萩上直子監督の作品。ファンタジーな世界観の映画で、起こりゆくすべての不幸な出来事に受動的に風のように生きるけれども夢は捨てられない。受け入れることに慣れて、抗うことを忘れた堂本剛の浮世離れ感をした表情が最後まで作品の尾を引いている。一見コントのような劇画っぽくなりそうな展開の連続の中に唯一リアルを持った主演俳優がいるということに本作における重要さある。「川っぺりムコリッタ」「波紋」あたりから決定的に何か方向性を変えている。すべてが手放しで賞賛できるものではないが作家として概念追求をしているのは良い状態なのではないだろうか。普段映画も観ない連中から酷評されるほどの映画ではないことは間違いない。