ラスコーリニコフさんの映画レビュー・感想・評価

ラスコーリニコフ

ラスコーリニコフ

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013年製作の映画)

3.8

欲望渦巻くウォール街を描いたクライム映画。何よりもデカプリオの怪演によって作品が彩られている。ストーリーとしては、時間をかけてウルフがウォール街に堕ちていく様子を描いているのが面白い。ドラッグ、女に溺>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.0

架空のゴッサムシティを通じて、現代アメリカの分断の闇を描く傑作。バットマンユニバースとの繋がりはありつつも、独立した作品として楽しめる。この作品を見て、ジョーカーに同情しない人物はいないのではなかろう>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

3.8

認知症の世界観を表現した斬新な作品。何一つ確かなものを認識できず、時間は連続しない。最愛の娘の顔すら一貫しないし、おそらく事故で亡くした娘の死も受け入れられていない。人間としての尊厳が失われつつある中>>続きを読む

セント・オブ・ウーマン/夢の香り(1992年製作の映画)

3.8

アル・パチーノの怪演に惹き込まれる作品。退役軍人と教育格差というアメリカの長年の課題がテーマとなる。高校生がベテランと出会って人生を学んでいくのは実に理想的な展開のように思う。退役軍人の方も主人公を教>>続きを読む

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

4.0

ベトナム戦争の闇を暴いた新聞記者のドキュメンタリー。今は世界的なメディアであるワシントン・ポストの出世記事がここにあるとは知らなかった。メディアと政治の距離はいかにあるべきかはある意味で永遠のテーマで>>続きを読む

スティーブ・ジョブズ(2015年製作の映画)

3.2

伝説的な起業家ジョブズの伝記作品だが、その輝かしい面はまるで描かれず、娘との暗い関係の修復に焦点が当たる。ジョブズには虚像の一面があるのは事実であろうが、視聴者の求める側面が全く描かれておらず、時間の>>続きを読む

オデッセイ(2015年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

火星に取り残された植物学者が火星の環境と戦うSF作品。ただ、SFの要素は陳腐化しているところがあり、例えばAIは発展していないのに除染技術は発達しているようで、そこはかなり齟齬がある。また、最後の見せ>>続きを読む

ベルファスト(2021年製作の映画)

3.5

北アイルランドの中心都市ベルファストでの記憶を語る自叙伝的作品。とはいえ、この作品からはアイルランド紛争を語ろうという決意を感じられない。白黒とカラーの対比により、主人公の子供が映画に関心を寄せている>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

パラレルワールドのスパイダーマンが一致団結する物語。とはいえ、事の発端はあまりにもしょうもないことで、正体がバレたことをなかったことにしようもする「のび太」的発想だ。そこからパラレルワールドのヴィラン>>続きを読む

戦場のピアニスト(2002年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ナチスから迫害されるユダヤ系ポーランド人のピアニストの実話をベースとした物語。先が見えている辛さはこの手の作品の共通項だが、家族があっさりと殺されながらも懸命に生き抜こうとする力強さを感じる。そして、>>続きを読む

マイケル・ジャクソン THIS IS IT(2009年製作の映画)

3.7

マイケル・ジャクソンが好きかどうかだけで判断される映画だろう。MJの滑らかなダンスは天才的としかいいようがなく、リハーサルであってもその表現力が減殺されることはない。そこにあの突き抜ける歌唱力が合わさ>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

3.8

脳の想像を具現化するデバイスが開発されるというSF作品。当たり前のように悪用する人物が出てきて、それを二重人格者の主人公が解決していく。もはや発想としては王道になっているが、この当時であればそれなりの>>続きを読む

劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~(2019年製作の映画)

3.6

人気シリーズの劇場版だが、久美子が2年生なのはこの作品しかないようだ。アニメでいきなり3期を見るとかなり混乱することになるので要注意。内容としては後輩を指導していく側面のほうが強調されているように感じ>>続きを読む

名探偵コナン ハロウィンの花嫁(2022年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

安室さんが出てくるが、基本的に幽閉されているのであまり見どころはない。警察学校編を見るとさらに楽しめるようだ。ただ、声優に詳しいと誰が犯人かは見ただけで明らかだった。

名探偵コナン 緋色の弾丸(2021年製作の映画)

3.6

赤井さんを始めとして、FBIとの絡みが見どころの作品。個人的には安室さんの方が好きだと再確認できた。

インフィニティ:無限を旅する(2022年製作の映画)

3.8

無限に関する知的な旅を描いている。結論として、数学的に無限をイメージすることは出来るが、物理的に無限は存在しないということだろう。仮に物理的に無限があるとすれば、どこかに地球が存在し、自分の複製体まで>>続きを読む

トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

3.8

トム・クルーズの代表作の続編。相変わらず謎の敵と闘っている。前作はソ連だったが、今作はイランか。ストーリーラインは本質的に前作と変わらないが、前作を伏線として扱うことで、エモさが増している。この作品の>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.0

映画をある程度見る人は必修となる映画。映画の構成要素である音にスポットライトを当てるが、地味な作業が映画のクオリティに繋がることが、歴史的な作品の数々を紹介することで明かされていく。トーキーの衝撃から>>続きを読む

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

60〜70年代のアメリカにおけるマイノリティを描き切った叙事詩である。この作品にはマイノリティしか登場しない。軽度知的障害者、女性、アフリカ系、負傷退役軍人に焦点が当たり、ケネディ大統領からニクソン大>>続きを読む

ガンジー(1982年製作の映画)

4.3

伝説的な指導者ガンディーの生涯を描いた作品。これは同時に大英帝国から巧みに独立したインドの建国神話でもある。プロローグにあるように、事実を描くことに則しているので、彼の独自の哲学がいかにして形成された>>続きを読む

かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-(2022年製作の映画)

4.0

甘酸っぱい恋愛頭脳戦もとうとう本当のフィナーレを迎える。今回のテーマは恋愛におけるペルソナということになろう。相手の見ているペルソナは、自分の全てのペルソナではない。それは当たり前のことでもある。恋の>>続きを読む

劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編(2022年製作の映画)

3.3

唐突にオーガの生き残りがいたという伏線が貼られて、そのキャラと絡んでいき、問題に巻き込まれて、それを水戸黄門的に裁定していくといういつものフォーマットが踏襲される。ただ、この作品のファンであっても、こ>>続きを読む

ディパーテッド(2006年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

マフィアへのスパイと警察へのスパイが対決する物語。所属する組織は違えど、上司には逆らえないところは奇妙に共通している。どちらが勝つのかという駆け引きが手に汗握るわけだが、最初に出し抜くのはマフィアであ>>続きを読む

シャッター アイランド(2009年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

陰謀への解決を探るかと思いきや、自分こそが精神病だったという話。とはいえ、途中で伏線は散りばめられており、大きなショックというほどではない。途中でようやく正気になろうかというシーンがあるが、どうにも最>>続きを読む

劇場版 魔法少女まどか☆マギカ 新編 叛逆の物語(2013年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

社会現象となったアニメの続編だが、当時はそこまで話題にならなかったと記憶している。まどかの犠牲によって魔法少女の仕組みが変わり、魔女への堕落はなくなったはずだが、ほむらの執念とも言える愛により、世界の>>続きを読む

ゴッドファーザーPART III(1990年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ゴッドファーザーの最終作であり、栄華を極めた男の悲劇が描かれる。元妻の言いつけがついに功を奏して、ローマ教会を通じたロンダリングが図られていき、ようやく真っ当な生き方を望む希望が芽生えてくるが、これが>>続きを読む

ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

ゴッドファーザーとなったマイケルと、先代のヴィトーの物語が交錯する。テーマは家族愛、友情である。マイケルは権力を集中していくが、極めて当時のアメリカらしく、夫婦関係が破綻し、離婚する。ファミリーの維持>>続きを読む

ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

伝説的なマフィア映画。戦後直後のアメリカの闇社会を描く。シチリア出身のドンとその息子の継承を描くが、まずドンの大物感が半端ではない。演技力の高さもさることながら、彼の言動は傑物としてのすべてを表してい>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

3.8

天才姉妹であるヴィーナスとセリーナの父親の物語。ここにはアフリカ系男性の苦難が象徴されている。ルイジアナでKKKから迫害され、警察にも目をつけられており、安全に生きることの大変さが身についている。娘を>>続きを読む

天使のくれた時間(2000年製作の映画)

4.0

あり得たかもしれない家族愛の話。ひょんなことから大富豪がただの家庭人になり、人生のあり方を探っていく。子供の世話は面倒で、仕事も彼にとっては退屈なものだった。しかし、慣れてくるとこの安定した日常が最も>>続きを読む

キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン(2002年製作の映画)

4.0

青年詐欺師とそれを追いかける冴えないFBI捜査官の話。ルパン3世のようなコメディタッチだが、裏のテーマは家族愛である。主人公は常に理想的な家族像を追うが、それは現実と付合するものではない。恵まれた詐欺>>続きを読む

新聞記者(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

安倍政権での様々な不祥事を基にしたフィクション。望月記者や前川次官も登場するが、これはドキュメンタリーではない。神崎、吉岡、杉原には、子供の視線への意識という共通項がある。神崎は指示に従うしかないこと>>続きを読む

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー(2022年製作の映画)

3.9

言わずと知れた大人気作品の最新作で、これまでとは違うキャラクターにフォーカスを当てる。つまり、悟空とベジータ以外が主人公である。ドラゴンボールといえば、どうしても「一番つええ奴は誰か」を決めるアクショ>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

3.8

SFものだが、多分にスターウォーズの影響が見受けられる。例えば、一面に広がる砂漠、不思議な力、そして未来を見通すという側面が挙げられる。ただ、それはネガティブな意味ではなく、むしろ面白さの源泉とも言え>>続きを読む

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

実話に基づくテロとの戦いを濃密に描く作品。作品の冒頭から終わりまで、終始アクションが続くため、休まる暇のない作品だ。ホテルマンとしての矜持は痺れるものがあるし、顧客の身勝手な行動も究極の状況下では仕方>>続きを読む

最高の人生の見つけ方(2007年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

死ぬ間際、何をするべきかを描くヒューマンドラマ。二人がたまたま同じ病室に同居することで、二人の人生は大きく変わる。この作品は、病気が治るとかの奇跡を描くものではなく、ごくありふれた死への向き合い方を示>>続きを読む