mareさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

mare

mare

映画(1904)
ドラマ(0)
アニメ(0)

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

4.0

キャッチーなキャラ造形とは対照的に取り返しのつかない鬱展開、最初に想像していた魔法少女像とはかけ離れていて、もっと人間の内面的な暗黒を突き詰めた作風にハマってしまうまどマギ。張り詰めたドラマと思春期特>>続きを読む

ブリグズビー・ベア(2017年製作の映画)

4.0

普通の世の中を知らずに25年間生きてきた無邪気な青年、ブリグズビー・ベアだけが教えてくれた世界のルールとファンタジー、その原体験は屈託のない軌道を描いて周囲を巻き込んで創作へと突き進む。ベタにこういう>>続きを読む

愛と激しさをもって(2022年製作の映画)

3.5

人生の折り返し地点で迎えるドロドロの三角関係。愛の純度を保ち続けることは男女にとって最高のハッピーエンドであるが、それ故に困難は多く、疑惑や綻びが生じると互いの信頼関係は濁ってしまい、深い沼に陥る。ド>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

やはりゴジラはスクリーンで味わなければいけない。あの暗闇で映し出される絶望はいつ観ても恐怖でしかないし、VFXの仕事の賜物だろうなと思う。紛れもない戦慄が身体を貫いた感覚は確かにあった。ただやっぱり山>>続きを読む

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)

3.5

渇いた苦痛の連続でありながらそれを痛がる様子もなくダウナーなムードが終始徹底されたアメリカンニューシネマ。ベトナム戦争下、捕虜としての体験が歯向かう闘志すらも削いでしまったように見えるドライな主人公の>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

2.0

個人的にケリー・ライカート作品はハマるハマらないがハッキリと分かれる。リバー・オブ・グラスとオールド・ジョイはかなり好きなんだけどね。一貫して流れるようなゆったりとした作風は初期から変わらないはずだが>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.5

この平山という男の質素ながらも日々変わらぬ充実を取り入れていくルーティンが非常に気持ちよくて、心の底から理想の生き方をしていて羨ましくなった。人生の一つの模範を見た気がする。映像のリフレインに予期せぬ>>続きを読む

超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(1984年製作の映画)

4.0

星間戦争に次々と駆り出される無数の戦艦、文化の対立とその起源、ミンメイの歌が星々の中心でカルチャーの象徴として鳴り響く。全盛期のロボットアニメにアイドルのエッセンスを織り交ぜたエポックメイキングな古典>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

4.0

ホームドラマをベースにし、安易にグロに走らないクローネンバーグの秀作。平穏な日々に突如として訪れる暴力の影、家族のために立ち上がる男のヒロイックな美談かと思いきやそう一筋縄ではいかない。サム・ペキンパ>>続きを読む

スーパーバッド 童貞ウォーズ(2007年製作の映画)

4.0

スクールカーストに埋もれてしまったようなイケてないバカ3人がイケてる女子をモノにするためにあれこれと必死に作戦を立てるものの、全然計画通りにいかなくてカオスな展開に巻き込まれていくのが痛快。思春期で全>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.5

OLのリアルな脳内がフルスロットルかつ異常なテンションで突き進むので、胃もたれしそうになったが、俺も普段頭の中はこんなもんか?と考えるとちょっとした共感に変わった。"なんかわかる"を散りばめた妄想と現>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.0

ギャスパー・ノエが見つめる老夫婦の迫り来る終末。スプリットスクリーンで二人の行動を同時に映し出す冷淡なカメラは、映画だからといって色付けされた訳ではないドライなリアリティがあった。不安定な人間の行動そ>>続きを読む

still dark(2019年製作の映画)

4.0

たった一つの純粋な動機で夢追い人になる若者。憧れだけではどうにもならない現実、チャンスはどこにでも転がっているわけではないけれど、最初の扉を叩くことくらいは誰もが持ち得る権利だと信じたい。課せられたタ>>続きを読む

注文の多い料理店(1993年製作の映画)

3.5

ドローイング調のアニメーションが生々しく、不穏な物音を伴って積み重なっていく不条理がシンプルに心地いい。子どもの頃に読んだ以来でなんとなく覚えているくらいの感じで観たけど、童話特有の想像上の怖さを久し>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

とにかくカウリスマキ帰ってきてくれてありがとうの一言に尽きる。マジでカウリスマキの映画は不変でハズレがない。人生のほんの一瞬を切り取った束の間の切なさ、孤独同士が寄り添い合う親密さ、そしてこのコンパク>>続きを読む

ピノキオ√964(1991年製作の映画)

3.0

見ての通りヤバさしか伝わらないジャケットで、トランス状態で作られたとしか思えない法を破りまくったような強烈な自主制作感が蔓延してる。画面に映るもの全てが劇薬のようであり、ダークウェブに落ちている映像を>>続きを読む

バトル・ロワイアル(2000年製作の映画)

4.0

デスゲームものの先駆けであり言うまでもない影響力があるし、原点にして頂点と言ってもいいほどに今なお革新性がある。まさしくゲームチェンジャー。殺し合いで全てを解決しようとする世紀末感、漫画のようなめちゃ>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

とてつもない上映時間を過ごすことになるが、決して蛇足ではなく、欲に蔓延した闇の歴史を丁寧に描き切る。裏の裏まで徹底して仕組まれた謀、悪に染まった白人の行いが凄惨なドラマとして再現される。陰謀の加担者と>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

アウトレイジ以降はエンターテイメントとして仕上げ、初期の作風からは距離を置いているようにも見えるが、予測を立てる前にことが終わるリズムと切れ味は一貫して衰えない。ドラマのように戦国時代を美化しないたけ>>続きを読む

デ・ジャ・ヴュ(1987年製作の映画)

3.5

むずくてあまり本質を享受できなかったのだが、オカルトな題材かつシュミットの画面構成と妖しげな映像美は相変わらず良かった。シュミット作品の映像美こそBlu-rayで味わいたいのでどうか出て欲しい。現実と>>続きを読む

ホームシック(2020年製作の映画)

3.5

誰一人いない街並み、サッカー場、飲食店、駅のホームなどを淡々と映し、そこに人々の賑わいを音声で後付けする。それだけで寂れた街並みはまるで活気を取り戻したかのように映り、彩りを取り戻し、そこにないはずの>>続きを読む

バリエラ(1966年製作の映画)

4.0

自由すぎる画面の作り込みと脈絡なく紡がれる会話に、多層化された静かなる反逆精神がどうしようもなく溢れてしまっているのだけは辛うじて分かるが、イメージの羅列と化したこの映画を読み解くのはあまりに困難。優>>続きを読む

鍵泥棒のメソッド(2012年製作の映画)

4.0

頭からお尻まで隙のないストーリー展開、状況が刻一刻と変化し、ダレる瞬間が全くなく半端なく面白い。内田けんじの脚本力恐るべし。堺雅人と香川照之の演技合戦ともいえる騙し騙されの最高のエンターテイメントで、>>続きを読む

ヒルコ/妖怪ハンター レストア&リマスター版(1991年製作の映画)

3.5

Jホラーとスプラッターホラーを1:1で掛け合わせて、塚本晋也お得意の人体破壊、肉体の追求を盛り込んだやりたい放題してる初期作で最高。そしてクリーチャーデザインが割と本当に気持ち悪いし、程よくグロい。ジ>>続きを読む

仁義なき戦い(1973年製作の映画)

4.0

血生臭く終わりの見えない広島ヤクザの死闘。こんなにも熱量を帯びた実録感のあるヤクザ映画はこの時代の俳優たちでしか撮れないだろう。ギラギラした圧倒的な目力、眉間のシワの寄り方、ドスの効いた広島弁、銃殺シ>>続きを読む

男はつらいよ(1969年製作の映画)

4.0

口が達者で能天気で、でもやることが裏目に出て喧嘩っ早く頑固で不器用な、そんな寅さんの人間味がこれでもかと味わえるこの上ない喜劇。言うまでもなく役者陣が最高で笠智衆と志村喬が出てるだけで興奮だし、若かり>>続きを読む

いますぐ抱きしめたい(1988年製作の映画)

3.0

デビュー作だけあってウォン・カーウァイ覚醒前という具合の質感。タイトルとジャケットのイメージだけだとどうしてもラブロマンスを想像しちゃうけど、れっきとしたギャングのアクション映画でちょっとビックリ。男>>続きを読む

アン・ラシャシャン(1982年製作の映画)

3.0

選択の意志を表明する子どもが義務を強要する立場の大人に対してひたすら反抗的な態度を取り続ける様は、側から観ている分には愉快なやり取りにすら見えてしまい面白い。映画における十八番の一つだろう。ストローブ>>続きを読む

早すぎる、遅すぎる、(1982年製作の映画)

2.5

俺には早すぎた。ストローブ=ユイレによる歴史的なレポート、授業というような見心地で、風景に遊びを与えている分、観光映画としての側面も併せ持つ。フランスからエジプトへ主題は二部構成で展開され、その土地を>>続きを読む

こおろぎ(2006年製作の映画)

3.5

その土地の伝承と依存関係にある男女の言葉なき奇妙な絡みが他に例えようもない雰囲気を醸し出している。最小の登場人物でいかにも壮大にそれっぽく世界観を構築するこの青山真治らしさが非常に刺さる。食事シーンの>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

4.0

これまでよりも派手さを抑えた硬派な作りであるが、その一方でかなり遊びが見え隠れする二面性がいつものフィンチャーから外れていて気持ちよかった。入念な準備、証拠隠滅と仕事のシーンがほとんどを占め、淡々とし>>続きを読む

陽は昇る(1939年製作の映画)

3.0

頭から結末を提示してどうしてそうなるかに至ったかを辿っていく手法で、男女の愛憎劇を描く。愛憎劇といっても不倫みたくドロドロした見せ方ではなく時代的なところもありさっぱりと見える。性質の違う2人の女性に>>続きを読む

囚われの女(1968年製作の映画)

3.5

惹かれることによって見失っていく迷宮感、溺れるほどに増幅していく妖しさ、こうした不条理のビジュアルの見せ方はアルトマンのホラーテイストにも近しい。それらしさを感じさせるクローズアップに、片目ずつで変わ>>続きを読む

マイセン幻影(1992年製作の映画)

3.0

マイセンコレクターの生き様、マニアたるもの愛してやまない嗜好品と生活に寄り添い、己を全うするまで同じ空気を共有する。ちなみにマイセンとは陶磁器のことである。収集癖がある人間に付き纏う命題に真摯に向き合>>続きを読む

グッドモーニング・バビロン!(1987年製作の映画)

4.0

なんともドラマティックな兄弟愛の映画ともいえるし、映画を語る映画でもあるし、やり切れない世相を反映する映画でもある。いずれも強靭なニュアンスを持っているため、タヴィアーニ兄弟の映画はどこを切り取っても>>続きを読む

ブラックボード 背負う人(2000年製作の映画)

3.0

とにかくみんなが生きていくことに必死だなというのが強烈に伝わってくる映画で、命懸けで生活に縋り付く難民たちと生活の糧を手に入れるために先生としての使命を何としても叶えようとする男のひりつくようなドラマ>>続きを読む