Hiromasaさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

SING/シング(2016年製作の映画)

4.0

終盤、ブタの子どもたちが出てきてから終始泣きっぱなしであった。
一見ただの懐メロ的作品に見えて、そうでもない。古き良き劇場を再興する話ではなく、むしろ崩壊したその廃墟からの出発を描いた傑作。

トゥルー・クライム(1999年製作の映画)

5.0

2回目 2021.4.6
季節はずれのクリスマス映画。イーストウッドは嫌がるかもしれないが、エンディングに『痛快ウキウキ通り』を流したらよかったのでは。
「遅れてごめん!残念無念!すまない気持ちはサル
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バンド・ワゴン(1953年製作の映画)

4.5

芸人たちの生きる姿が、他ならぬ芸そのものとして映し出される作品。談志がこの作品を好きだったのはよくわかる。初日の舞台が大コケした夜のシーンは涙なしに見れない。ここでは「映画」それ自体が一つの芸能史の中>>続きを読む

ラスト・ボーイスカウト(1991年製作の映画)

4.5

「負け犬」探偵がアメフトのスタジアムでジグを踊って大喝采を浴びるまで。どうやってもシリーズ化できない容赦ない展開が潔い。密談テープを早回ししようとしたら絡まって聴けなくなるところ、これこそ映画の呼吸だ>>続きを読む

名探偵ホームズ2 海底の財宝の巻(1984年製作の映画)

3.5

軍人気質を茶化した一篇。教授がホームズの弔いするときに1人だけ本当に泣いてる手下かわいい。しかしやっぱり名探偵がこんなに好人物なのは変だと思うな。

名探偵ホームズ1 青い紅玉(ルビー)の巻(1984年製作の映画)

4.0

内容はと言えばひたすら追いかけっこするだけだけど面白い。ホームズのマントの後ろがひらひらしてて凄い。あと、霧の中で馬車のホームズを見間違えるシーンが良い。ただ、ホームズがこんなに好紳士じゃダメだと思う>>続きを読む

アイアンマン3(2013年製作の映画)

5.0

「鉄」のアイアンマンに対して「火」の敵が登場。後追いの観客だけど、1の頃から色々な戦いを経て、トニー・スタークの政治や科学に対する考えも深められてるんだなと思った。
あと、クリスマスとかミステリー的な
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イーストウッド語られざる伝説(2013年製作の映画)

3.0

有名な俳優や監督たちにインタビューしているが大して面白い裏話はない。しかしこういうのは一種のお祭りみたいなものだからいいんじゃないか。
悩んだり苦しんだりせず、あっさり撮ってしまうイーストウッドの作家
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デコトラ★ギャル奈美(2008年製作の映画)

4.0

当たり前と言えばこれ以上当たり前のこともないんだけど、睦雄と奈美が別のトラックに乗っているからこそ、このラストシーンは成立している。その事実に感動してしまう。

『アルプススタンド』だけ見て「結末が納
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セロ彈きのゴーシュ(1982年製作の映画)

4.0

ベートーベンと宮沢賢治の過去作を再解釈しアニメ化することで「近代」と「芸術」について思考した作品。たとえば、ゴーシュの虎狩りの曲が絶賛されたのはなぜかとか、観客にこそ問いは出題される。

あと猫がかわ
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マッドボンバー(1972年製作の映画)

3.0

正義の制裁を下す爆弾魔と、悪徳刑事の対決。『ダーティハリー』的な「私刑」と「法」を扱った映画としてはへなちょこな作品に見えるが、モンタージュ写真のあり得ない一致など、奇妙に辻褄の合ってしまうパラノイア>>続きを読む

アベンジャーズ(2012年製作の映画)

4.0

昔、これ単体で見たら全然はなしがわからなかったけど、そりゃそうだなと。
宇宙人同士のゴタゴタと、アメリカの歴史とか色んな話が結びつく作品。狭い部屋でアベンジャーズたちが口げんかするシーンには笑ってしま
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旅のおわり世界のはじまり(2019年製作の映画)

5.0

あらゆる意味で自由な(「映画とは自由である」みたいな制約からも逃れて)、まったく無責任に撮られた作品。こんなに風通しのいい映画は、他にない気がする。
公開時あまりにも好きだったので3回も見に行ったけど
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カサノバ(1976年製作の映画)

3.5

よく言われる、フェリーニの「機械」と「祝祭」という主題が「カサノバ」という主題にとてもマッチしている。
だからもちろん傑作なのだが、ここでのフェリーニは、すでに主題と方法を手に入れて何を撮っても傑作に
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8 1/2(1963年製作の映画)

4.0

この作品を見ると、作家とは作品を作ることを通してものを考えていくのだなと思う。「人生は祭りだ。共に過ごそう。」この真理もまた、映画を作ることの中から見出されている点が、この作品のすばらしさではないだろ>>続きを読む

女教師日記 禁じられた性(1995年製作の映画)

2.5

中田秀夫はホラーよりメロドラマを撮りたいと言っていたらしいが、この作品でも序盤の「ストーカーに狙われる女教師」というサスペンスはすぐに弛緩し、メロドラマに回収される。

草叢/不倫団地 かなしいイロやねん(2005年製作の映画)

4.5

建物のショット、子供たちの声、廃品回収の声によって構成される「団地」というフィクションの中で人間が生きて動いている。普通のピンク映画にある「無意味な濡れ場」が、この作品には無い。

ホーリー・モーターズ(2012年製作の映画)

3.5

映画ファン向けのサービス旺盛な作品。CGを演技論との関連でポジティブに使っている点で映画史的にも重要だろう。

キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー(2011年製作の映画)

4.0

ひ弱だが、正義感あふれる男が、キャプテンアメリカに変身する。途中までフォードの『ウィリーが凱旋するとき』を思わせる、いかにもアメリカっぽい傑作。敵が黄金バットみたいな顔なのも面白い。

キッド(1921年製作の映画)

4.0

少年の投石の身振りがすばらしい。そして、あまりにも見事なオープンエンド。
終盤の「夢の世界」シークエンスを見ると、キリスト教的な無垢への憧憬がチャップリン作品のベースにあることがわかる。大岡昇平がこの
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平成狸合戦ぽんぽこ(1994年製作の映画)

5.0

涙なしに見られない名作。
確かに高畑はアニメを利用して説教かましてるだけかもしれないが、それの何が悪いのかと思う。というか、この作品では徹底して「戦略」についてのみ語られている。
あと、キツネがずる賢
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紅の豚(1992年製作の映画)

3.0

死者を見たことで、世の中から「下りた」男のナルシシズム。それは同時に豚になる「呪い」でもある。わりと嫌悪感を抱く人もいるだろうが、こういう作家の在り方もありだろう。

ゾンビ/ディレクターズカット完全版(1978年製作の映画)

4.5

これを見てないとお話にならない名作。ショッピングセンターに群がるゾンビの動きを通じて、現代人の欲望が表象されている。
ただし長すぎるので、90分くらいで終わる前作の「ナイトオブザリビングデッド」の方が
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ゾンビーバー(2014年製作の映画)

2.5

別にゾンビーバーじゃなくても普通に凶暴化したビーバーでいいんじゃないかと思った。しかしビーバーは陸上だとゆっくりしか歩けないので、ちゃんと「ゾンビ」的な状況になる。
円環構造が、むしろ何の主題もないこ
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グエムル -漢江の怪物-(2006年製作の映画)

3.5

これもよかった。現代版「ジョーズ」。
怪物を生み出すのもアメリカ人、わけわからん脳手術をするのもアメリカ人。とアメリカ嫌いが伝わってくるのも面白いが、土手の向こうの町を見せないことでそれだけで終わらな
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ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー(2018年製作の映画)

4.0

スターウォーズを見てたのも数年前なのですっかり話を忘れていたが、これ単体で楽しめる。というか普通に、孤独な流れ者「ソロ」を主人公にした西部劇の良作。ただし、その中でチューバッカという友人との友情が描か>>続きを読む

キートンのセブン・チャンス/キートンの栃麺棒(1925年製作の映画)

4.0

映画史上最も「過激」な作品の一つ。nagashingさんも書かれているがキートンの身体がもはやスーパーマリオ的な記号と化していて笑ってしまう。

マルクス一番乗り(1937年製作の映画)

3.5

本作の主題は「病院」と「競馬」であり、なぜその2つなのか意味不明なのでまず可笑しい。だいたい、マルクス兄弟の映画は途中でつまらん歌と踊りのシーンがあるのだが、本作ではその中にハーポが黒人たちと一緒に踊>>続きを読む

丹下左膳餘話 百萬兩の壺(1935年製作の映画)

5.0

再鑑賞。大河内傳次郎の丹下左膳も良いが、さらにジャンプカットなどの技法が使われて「映画」のすばらしさを感じさせる名作。ただ、スクリーンで見たときの方が良かったな。

ウンベルトD(1952年製作の映画)

3.0

下宿の娘が良かった。この娘は、別に爺さんに同情したり助けてくれたりはしないのだが、わりと変人なお爺さんの存在自体が好きだったので、最後には唯一人別れを悲しんでくれるのだ。

國士無双(1932年製作の映画)

3.0

フィルムが欠損して20分しかないらしいが、ショートコントの連続みたいな作品なので、正直20分でちょうどいいんじゃないかと思ってしまった。ただ、コントとしては楽しめる作品で、伊丹万作のモダンな笑いのセン>>続きを読む

赤西蠣太(1936年製作の映画)

3.0

原作は志賀直哉だが、スパイ映画のはしりみたいなもので、片岡千恵蔵が敵味方「一人二役」をやってるのがミソだろう。
按摩が斬られるまでのシークエンスや、手紙と女がオーバーラップするところは面白い。ただ、残
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スノーピアサー(2013年製作の映画)

3.5

普通上下の階層で表されるのを列車という横向きにした寓話作品。結末がとてもすばらしい。「パラサイト」はこれをさらに一捻りした感じか。
映画としては基本的にグロ描写とブラックユーモアで見せて行くB級ホラー
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ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

2.5

とてもよくできたお洒落コメディ。俺みたいな野暮な人間が見るものではなかったな…

ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃(2001年製作の映画)

3.0

初代「ゴジラ」だけが存在する世界線。ゴジラは戦死者の残留思念の塊として登場し、人々は容赦なく殺されて行く。人が死ぬシーンにいちいち緊張感が感じられる傑作。
ただし、ゴジラとの戦いを助けてくれるのはなぜ
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超LIFE(2014年製作の映画)

5.0

ほとんどフェリーニの傑作みたいな。「東京恋愛専科」のところでは雪じゃない白い何かが舞ってるし。