまりに現代社会を予見していて、SF的な要素が少ないくらいと感じる程に違和感がない。

ずっとポケットにしまって恥じていた銀メダルを、最後にはちゃんと見えるよう自分の首にか
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モンティ・パイソン/ライフ・オブ・ブライアン(1979年製作の映画)

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実のところキリスト教がどのような経緯で誕生したかは分からないままだけれど、イエスが現れたというより、人々が信じたいものを神と見なすという人類の本質が垣間見れる。

くだらないジョークや問答ばかりだけれ
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(2017年製作の映画)

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たった30分に満たない2人のぎこちない会話から、埋めることの出来ない十数年間の時間が距離になって滲み出てくる。
目線が合っているのか、合っていないのか分からない2人が見ていて切ない。

ロブスター(2015年製作の映画)

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誰かと一緒にいれば息苦しくなるし、1人でいたら誰かが恋しくなる。でも結局人間は1人きりなのだと感じる。現実離れしている設定ながら、妙にリアルだった。
孤独を望む癖に、自分の手では届かない背中に薬を塗ら
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マイ・マザー(2009年製作の映画)

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親子、特に母と息子の関係は「愛」と言って仕舞えばシンプルだけど、もっと複雑なものだと感じる。
事あるごとに繰り返される母と子の口論がリアル。たわいもない話題から両者が声を上げる展開になってしまう。
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恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

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コップ半分のビールを、「あと半分しかない」と考えるか「まだ半分もある」と考えるかで違いがあるように、例え同じ様な退屈な毎日でも見方を変えるだけで輝き始めるということ。
無限の選択肢ある中でたった1つを
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ラヂオの時間(1997年製作の映画)

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誰が主人公かはっきりしないくらいに、例え少ないセリフでも各キャラクターが魅力的で存在感を発揮している。特に最初の数分で主要キャラクターの大体の性格や役回りが伝わる演出は凄い。
自分含めて皆んなが楽しめ
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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

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オリジナルシリーズとは少し距離を置いた感触が強いけれど、ハン・ソロ(ハリソン・フォードが演じる方)の口調、ベルトに親指をかける仕草、銃を撃つ姿勢をしっかり真似していて違和感がなかった。
シンプルに冒険
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汽車はふたたび故郷へ(2010年製作の映画)

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夢を叶えるのは想像以上に厳しいけれど、そんな悲しみも失望も淡々と描かれていくから、ちょっとした喜びや優しさが身に染みる。

耄碌としていたお爺ちゃんが、ニコの旅立つ前に自分のジャケットを着せた時の優し
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世界中がアイ・ラヴ・ユー(1996年製作の映画)

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往年のミュージカルに依拠しながら、シニカルなジョークや歌詞がウディ・アレンらしい。想像していたよりも多幸感に溢れていて安心した。

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

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何かが起こりそうな気がしてるけど、特別なことは起こらないし、何も出来ない。そんな日々を、それでも誰もが神話と呼ぶのは不思議でいて、納得出来る。

少年時代に置き忘れた恋を、取り戻そうとする青年が、淡々
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この世界の片隅に(2016年製作の映画)

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地域にもよると思うが、空襲警報が日常的に鳴り響いていたことに驚いた。
防空壕から出て、焼き払われた家を何も言わずにただ見つめていた人の背中が忘れられない。

アビエイター(2004年製作の映画)

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主人公の強迫観念症は、人生に支障を来すと共に彼の純粋すぎる夢や野望をどこかで支えていたとも感じられる。

第二次大戦前後の物語なのに戦争のシーン(劇中映画を除いて)がない。やはり企業家にとっては戦争は
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春との旅(2009年製作の映画)

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迷惑をかけるかかけないか、お互いの利益になっているかいないかは関係なく、一緒にいたいと思うのは案外難しいのかもしれないと考えた。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

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「壊す」という行為は暴力的で危険なものだと見ることも出来るが、毛繕いと同じように他者、自分への関心がないと成立しないので、ある意味では「愛する」ことへの1つの近道でもあるような気がした。

若葉のころ(2015年製作の映画)

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美しい景色に白を基調とした服装やセット。全編見ているだけで眩しくなる。
青春もそれと似たように、純粋無垢で綺麗なものに思えるけれど、何年経っても影を落とし、人を縛り付けるところに青春の黒い闇も感じる。
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レディ・バード(2017年製作の映画)

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シーンの1つ1つが早いテンポで描かれているので、飽きずに観られると同時に、学生時代の喜怒哀楽の思い出を一瞬で振り返っているようで観る側の情緒も刺激され、主人公に自分を重ねてしまう。

「愛すること」と
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アリの結婚(2017年製作の映画)

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仮結婚制度や、男女別々の部屋で集会を催す(男性は会場、女性は別室でテレビ中継)などアラブ人の暮らしがありのままに描かれてるのが新鮮だった。
地雷、サダム・フセイン、テロリストと目されてしまうことも、お
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用心棒(1961年製作の映画)

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三十郎と丑寅達が互いににじり寄る様があまりにカッコいい。
景色やキャラクターの描写、人物たちの策略が大部分を占めながら、斬り合いがシンプルかつ秒殺なのが印象的。

万引き家族(2018年製作の映画)

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ニュースで見る統計や種々の法律では見落としてしまうような、日本の白と黒の間の扱いにくい面を描いている。
貧しい家と豊かな家、仲のいい家族とそうでない家族、正論と言い分など事あるごとに対比が繰り返される
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女と男の観覧車(2017年製作の映画)

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誰もが今いる自分の居場所はここではないと思い続け、それでいて逃れられないままでいる。それでもそんな人々をどこかユーモラスに描いている。

話としてはシリアスだが、遊園地の色とりどりの色彩だけが対照的に
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her/世界でひとつの彼女(2013年製作の映画)

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暖色中心の色彩配置と降り注ぐ陽光で、人工知能との関係をテーマにしているのにSFにならず、常に暖かみを感じられる。

相手が人間でもそうでなくても、自分の型を押し付けてしまう姿に切なくもなり、それが人間
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イカロス(2017年製作の映画)

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このドキュメンタリーで重要なのは、ただロシアの行為を恐れ非難することではなく、他国(鑑賞者にとっての自国)でも国家への監視を止めないこと。ドーリングに限らず。

パンチドランク・ラブ(2002年製作の映画)

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シュールな映像と音楽が続いた後に、ロマンチックに感情が走っていく様が気持ち良かった。

オクジャ okja(2017年製作の映画)

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企業広告がないNetflixだからこそ描ける物語なのか。後半はかなりリアルな描写で居た堪れなくなるが、テンポの良さ、分かりやすい人物描写とユーモラスな音楽で一気に見てしまった。

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

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セリフにもある通り、問題を解決しようと躍起になるのではなく、お互いが寄り添っていくような生き方に温かみを感じた。

パンクを頭ごなしに否定せず、自分なりの文脈で理解しようとする母親はなかなかいない。

チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜(2011年製作の映画)

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心を犠牲にして手に入れた音色、バイオリンを壊されるというのは、楽器を失う以上の意味があったのかもしれない。

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)

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オチを知っていても、考えさせるラスト。
「人殺しだけれど善人」重い。

舞台が舞台だから、すこし派手さに欠けていたのは仕方ないのかなと。

フェリーニのアマルコルド(1974年製作の映画)

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戦争の影も日常に溶け込むほど、廻り続ける町の生活。良いことも嫌なこともある。

映画館を見ながら、観客が揃いも揃って映像に合わせて動くのが素敵だった。霧のシーンも美しい。

ザ・マスター(2012年製作の映画)

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目標かつ理想の存在でありながら、どこか反目して、そのうち別々の道を歩み始める。

主人公と教祖は父子の関係のようだと感じた。互いに問題を抱えながら、それでも無邪気に求め合う様は単なる利害関係を超えてい
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ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

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アルマの行為も、レイノルズの人間性も恐ろしく、理解に苦しむ。けれど恐怖さえも通り越して求め合ってしまう男女の愛ほど、謎に満ちて理解に苦しむものは無いと感じる。これは劇中の2人に限らず。

あんなに怖く
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