ヒロシーさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル(2022年製作の映画)

3.5

どうやらVol.3はなかなかハードらしく、その前日譚はこれぐらい終始楽しくいくべきだよね。マンティスさん大活躍。そういえば色々に色々あったジェームズ・ガンのMCU復帰作でもあるのか。『ピースメーカー』>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

3.5

異形な者達に常に寄り添うデル・トロ監督の撮るピノッキオなだけに、こういう話になるのは非常に納得で、説得力もある。ストップモーションも楽しい。何より背景の美術、小道具の生々しさは、いかにもハリー・タウゼ>>続きを読む

グリーン・ナイト(2021年製作の映画)

4.0

伝承を基にした物語だけあって、神話的で上品な物語が展開される。しかし主人公はシェイクスピア劇の主人公のような弱々しさを持つ男(デヴ・パテル最高!)で、それが今この映画が作られる意味を持たせている。緑と>>続きを読む

マーベル・スタジオ スペシャル・プレゼンテーション:ウェアウルフ・バイ・ナイト(2022年製作の映画)

3.5

MCU何でもありかと、バリエーションの豊かさより節操のなさを感じてしまう感はあるが、普通に楽しかった。確かに可愛いけど、ホラー苦手な男はこれでも十分怖いよ。

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

4.0

キュアロンが『ROMA/ローマ』で始めた自伝的に故郷を撮る作品ブームに、その同胞・イニャリトゥも乗らないわけにはいかない。しかしやっぱりイニャリトゥ、安易なノスタルジアには絶対に身を任せない。毒をたっ>>続きを読む

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年製作の映画)

3.0

う〜ん……、良作ティーンムービー『ブックスマート』の次は、監督としてのオリヴィア・ワイルドの手腕をより見せつけるべきだと思うんだけど、正直本作はそれには似つかわない。企画段階でこういうの作ってください>>続きを読む

イルマ・ヴェップ(1996年製作の映画)

3.5

とにもかくにも雨に打たれて宝石を投げ捨てるマギー・チャンのカット。映画と現実の区別がつかなくなる、というのはあそこだけなのに、説得感を持たせるのに十分。窓越しなのに声が普通に聞こえる不思議も映画の魅力>>続きを読む

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー(2022年製作の映画)

3.5

おふざけがあったり、とっ散らかったり、方向性が見えなくて混迷しているようにも感じられるMCUフェイズ4のラストは、これ以上ないほどに誠実な作品。余りにも大きな喪失を経た製作陣は、そのポッカリ開いた大き>>続きを読む

窓辺にて(2022年製作の映画)

4.0

評判が良かったから見に行ったら、本当に良かった。ラブストーリーというよりは愛をめぐる問答のような脚本だが、これが本当に素晴らしい。恋も愛も理解しようとすればするほど頭が痛くなる、その本質へと逃げずに向>>続きを読む

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

3.0

低刺激、という言葉に尽きる。やろうとしていることは分かるし、そのテーマを物凄く誠実に描こうとしているのも伝わる。しかしその結果、挑戦姿勢が見られなくて、私が好きな映画的なカタルシスは後退してしまったと>>続きを読む

暴力をめぐる対話(2020年製作の映画)

4.0

スマホが台頭して以後のドキュメンタリーとして非常に正しい作り。政府側もデモ側も含め、暴力を行使しているということは明白で、それは分かった上での正当性や人道的な問題へと議論は進む。善悪は見ている側に委ね>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

4.0

自国の歴史にいかに意識的であるか、という課題に老齢監督が向き合ったらこうなる、という円熟味満載の作品。スペイン内戦の遺骨発掘と新生児の取り違え、この2つの道筋が並行に進められる流れは非常にスムーズ(所>>続きを読む

ヒューマン・ボイス(2020年製作の映画)

3.5

行き場を失った犬が超可愛かった。狂ったティルダ・スウィントン眼福。

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還(2003年製作の映画)

4.0

三部作だからこその感動を『スター・ウォーズ』とは違う方向性で達成したのは見事。合戦シーンの撮り方は『二つの塔』のほうが好きだけど、ちゃんと違う側面の戦争の絶望をフィルムに収めている。その中で輝くアラル>>続きを読む

王立宇宙軍 オネアミスの翼 4Kリマスター版(1987年製作の映画)

4.0

庵野秀明展で本作の作画にぶっ飛ばされて、リマスター上映の機に鑑賞。全編に渡る圧倒的作画、それによってもたらされる豊潤な世界観。特にメカニック周りに関しては一級品。説教くさいシーンは最低限で、アニメとし>>続きを読む

RRR(2022年製作の映画)

4.5

『バーフバリ』負けず劣らずのトンデモ映画。気がついたら数十メートル跳躍しているし、どれだけの筋肉があろうとあり得ないような投擲や掴み技がどのアクションでも繰り広げられる。そして『バーフバリ』にはなかっ>>続きを読む

アフター・ヤン(2021年製作の映画)

4.0

非常に上質なSF。アンドロイドの謎に迫るという設定だからこそ、人間の心や愛情の複雑さが身に沁みる。冒頭の驚愕の家族○○○でポカーンとさせられたと思いきや、一気にしんみりとなるトーンの転調も面白い。その>>続きを読む

バズ・ライトイヤー(2022年製作の映画)

2.5

う〜む、と首をかしげざるをえない作品。全員がツッコまざるを得ないと思うけど、これでアンディはオモチャが欲しくなるのか、と。活劇的な要素が全然魅力的に描かれない。もっとどうなるのかどうかというハラハラな>>続きを読む

レッサーパンダを抱きしめて(2022年製作の映画)

4.0

泣いてしまった。優しさと愛に包まれたドキュメンタリー。初の責任者全員が女性という事実が、いかにこの作品にエネルギーを与えたか。ドミー・シーの自伝的映画だ、と断言できなくなった。スタッフ全員の過去がこの>>続きを読む

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)

4.5

傑作。監督やスタッフが「キュート」という概念の難しさを語っていたけど、その試行錯誤が見事に作品に現れている。日本のアニメ・漫画的表現をエッセンスとして加えることで、華麗なアニメーションの可能性をより広>>続きを読む

スペンサー ダイアナの決意(2021年製作の映画)

3.5

奇しくも日本では英国王室に今まで以上に眼差しが向けられている中での公開となった。Netflixの『ザ・クラウン』で、豪華絢爛で熟練した演出の中でエマ・コリンが完璧な若いダイアナの苦悩を見せつけた今、ダ>>続きを読む

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002年製作の映画)

4.0

『バーフバリ』二部作も『ゲーム・オブ・スローンズ』も、このシリーズの影響を避けて通れなかったことが分かる2作目。人の群れを遠くのカメラから撮る画には胸躍らざるを得ない。そしてそういう画が撮れているから>>続きを読む

PIG ピッグ(2021年製作の映画)

3.5

『マンディ 地獄のロード・ウォリアー』的なものを望んでいたら面食らう。前半、ニコラス・ケイジ演じる主人公がある場所に向かう時にこちらが気構えるものの、それは裏切られる。その後の問題の解決方法は、こちら>>続きを読む

アテナ(2022年製作の映画)

4.5

最初から最後まで長回しの連続。え、どうやって撮ってんの?と叫びたくなるような群衆の間をえぐるものから、俳優を信じていないとできないずっと一人の人物のエモーションを捉え続けるものまで。『レ・ミゼラブル』>>続きを読む

グレイマン(2022年製作の映画)

4.0

冒頭の刑務所の面会、無駄な会話もあるのに映画的に無駄がない会話だ!みたいなあのシーンでニヤニヤしてしまう。MCUから解き放たれたルッソ兄弟によるアクション映画は、超分かりやすく古典的な物語(誰が死ぬか>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.0

決して物語の謎解きを楽しむ映画ではない。監督が言及している日本アニメの影響も頷ける子供のひと時の冒険という構図はちゃんとありながら、どこか幻想的な雰囲気をショットではなく画作りで成し遂げている。大きな>>続きを読む

イントロダクション(2020年製作の映画)

4.0

こっちを先に見るべきだったなぁと思うけど、上映時間の都合上仕方ない。こっちは下手すると最近のテレビシリーズの1エピソードより短い上映時間ながら(しかも白黒!)、とてつもない芸術性の高みを体験させてくれ>>続きを読む

あなたの顔の前に(2020年製作の映画)

4.0

一人の中年女性の故郷における過去巡り、それだけ……ではないけど、物語としてはありがち。なのに滅茶苦茶面白い。相変わらず横向きで映す食事シーンは言わずもがな、カメラで切り取られるシーン全てが映画に化けて>>続きを読む

ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

3.5

初見。原作に関する予備知識もほぼなし。だから思う存分楽しみました。また三部作とは聞いていたけど、本当に三部作だった。ここまでクライマックスを用意していない映画とは思っていなかった。故に壮大な幕開けには>>続きを読む

ゆるキャン△(2022年製作の映画)

3.0

余りにも過剰なテレビシリーズファンへのサービスは目に余るし、それが出てくるたびに私が好きな映画からはかけ離れていく。しかし、心のどこかにまだいるアニメを見まくっていた頃の自分は明らかに大歓喜しており、>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

5.0

2020年代。metooを経たハリウッドでは、恋愛映画を作ることはかなり難しくなっている(恋愛要素を雑に含んだブロックバスターは相変わらず量産されているが)。そんな中で、まさか15歳と25歳の物語がこ>>続きを読む

わたしは最悪。(2021年製作の映画)

4.0

人生の転機になろうとも何も起こらず、ただ変わるべきだと思っているだけの毎日を送っている女性が主人公。思考は論理的なのに行動は思いつきのまま、相手のことを考えているのに相手の思いまでは考えない、つまりは>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.5

『ゲット・アウト』『アス』で確実に実力を見せつけてきたジョーダン・ピール、本作でさらに映画監督として飛躍したのではないか。搾取構造で搾取される側にいた者達ばかりが登場人物だが、だからといってそこに対立>>続きを読む

エルヴィス(2022年製作の映画)

4.0

あのエルヴィスの音楽のルーツには黒人音楽があった、という音楽好きには当たり前の事実をこれでもかと前面に出す構造は、2020年代の映画としては大正解。さらに彼を搾取に次ぐ搾取の被害者として描き、それが彼>>続きを読む

劇場版 RE:cycle of the PENGUINDRUM [後編] 僕は君を愛してる(2022年製作の映画)

4.0

よくやってくれた、と言いたい。やっぱり『さらざんまい』以後にあえて過去の作品を映画として蘇らせるなら、ここまでやり切ってくれるんだろうなと期待していたところをちゃんとやってくれた。その予感を感じさせて>>続きを読む