映画としてという観点から見ると『アントマン&ワスプ:クアントマニア』より全然評価できるのだが、果たしてそれは正しい評価なのだろうか。前作で新鮮だったシーンの数々がちゃんと引き継がれているが、それ故に新>>続きを読む
こういう映画を見ていると、いかにギャグが下ネタと恋愛に頼っていたのかが分かる。クリス・パインのギャグ演技は見事で、これまでの映画で見せていたようで見せていない演技が非常に楽しい。その彼と相棒のミシェル>>続きを読む
楽しそうなニコラス・ケイジ、そしてもっと楽しそうなペドロ・パスカルを堪能する映画。楽しそうに語らう二人と古典的なテンポのギャグが面白かったので、後半のギャングとの抗争は正直どうでも良かったです。あと、>>続きを読む
題材は幾らでも重く掘り下げられるし、主人公の心情は変わっても現実はむしろ暗転。なのに深刻になり過ぎない独特のテンポが面白い。女性映画監督の歴史を紐解く女性映画監督が主人公の映画、というあらすじ以上の楽>>続きを読む
最初から最後まで、「こんなん泣くやろ」「こんなん上がるやろ」というシーンが連続していて、それが一切薄ら寒いことになっていないんだから、これはいい映画ですわ。作画より演出の妙だと思う。演奏シーンではどの>>続きを読む
見事。伝家の宝刀的に挟み込まれる2Dアニメが、本当に伝家の宝刀になっている。他にもカット数を減らすことによってより派手に見えるアクションシーンの数々は目を見張る。これだけで一見の価値ありどころか、大画>>続きを読む
絶賛の嵐の続編に備えて予習。元となった童話の個々の要素をうまくアニメーションに昇華していて楽しめる。余計なものを徹底的に削ぎ落としたドリームワークスらしい作品だが、故に物足りなさもある。アニメーション>>続きを読む
『ファーザー』でこちらの度肝を抜いた次作は、驚くほど基本に忠実な映画。教科書のような対面での撮り方、室内の撮り方。故に物語も脚本以上に演出で予感できてしまうところもあり、あの結末も夫婦の死亡フラグみた>>続きを読む
仮面ライダーを全く通っていなくて、本作のために初代を3話ぐらいまで見た身からすると、そこで感じた違和感を思い切り払拭してくれる冒頭10分が良かった。仮面ライダーは基本殴る蹴るだけなのに何であんなに敵が>>続きを読む
「風刺映画」としては非常に上手いが、「映画」としては頭でっかち過ぎやしないか? 『フレンチアルプスで起きたこと』や『ザ・スクエア』はもっとスマートだったような気がする。これら2作より分かりやすさは上だ>>続きを読む
農作業の描写が非常に丁寧。ロングショットも寄りのショットも必然があって生き生きしている。こちらが悲しくなるような貧困描写よりも、苦しみを味わった二人が狭い環境で身を寄せ合うロマンチックさが優先されてい>>続きを読む
こういうロケーションだとロジャー・ディーキンスの撮影がいかにすごいか分かるなぁ、というぐらいしかグッとくるところがなかった。目線の演技が多過ぎて余白がなさ過ぎるし、紋切り型みたいな仲の深め方をただただ>>続きを読む
楽しかった。この内容を132分でまとめられたら、MCUやることなくなるんじゃないのと思う程度には親指を立てたくなる娯楽作。根底はコメディで馬鹿馬鹿しいシーンもたっぷりあるけど、まとめ上げるところで一段>>続きを読む
予想はしていたが、御涙頂戴ものでも心躍るものでもなく、映画って怖いよね、芸術家になるって恐ろしいよねということが最初から最後までずっと続く。少年時代、嫌がる子供を映画館に連れていく夫婦は、まるで禁断の>>続きを読む
題材からして、なるほど今の時代に即した作品なんだなと高を括ると痛い目に遭う。ポール・ヴァーホーヴェンがそんなことをする筈もなく、時代性やモチーフに頼らない見事な主人公が繰り広げる過激なドラマとなってい>>続きを読む
雪の中で繰り広げられるゴリゴリの頭脳戦は非常に画になる。名匠チャン・イーモウらしい手堅い演出が非常にマッチしていて、まさに眼福とはこういう作品なのだろう、という時間を過ごさせてもらいました。故に所々と>>続きを読む
最高。最初からこれはロマンスでありサスペンスなんですよ!と宣言しているので、明らかな伏線のカットもあからさまを通り越して見せびらかすかのように撮る。それを皮切りにありとあらゆるカメラの使い方が飛び出し>>続きを読む
ルカ・グォダニーノの手にかかれば、ティモシー・シャラメの涙も、テイラー・ラッセルの鼻水も、マーク・ライランスの涎も、何もかも美しい。映画が上手すぎる。カメラを置く場所が的確過ぎて、映る画に次々と脳がと>>続きを読む
「当てのない旅」を見事に映像化。冒頭のパーティーシーンからして、主人公は決して仲間はずれになっていないのに孤立しているのがありありと伝わる。それを可能にしたのは揺れ動くカメラと、主演のセイディ・ハーラ>>続きを読む
奇妙なおとぎ話、という言葉がぴったり。古典ファンタジーを下敷きにしつつ現代的な話と奇妙に接続された、孤独な女性と孤独な魔人が織りなす奇妙なラブストーリーは可愛くも奇妙で切ない。メッセージはディズニーの>>続きを読む
見逃さなくて良かった。北欧を舞台とした壮大な復讐劇バトルアクション映画を豪華キャストでやりましたという顔ぶれだけど、ロバート・エガースという監督のアート嗜好な持ち味が存分に発揮された作家性も備わってい>>続きを読む
超面白かった。丁寧な説明台詞&回想シーンの連続だろうが、これだけ魅力的な役者の見事なパフォーマンス、的確過ぎる小道具の使い方、素晴らし過ぎる照明、超うまそうな料理の数々が揃えば大満足。そして脚本のまと>>続きを読む
泥棒ムービーとしてのミニマルな作りが最高だったアントマンが、どんどん壮大になってしまうのは致し方ないとしても、あらゆるスペース・オペラを雑に切り貼りしたような展開、ポストプロダクション頼りでしかない絵>>続きを読む
チャゼルの映画はいつも創作の苦しみを超えて、創作という行為に関する恨みが込められているように見える。成功するにはこれぐらい苦しまないといけないんだよ、みたいな怨念が感じられて、成功を掴む瞬間の美しさは>>続きを読む
2023年は映画を見る本数をぐっと減らそうと思います。映画が嫌いになったとかではないですが、まあ色々と考えて。なので今年初映画です。
内戦を狭いコミュニティの二人の関係と重ね合わせる構造、台詞による>>続きを読む
ああ、楽しかった〜とうっとりしてしまう。凝りに凝った美術、豪華すぎる俳優達、まさに年の瀬に見るのに最高(無論新年早々でも良し)。前作との繋がりはないけど、探偵ブノワ・ブランがあらゆる事件に顔を出し、本>>続きを読む
絶賛の声に抗えず鑑賞。素晴らしかった。原作はキャラの名前と幾つかの名言、それと「スラムダンクの深津をほめるおじさんについて」という有名なブログ記事ぐらいしか知らないけど、全然楽しめました。本当にあの絵>>続きを読む
冒頭、ボクシングジムで練習の音が一つずつ増えていく、何とも気持ちいい音的快感。ミット打ち、ドアの開め、そしてコロナ禍の都会の雑踏の音までも、全てがリアルで胸に響く。劇伴がない本作では、この音が余りにも>>続きを読む
ノア・バームバック、三たび再びNetflixに降臨。特に前作ではこれ以上ない真っ直ぐな傑作映画を作り上げた彼が、今後は好き放題に大暴れ。多分初の原作モノということもあって、脚本の滑らかさは幾分か後退し>>続きを読む
大傑作とまでは言わずとも、絶品の映画であることは間違いない。文字通り命懸けの綱渡りを繰り返す主人公が、ただ生き延びるための行為に別の意味を持たせる、あのラストシーンが余りにも美しくて大号泣してしまった>>続きを読む
自己責任論がはびこる現代において、この映画がもたらす意味はどれほどあるのか想像もできない。主人公のモナはひたすら周囲には攻撃的で、楽して生きていたいという思想を隠そうともせずに振る舞う。見ず知らずの人>>続きを読む
徹底的に作り込まれた世界観、それだけで大勝利。言葉(人語)で説明しなくても、練りに練られた上で構築されたことが分かる。クリーチャーも人間(?)もどんな見た目だろうとイキイキとしている。つくしあきひと先>>続きを読む
別にダークヒーローでも何でもない、単なる頑固者にしか見えないようなシーンも多々ある、演出と脚本の間の抜け方は何とかならないのか。ロック様のキュートさとカリスマ性頼みの展開、そこにピアース・ブロスナンと>>続きを読む
相変わらずエンドロールの中盤にこっそり自分の名前を忍ばせる石川慶監督の最新作。いわゆる「深淵を覗いているとき〜」系で、その手の作品は海外でその上を行く作品がたくさんあるものの、日本映画の閉鎖的な空気感>>続きを読む
この作品は『サクセッション』を見ていないと完全には理解できない。監督マーク・マイロッドは当該ドラマのメインディレクターだし、当たり前のようにアダム・マッケイも製作にクレジット。徹底的に白人の金持ちを色>>続きを読む
近年のディズニー・ピクサー作品の安易なヴィランを作らないという方針には諸手を挙げて大賛成なのだが、それがより一層極まったように思える。終盤の展開はサプライズも兼ねた決意表明のようにも見えて、そこまで徹>>続きを読む