mareさんの映画レビュー・感想・評価 - 37ページ目

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天国はまだ遠い(2015年製作の映画)

4.0

観ている間ずっと奇妙な感覚が渦巻く異色のショートフィルム。溜めてきた想いを吐き出し擦り切れそうな感情の起伏がありながらも流れる映像はひたすらシュール。告白シーンで見せる純度100%で見せる2人の生の演>>続きを読む

裸の島(1960年製作の映画)

4.5

島民の家族の自給自足の生活を映し出した自然と人間の共生を描き温かく人情味溢れる日本映画の遺産。特筆すべきは一切のセリフが存在しないため、言葉以上に本能として人同士の思いやる気持ちを克明に描写していて淡>>続きを読む

鬼婆(1964年製作の映画)

4.0

伸び放題の芒に囲まれたわらの家で慎ましく暮らす女2人に降りかかる数奇な運命を描く和製ホラーの傑作。奈落の底に何人もの武士を沈め、生き延びるためには殺生も厭わない過酷な日常の中で1人の男が現れる。夜の闇>>続きを読む

叫びとささやき(1972年製作の映画)

4.0

物静かな屋敷に広がるミニマルで果てしなく赤い空間の中で三姉妹の愛憎関係が暴かれていく。この赤は生きるための血であるし、性に反発するために流した血でもある。映像美に加え静謐な作風は沈むように浸っていられ>>続きを読む

仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

5.0

冒頭のホワイトアウトした瞬間から心地よい悪夢に誘われるような浮世離れした映像にインダストリアルな音楽は、まるで現世と冥界の狭間で見せられる景色とかイメージのようでひどい酩酊感を伴って五感を麻痺させる体>>続きを読む

バック・トゥ・ザ・フューチャーPART3(1990年製作の映画)

4.0

1,2とは多少テイストが変わりアクション多め、舞台は西部劇の時代に突入するシリーズ最終章で完璧に締まった。寝起きのくだり、こやしのくだり、腰抜けのくだりはもう鉄板ネタ。もうバカはやめたのさと言うがクリ>>続きを読む

バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2(1989年製作の映画)

4.0

前作より30年後の2015年が前半の舞台になるが、さらに未来人の僕からすると実際にはマイケルのBeat ItではなくブルーノマーズのUptown Funkが流行ってるしダックハントのゲームよりも人々は>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

4.0

70年代目前の60年代のアメリカの土壌の薫りがプンプン漂うアメリカンニューシネマの傑作。思い描いた自由を追い求めるようにひたすらハーレーダビットソンを走らせ、ステッペンウルフ、バーズ、ジミヘンの音楽が>>続きを読む

スーパーフライ(1972年製作の映画)

3.5

音楽好きならばおそらく映画本編よりもカーティスメイフィールドのサントラで知る人の方が多いであろうブラックムービー。ソウルミュージックの大名盤で70年代のギラギラしたカルチャーをストリングスで味わいなが>>続きを読む

おもひでぽろぽろ(1991年製作の映画)

4.0

田舎の風情を感じ、植物という生き物にまた自分たちが生かされているという情緒あふれる優しさに包まれる。タエ子の追憶のシーンで小学5年生の私を連れてきてしまったという表現が面白おかしく、淡い色彩で描かれて>>続きを読む

タイタニック(1997年製作の映画)

4.5

黄金期のディカプリオが燦然と輝く壮大な愛の歴史。タイタニックは誰も止めることのできない2人だけの夢の世界、疾走する2人に降りかかる愛の試練、天高くそびえ立つラブストーリーの金字塔。後半はパニック映画の>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

4.0

ヨルゴスランティモスはロブスターだけ観ていてそれはあんまりしっくりと来なかったのだが、この作品はかなり好きな陰鬱映画だった。不気味なノイズ&ドローンが支配する一瞬の緩みも見せないピアノ線のような緊張感>>続きを読む

ダーティハリー(1971年製作の映画)

4.0

若かりしクリントイーストウッドがただただ強烈にカッコいい映画。ダーティハリーの誰にも媚びない姿勢と誰からも同情を求めない精神性に凄まじいヒーロー性を感じ、頑なに己の信条を突き通す姿に憧れを抱かずにはい>>続きを読む

ジョン・F・ドノヴァンの死と生(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

ドランの最新作は風変わりなストーリーだなと思ったら本人がディカプリオにファンレターを送った体験を基に作られていたとは。人気スタージョンFドノヴァンと11歳の少年の秘密の手紙の交流を描くヒューマンドラマ>>続きを読む

レ・ミゼラブル(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

この鮮やかな色彩のポスターからはおおよそ予想もつかないような大胆な裏切りをかけてくる衝撃作。監督デビュー作としてはあまりに完成されていてとてつもないクオリティなのは間違いない。抑圧された環境に生まれ誰>>続きを読む

小さな悪の華(1970年製作の映画)

4.0

2人の少女がタブーを冒しまくるグロテスクで官能的なパンドラの箱。悪の華という表現は少々かわいくしすぎたのではと思う。ここで描かれる少女は無垢で純粋な生き物なんかじゃない、悪に染まることに憧れ、大人たち>>続きを読む

東風(1969年製作の映画)

2.5

ゴダールの政治の季節ど真ん中なわけだがここまで来ると予備知識以前に理解を放棄するレベルでムズい。結末の一文でなんとなくそれっぽいことを見せられるくらいでリアルタイムでは当然脳が追いつかない。中国女の方>>続きを読む

中国女(1967年製作の映画)

3.5

難解であることを覚悟してゴダールの政治映画に飛び込んだ。毛沢東の文化大革命を予習してから観賞し、カバーしきれない圧倒的な情報量を前にペースを呑まれそうになったが結構楽しめた。政治に対して熱くディベート>>続きを読む

彼女について私が知っている二、三の事柄(1966年製作の映画)

3.0

ストーリーとしては住宅街のとある人妻が夫のいない昼間に売春をするというシンプルなものだがゴダールのことだから理解しようとしても一筋縄ではいかない。ある程度歴史をさらってから観賞しても膨大なゴダール哲学>>続きを読む

バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年製作の映画)

5.0

今さら言うまでもなく最高の映画。全てが羨ましくてキラキラしていて無性に十代の頃に思いを馳せるようなバブリーで天井知らずのアメリカンドリーム。キャラクターや設定、ストーリー展開の至る部分が愛くるしく憧れ>>続きを読む

未知との遭遇(1977年製作の映画)

4.0

もう子どもではないけど、それでも夢と希望を与え続けるまさにこれこそ心に残り続ける名作。宇宙人とのコミュニケーションのシーンは非常に画期的で思わず心が躍るような演出でスピルバーグの創造性の凄さを感じる。>>続きを読む

アノマリサ(2015年製作の映画)

3.5

悩める中年男が奇妙な精神疾患に苦しみながらも思いがけない出会いが待ち受ける、クレイアニメでありながら温かい質感を持ち合わせる風変わりな作品。このアノマリサの映像手法はストップモーションアニメーションと>>続きを読む

シックス・センス(1999年製作の映画)

3.5

何回か観て旨味がどんどん増してくる映画とはこのシックスセンスのことを言うのかもしれない。ホラーと思われがちだけどミステリー寄りの良作なので怖がる必要は全くない。やたらとどんでん返しを強調しているから初>>続きを読む

激突!(1971年製作の映画)

4.0

スピルバーグの長編一作目で1人の男の車が正体不明の重機に永遠に追い回されるシンプルな傑作。サイコ野郎のあおり運転。凝った設定とかもなく突然に起きた同じように続く出来事をここまで面白く描くのはスピルバー>>続きを読む

過去を逃れて(1947年製作の映画)

3.5

過去は過去のままで止めておけばいいものをと、この映画を観てそう思わずにはいられない。過去への執着が引き起こす思い込みと男を欺き利用する魂胆が見え見えで、女性の悪魔的な側面がリアルに描写されていて恐ろし>>続きを読む

あやつり糸の世界(1973年製作の映画)

4.0

念願のファスビンダー映画をようやく観賞。SF映画史の裏の重要作という風に位置づけられているが、一部と二部でテイストがだいぶ変わる。仮想現実がテーマで時代もあって派手なSFではなく惑星ソラリスみたいな哲>>続きを読む

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

4.5

これでアカデミー賞獲れなかったら審査員に復讐していいレベルのとてつもない集大成ともいえる演技を見せつけたディカプリオ。もはや憑依ともいえる鬼気迫る演技からは隣り合わせのリアルな生と死を感じ、その過酷な>>続きを読む

バベル(2006年製作の映画)

4.0

群像劇の鬼才イニャリトゥの点と点が繋がっていくオムニバス構造、不条理な現実を突きつける作風で今作はとうとう国を跨ぐ。モロッコ、アメリカ、日本の文化的背景から見えてくる異なる疎外感が充満していて重苦しい>>続きを読む

式日-SHIKI-JITSU-(2000年製作の映画)

4.5

スタジオジブリがスタジオカジノ名義で公開した唯一の実写映画、監督は庵野秀明、主演は岩井俊二という異色づくめの作品。社会を隔絶した工業地帯、赤を基調とした鮮やかな衣服や小道具、廃ビルを幻惑世界へと変貌さ>>続きを読む

ウイークエンド(1967年製作の映画)

3.5

もう意味わからん。ゴダールをまだそんなに観たわけではないが相当な問題作なのは間違いない。というかカオス極まってるしやりたい放題で過激なんて言葉じゃ収集つかない。甚だしい社会主張、渋滞のシーンのパニック>>続きを読む

男性・女性(1966年製作の映画)

4.0

1人の男と女さえいれば映画は成立してしまうというゴダールの真髄をイントロから感じさせてしまうリズムがあり、後半では1人の若者のノンフィクション的なインタビューを通して当時のフランスのモードを窺い知るこ>>続きを読む

小さな兵隊(1960年製作の映画)

4.0

ゴダールのトレンディーな恋愛模様を形成したアンナカリーナが覚醒した2作目。アルジェリア戦争の背景から抗えない運命と新たな男女の出会いが全てを狂わせていく。どんなに危険を冒しても理性のブレーキが効かず疾>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.0

復讐劇でありながら3人の人間による移ろいゆく心境にフォーカスしたヒューマンドラマ。何かが起きてしまったり起こしてしまったら既に手遅れな世の中だが、今よりもほんの少し希望がこぼれ落ちることの積み重ねだっ>>続きを読む

落下の王国(2006年製作の映画)

3.5

物語としては病室でのスタントマンの男と少女がおとぎ話を通して心の交流をするという舞台の切り替えがない映画だが、ファンタジー要素がほとんどで少女と同じ視点で異世界の冒険をするような変わった映画。そして絵>>続きを読む

ラストレター(2020年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

これはもう広瀬すずと森七菜の映画だし終始目が心地いい。Love Letterを彷彿とさせる一人二役の設定で現在過去の2つの舞台を往来する作りだったり、他人になりすました手紙のやり取りは明らかにセルフオ>>続きを読む

四月物語(1998年製作の映画)

3.5

大学生になってから初めて迎える春の季節に新しい期待感の高まりと都会という環境への戸惑い。慣れない生活の中でひっそりとした楽しみや自分なりの時間の作り方が求められる、自由だけどどこか孤独でまだ馴染みきれ>>続きを読む