アガナシInOUsさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

カフカの「城」(1997年製作の映画)

3.4

カフカの映画化にしては整理されすぎてる(カメラも横移動が多くて、ひたすら平面と室内のバリエーション)し、トリアー監督『ドッグヴィル』的な、機械的な物語の単調さが強まってる(とはいえ、トリアー監督より先>>続きを読む

それでも私は生きていく(2022年製作の映画)

3.6

「言葉」(父親の認知障害や言葉遊びゲーム)の機能不全が映画全体を貫いてる。レア・セドゥの表情は、泣きそうな一歩前を耐えてる。

ホワイト・ノイズ(2022年製作の映画)

3.7

たしかに微妙な映画やった……死の不安に溢れてる現代社会の寓意映画(ホラー・パニック・サスペンス・コメディと横断的ではあるが効いてない)やけど、絶妙にマヌケた家族(親と子の繋がりに対するバームバック監督>>続きを読む

その夜(2021年製作の映画)

3.8

監督の過去作「歩道橋は消えた」が、今にして回顧される。このアクロバティックな時間感覚、ただこれだけで胸が詰まる。そこに香港の(過去)がスッと入り込む。

私たち(2021年製作の映画)

3.8

一定のリズムを持った「私的ヒストリー(ホームビデオ)」の挿入と、バライエティのある街ドキュのコラージュ作品。作家性・観察性が両方強くて、奇妙な感覚になる。

小説家の映画(2022年製作の映画)

4.0

映画監督の妻が「一緒に住んでる者です」って言うの、ブラックユーモアが効きすぎてて笑えない。

バルド、偽りの記録と一握りの真実(2022年製作の映画)

4.4

マジで全然違うけど、クロード・シモンの小説『路面電車』を思い出した。

東ベルリンから来た女(2012年製作の映画)

4.3

東独って舞台からサスペンスフルなメロドラマなのかの思ってたし、間違ってないけど、ペッツォルト映画のなかでは最も「映画」的な作品じゃないか。ある意味じゃ「ゴダール」的と言えなくもない。正直これは意外だっ>>続きを読む

あの日のように抱きしめて(2014年製作の映画)

4.5

ペッツォルト映画の中で一番面白かったし、珍しく良い終わり方。ペッツォルト版『マリア・ブラウン』。結局は、裏切りの真偽や夫の愛情が明らかになりきらない感じは、やっぱペッツォルトやけど。

Wolfsburg(原題)(2003年製作の映画)

3.7

事故で子供を轢いてしまう男と、轢かれた子供の母親とのメロドラマっていう、ペッツォルト感の強い映画のわりには、凡庸の域に留まっている。執拗なほど自動車を撮ってるし、なんなら少し頼り過ぎな気もする。

イェリヒョウ(2008年製作の映画)

4.5

とても丁寧かつ大胆な映画。

映画冒頭から「落ちる」のを運命づけられてる自動車が、案の定「落ちる」のは気持ちいい。ペッツォルト監督は、自動車こそ、物語を進める機械だと思ってそう(『Wolfsburg』
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TAR/ター(2022年製作の映画)

3.9


冒頭から「これはSNS上の切り取られた現実の映画だ」とか「レズビアンの映画だ」とか布告するようなカット。

根本的には『ジャンヌ・ディエルマン』だと思う。反復と差異が巧妙に設計されてる(カメラの位置
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