焼きはらすさんの映画レビュー・感想・評価 - 45ページ目

マチネー/土曜の午後はキッスで始まる(1993年製作の映画)

-

文字通り現実に映画が侵入してくるような物語。キューバ危機、怪物、青春、恋愛、家族、映画と色んな要素が詰まっているけど複雑になってない。
政治色は強くないから見やすいけれど、最後の監督のセリフは意味深。
>>続きを読む

青春群像(1953年製作の映画)

-

青春の終わりは人それぞれだと感じた。目指していた夢に破れる、やむを得ないまま自立する、普通の家庭に落ち着く、そして故郷を捨てることなど。
今の生活にどこか不満を持つも、物静かであまり主張しないはずの青
>>続きを読む

search/サーチ(2018年製作の映画)

-

ほぼ全編パソコンの画面で映画が進むのは画期的であると感じると同時に、僕らの生活(仕事、学校、プライベートなど)は今やパソコンの中で完結出来てしまうのだということにも気付かされた。
と同時に常に自分の見
>>続きを読む

近松物語(1954年製作の映画)

-

家制度や体面や主従関係という箱庭の中で普通に暮らしていた2人が思いもよらない形でそこから逸脱していく。キャラクター達の思惑や情念が複雑に絡み合いつつも、筋はまとまって見えるから凄い。
琵琶湖に船を出し
>>続きを読む

カメレオンマン(1983年製作の映画)

-

自己防衛のために周囲に同化する主人公を公衆は時に持ち上げたり、時に批判したりする。
しかし実はそうやって自分を持たず周りに同調して意見したり騒ぐ市民達こそが「カメレオンマン」なのであり、ラストにあるよ
>>続きを読む

トーク・トゥ・ハー(2002年製作の映画)

-

純粋な愛情は狂気を併せ持つから、時に悲しみや孤独を生むけれど、悲しみと孤独を癒すのも純粋な愛情という皮肉で美しい事実を提示している。

マルコが友情を深めていくにつれて、服装が温かみのあるカジュアルな
>>続きを読む

いとこ同志(1959年製作の映画)

-

純朴で真面目な青年が、2つの世界で揺り動かされる。その様子がワルキューレの騎行をバックに部屋を何周も回転しながら映すカメラワークで上手く表現されている。
その直後に生気を失ったシャルルの顔がアップにな
>>続きを読む

北北西に進路を取れ(1959年製作の映画)

-

ラシュモア山でのチェイスシーン、広大な農業地帯での飛行機追走など映画的にワクワクするようなシーンばかり。
かなり長回しなはずなのに車で現れると思いきや空から飛行機が飛んでくる緊張感はヒッチコックならで
>>続きを読む

エンジェル、見えない恋人(2016年製作の映画)

-

基本的にカメラは透明である主人公の目線なので必要以上に顔や景色のアップが多くて、ブレもある。全編が主観的だから狭い世界で物語は進む。
しかしそれが大事な演出なのだと思う。僕らは透明ではないけど、鏡で見
>>続きを読む

女は女である(1961年製作の映画)

-

子供が欲しい女を巡る三角関係なんて、湿っぽい話になりそうなのにこんなにもカラフルでユーモラスな映画になるとは…
ジュークボックスから曲が流れる間中、アンナ・カリーナが悲しみに暮れるシーンは歴史に残る。

アンダー・ザ・シルバーレイク(2018年製作の映画)

-

サラと初めて対峙するシーン。彼女の目に光が差していて、往年のハリウッド女優を思わせる演出にゾクゾクした。
目に光を失ったような、狂気も弱さも合わせた演技のアンドリュー・ガーフィールドが素晴らしい…
>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

-

最後まで主人公が自分の気持ちを吐露することはないのに、表情や行動でモヤモヤした感情が手に取るように分かる。それは誰もが通った道だからでもあるし、ジャン・ピエール・レオの自然な巧さでもある。
救いのない
>>続きを読む

勝手にしやがれ(1960年製作の映画)

-

愛するだけの男と、愛してることを確かめるために愛する女は全く別の生き物だということ。そしてそのことに大概男は気付いていない可笑しさ。
だからこそあのラストはただの悲劇とは捕らえられない。喜劇とも読める
>>続きを読む

暗くなるまで待って(1967年製作の映画)

-

実際の劇場公開時は、ラスト部分劇場内の照明が法定規則ギリギリまで落とされ、盲目の世界を演出したという。
スージーが見えていないからこそ、そして観客には見えているこそ全てのシーンに緊張感と恐怖が漂う。前
>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

-

「パンクとは何か?」という問いが作中何度も出てくる。答えは人によって違うけれど、最終的に主人公2人が選んだ道はパンクというコロニーで生きていないと生まれなかったものだろう。

ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

-

日本人である上に東京も見慣れているはずなのに、まるで他人だらけの別世界のようで寂しさが沁み渡ってくるのが不思議。画面の中の空気感が手に取るように分かるような音楽もいい。

孤独は一見幸せそうな空間にこ
>>続きを読む

怪物はささやく(2016年製作の映画)

-

怪物映画かと思いきや、ある家族の愛の物語だった。
正義と悪、真実や嘘など子どもの頃は完全に対を成していると思っていたものが実は複雑に絡み合っていると知り、生きるのは困難であると知るのが大人に近づくこと
>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

-

女の人のナイフのように鋭い部分、男の人の鈍感で馬鹿な部分をしっかり描いているから、見ていて身につまされる。愛人の「馬鹿な顔」というセリフは特にぐさりときた。
子供たちが男親たちの姿を鏡のように映す存在
>>続きを読む

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

-

歩きながら、食事しながら、ドライブしながら…当たり前になった「ながら聴き」を上手く利用しているのが面白い。ある意味でミュージカル映画のよう!
60s、70sのロックやソウル好きには音楽を辿るだけで見て
>>続きを読む

ロシュフォールの恋人たち(1966年製作の映画)

-

2時間ひたすら男女の恋模様を映し出して成立しているのがすごい。
ポップな色彩感覚と耳に残る音楽は勿論のこと、キャラクターがばっちりカメラ目線で踊り出してしまう様はもう映画の枠を越えている。

ラジオ・デイズ(1987年製作の映画)

-

今ではラジオはスマホでどこでも聴けるけど、当時は家で家族と一緒に聴くものだったからこそ、色んな番組・音楽が悲喜こもごもの思い出と強く繋がっているのだと思う。
特に大きな出来事も無かったのに、家族と過ご
>>続きを読む

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)

-

3時間があっという間の人間悲喜劇。
物語全体が、色んな人々が押し合いへし合い泣き笑う天井桟敷の観客席の様子と重なると感じた。大勢いる中のたった1人の人間かもしれないけど、誰もがそれぞれに夢や愛を胸に秘
>>続きを読む

黄金の七人(1965年製作の映画)

-

作戦が巧妙かつ大胆だから、見ているだけで面白い。
やっていることは犯罪だし登場人物も多い上に各キャラクターを掘り下げて描いている訳ではない。しかし全員が魅力的で愛着を持ってしまえるのが凄い。

判決、ふたつの希望(2017年製作の映画)

-

打ち消すことの出来ないバックグラウンドを持ち、怒りを抱えた人々が感情のままにさまよう様子を痛々しく描きながらも、人間はそれでも分かり合える可能性はあるのだと諭す、優しい視点も両立している。
法廷のシー
>>続きを読む

寝ても覚めても(2018年製作の映画)

-

恋愛も地震も津波も病気も人間の理解を越えて日常を一変させてしまう。頭で理解し阻止することは出来ない。
しかし非日常をずっと彷徨うのではなく、痛みが伴うとしても元の日常を愛さなくてはいけないのだと思う。
>>続きを読む

バーバー(2001年製作の映画)

-

ある殺人を描いたサスペンスかと思いきや、殺人事件はあくまでも一部分に過ぎない人間ドラマだった。
痩せていて無口な主人公の周囲が、太り気味でおしゃべりばかりな人物ばかりだから余計に彼の孤独が際立つ。
>>続きを読む

さよなら、僕のマンハッタン(2017年製作の映画)

-

主人公の目線に立って仕舞えば、鬱屈としたメロドラマになりかねないが、冒頭からある人物の目線で語られていくから、どこか客観性を持ち絶妙なバランスを保っているのかなと感じた。
だからなのか、全部観終わると
>>続きを読む

ワンダーストラック(2017年製作の映画)

-

耳の聞こえない少女の人生が白黒の無声映画になぞらえて描かれているのが、なかなか粋。1970年代の少年の描写も、街の喧騒は最低限ながら、劇中流れるブラックミュージック(主にファンク)で場面が生き生きとし>>続きを読む

ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

-

近未来のような無機質な主人公宅や会社と、綺麗とは言えないけど温かみのある下町の描写が対比になっているけど、どちらにも愛やユーモアが注がれていていいなと感じた。
「あなた本当は義兄を妬んでるでしょ?」こ
>>続きを読む

運動靴と赤い金魚(1997年製作の映画)

-

靴を一足無くすことくらい大人にとってはどうでもいいことなのかもしれないけど、子どもにとっては一大事で、常に周りの目が気になったりする姿は懐かしいなと感じた。不思議なのはいつの間にか、自分も子ども時代に>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

-

ケイシー・アフレックの心の真ん中に穴が空いてしまったような瞳や表情、喋り方が素晴らしかった。元気だった頃と現在が交錯して描かれるから、余計に孤独が浮き彫りになり悲しい。

悲しみを乗り越える必要もない
>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

-

時系列的にはもちろん前作の続編だけれど、ある意味で前作を撮り直したような作り方だと感じた。
「自分は誰か?そしてその存在に何の意味があるのか?」という問いかけに前作よりも真正面から切なく答えているよう
>>続きを読む

人生はシネマティック!(2016年製作の映画)

-

ただの映画制作話ではなく、戦時下で当たり前のように笑ったり泣いたり日常が進むのと並行して当たり前のように空襲に怯え、隣人や愛する人が次々に死んで行く様をしっかり描いていたのが良かった。
彼らが作ってい
>>続きを読む

ゲット・アウト(2017年製作の映画)

-

一見すると疑問の余地もない光景が、こんなにもキャラクターの立ち位置次第で不気味になるのだという意味で新しいなと感じた。
ガールフレンドの父親がオバマ政権を支持しているという背景が、この映画の出発点であ
>>続きを読む

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)

-

映画を見たらしばらくはその空想の世界が、自分のいる現実に侵入してくるような感覚、自分にもあるなぁと感じた。

閉じられた世界で目的もなく働き詰めのミツバチたちは、当時のスペインは言わずもがな現代にも刺
>>続きを読む

パッチ・アダムス トゥルー・ストーリー(1998年製作の映画)

-

悲しみにいる人々を笑わせられるのは、ユーモラスがあるのは勿論のこと、同じように悲しみを背負った人であるというのが印象深かった。だからこそパッチは患者達から好かれたのだろうか。

パッチが主役であること
>>続きを読む