hiyoriさんの映画レビュー・感想・評価

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まる(2024年製作の映画)

3.7

萩上直子監督の作品。ファンタジーな世界観の映画で、起こりゆくすべての不幸な出来事に受動的に風のように生きるけれども夢は捨てられない。受け入れることに慣れて、抗うことを忘れた堂本剛の浮世離れ感をした表情>>続きを読む

クワイエット・プレイス:DAY 1(2024年製作の映画)

3.5

マイケル・サルノスキの作品。本シリーズの1、2作目は未鑑賞だが、前日譚的な立ち位置ということで違和感なく観ることはできた。前作とはより視点を拡張し「クローバー・フィールド」のようなより広いフィールドで>>続きを読む

アイズ・オン・ユー(2023年製作の映画)

3.7

アナ・ケンドリックの作品。女性のみを標的にしてきたシリアルキラーを描くだけでなく彼が野放しにされていた実情、女性の尊厳が蔑ろにされてきた過去を暴くような覚悟をも感じる作品。最後の被害者が被害を受けたこ>>続きを読む

地獄の花園(2021年製作の映画)

3.7

関和亮監督の作品。バカリズムが脚本を務める作品としてのエッセンスが散りばめられた初めての映画でもある。OLがヤンキーのような派閥争いをするという時点で突拍子が無いのは言うまでもないが、真っ直ぐな王道シ>>続きを読む

セキュリティ・チェック(2024年製作の映画)

3.8

ジャウム・コレット=セラの作品。間違いなく「ダイ・ハード」と同じ系譜にあるクリスマスのホリデームービーではあるものの、脚本と編集に無駄がなく冒頭から緊迫感が継続したまま最後まで楽しめながら観ることがで>>続きを読む

ブリッツ ロンドン大空襲(2024年製作の映画)

3.8

スティーブ・マックィーンの作品。第二次世界大戦戦時下の民衆目線から描かれる物語。誰もが戦火を被る危険性がある中で彼らを分つものは死と生だけなのに心さえも貧しくなり差別が加速するのが遣る瀬無い世の虚しさ>>続きを読む

ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.7

マシュー・ヴォーンの作品。自ら作り上げた物語の登場人物、偶像に恋するメロドラマ系の映画かと思いきやそこから二転三転するシナリオが面白い。前半から勿論迫力のあるスパイアクションが見られたが、物語がリミッ>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.2

山中瑶子監督の作品。2時間超ほぼすべてに河合優実が映っている、河合優実による河合優実のための映画。女性は何かしら性規範の壁にぶち当たるとき知らず知らずに制約され受容する側に立つ。そのことに露骨に嫌悪感>>続きを読む

十一人の賊軍(2024年製作の映画)

3.8

白石和彌監督の作品。原案が既に存在していたところから派生した作品とはいえ、2時間半の大作となったのは「孤狼の血」でしっかりと東映との信頼関係を築いていたからだろう。山田孝之、仲野太賀らをメインに添えて>>続きを読む

本心(2024年製作の映画)

3.7

石井裕也監督の作品。テクノロジーが発達するに連れて職業は代替可能に、そして雇用は失われる。強者はより強者に、弱者はより弱者に。そんな世界は現在の暮らしと全くかけ離れたものではなくていずれはそうなること>>続きを読む

グラディエーターII 英雄を呼ぶ声(2024年製作の映画)

3.8

リドリー・スコットの作品。前作は残念ながら未見で鑑賞したが想像以上に続編を前提とした作りをしていた。ただ分かりやすく作っていたのでそこまで問題はない。「ナポレオン」以降エキストラを多く使ったり大胆なア>>続きを読む

トラップ(2024年製作の映画)

3.8

M・ナイト・シャマランの作品。ライブ会場という非常に現代的な題材ながら、あまり手のつけられていないシチュエーションを選択しそこで巻き起こる出来事の一つ一つがスリリングで面白い。ただそれだけではなく往年>>続きを読む

ぼくのお日さま(2024年製作の映画)

4.1

奥山大史監督の作品。「僕はイエス様が嫌い」との明らかな共通点が幾つか見られるが、監督自身の幼少期の記憶に基づいて作られた前作でやりきれなかったことを本作ではそれらすべてやりきろうというのが今回の命題ら>>続きを読む

ぼくが生きてる、ふたつの世界(2024年製作の映画)

3.8

呉美保監督の作品。「きみはいい子」以来約9年ぶり待望新作になるわけだが、変わらず物語に対する丁寧で誠実なリアクションが内在していて心に沁みる。「CODA」のオスカー受賞で話題になったコーダの物語。幼少>>続きを読む

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.8

黒沢清監督の作品。今年公開された三作はジャンル映画の回帰とも言っていいくらい制約無く自由に作られていたように見える。中でも本作は現代劇として転売ヤーをモチーフにしているところに他の映画には特異性を感じ>>続きを読む

ふれる。(2024年製作の映画)

3.7

長井龍雪監督の作品。親しい仲だからこその馴れ合いの中で善良な心しか見えなくなるのは上等なメタファーだ。歳を重ね上京し人は次第に自己を確立する。ここ以外のコミュニティがあり、他の世界があることに気付く。>>続きを読む

愛に乱暴(2024年製作の映画)

3.7

森ガキ侑大監督の作品。画面の比率がスタンダードサイズでかつ、ほぼほぼ江口のり子の主観に基づく映画であることから主人公の精神により近づくための映画になっている。言わば江口のり子のための映画でもある。主婦>>続きを読む

バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)

3.8

ラジ・リの作品。現代劇としてフランスの貧民街における本当の格差を描くという意味で確実に前作「レ・ミゼラブル」の延長線にある。誰も暴力の行使を望まずに民衆主義の制度の上に議論を行うことを望んでいたはずだ>>続きを読む

お母さんが一緒(2024年製作の映画)

3.7

橋口亮輔監督の作品。前作「恋人たち」から約9年ぶり、待望の新作だが、本作は完全に請負仕事。ペヤンヌマキ原作の舞台を脚色した作品になる。故に賛否は分かれているように見受けられるが、この手の作品にしては思>>続きを読む

化け猫あんずちゃん(2024年製作の映画)

3.7

久野遙子監督、山下敦弘監督の作品。ロトスコープを用いて実際の役者の芝居をアニメに落とし込んだという成り立ちそのものが新しくて面白い。中身はいかにも山下監督の映画の住人が空気感を作り上げているようで、そ>>続きを読む

モンキーマン(2024年製作の映画)

3.6

デヴ・パテルの作品。インドを舞台にストーリーもアクションも「ジョン・ウィック」さながらの仕上がり。露骨なまでの貧富の差が背景としてある社会情勢への反逆を宗教的精神と合わせ差別化を図っている。構想に時間>>続きを読む

箱男(2024年製作の映画)

3.7

石井岳龍監督の作品。冒頭から箱男とは何かという謎の説明から始まりながらも白黒でハードボイルドかつ、キレキレな音楽に滅茶苦茶興奮した。監視社会において完全な匿名性を得ること即ち箱男になるということ。箱男>>続きを読む

シビル・ウォー アメリカ最後の日(2024年製作の映画)

4.2

アレックス・ガーランドの作品。単なるもしも系ディストピア作品ではないことは見れば一目瞭然だが、社会派的な複雑な様相をした映画というよりは人間ドラマに焦点を当てている。ジャーナリズムにおける葛藤や覚悟に>>続きを読む

ラストマイル(2024年製作の映画)

3.6

塚原あゆ子監督の作品。「アンナチュラル」「MIU404」のシェアードユニバースムービーであることはそれほどどうでもいいことに感じたが、品が悪くならない程度に差し込まれていたので違和感はあまりなかった。>>続きを読む

新米記者トロッ子 私がやらねば誰がやる!(2024年製作の映画)

3.5

小林啓一監督の作品。不可思議な世界観や時代設定を瞬時に理解させようとする術は「恋は光」と同様。悪いけど本作はそれに付いていけなかったというか冷めてしまった。演出自体は奇抜で決してテンプレにハマるような>>続きを読む

エイリアン:ロムルス(2024年製作の映画)

3.7

フェデ・アルバレスの作品。本作は時系列でいうとエイリアン1と2の間らしい。前前作が「プロメテウス」、前作がその続編であることを考えると、「ターミネーター」ほどではないがユニバース的におかしくなりつつあ>>続きを読む

きみの色(2024年製作の映画)

3.7

山田尚子監督の作品。そして川村元気、サイエンスSARUが名を連ねる。作家性を重んじながらも世間に受け入れられる良作を作ってきた常勝集団がバックに付いてることは非常に大きい。物語の性質上音楽映画でもある>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.8

ジョナサン・グレイザーの作品。おそらく今年最もアート作品としての濃度が高く玄人向けの作品になるだろう。故に気付くべき真相に気付けばゾッとするような場面は多い(後から解説を見て気付くことも)。そのように>>続きを読む

ツイスターズ(2024年製作の映画)

4.0

リー・アイザック・チョンの作品。日本ではかなりB級映画っぽい予告だがそれに反して滅茶苦茶面白く、昨今停滞気味だった古き良きハリウッド映画の復権を象徴するような映画。「ミナリ」の監督が映像、音響でも大迫>>続きを読む

ルックバック(2024年製作の映画)

3.5

藤本タツキ原作のアニメ映画。作り手側の話だからこそ絵には相当力を入れていて漫画の描写がそのままアニメとして動き出したような作画になっている(実際に漫画から削っている場面はほぼないらしい)。近年の「TH>>続きを読む

湖の女たち(2023年製作の映画)

3.7

大森立嗣監督の作品。覚悟はしていたが思っていた構造とは二、三違う作品になっている。言ってみればペドロ・アルモドバルの「パラレル・マザーズ」みたいなことなんだろうか。刑事としても男性としても威圧的な福士>>続きを読む

ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

3.8

アレクサンダー・ペインの作品。名作は数知れずだが、時代や価値観、思想の変化に流されずに人情味を持って映画を作るスタンスに今回もシンプルに胸打たれた。70年代の空気感、フィルムの質感で真正面から描かれる>>続きを読む

メイ・ディセンバー ゆれる真実(2023年製作の映画)

4.2

トッド・ヘインズの作品。「キャロル」や「ダーク・ウォーターズ」のような良作を残しながらも作品毎に演出の色が全く異なるため良い意味で掴みどころが無く箱を開けるような面白さがある。その点においては本作も同>>続きを読む

あんのこと(2023年製作の映画)

3.7

入江悠監督の作品。本作は実話に基づいてはいるが、過去作品にも通ずるようなドキュメンタリー的な視座で捉えられる映像に十分過ぎるほどの意欲を感じる。河合優美も相変わらず素晴らしい。絶望に浸ることにも慣れた>>続きを読む

違国日記(2023年製作の映画)

3.8

瀬田なつき監督の作品。邦画にしてはやや長尺だが、是枝監督ばりに日常的な時間の流れから心の靄を洗い出そうとする意志さえ伝わる良作。夏帆も出演してるから「海街diary」っぽさも感じた。喪失と同情から始ま>>続きを読む