8Niagara8さんの映画レビュー・感想・評価 - 11ページ目

8Niagara8

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仁義なき戦い 代理戦争(1973年製作の映画)

4.2

恐ろしく、血腥く、息を飲むほどの人間活劇。

広島を超えてより大きなスケールになり、利害関係の駆け引きがさらに複雑化し、血で血を洗うことの残虐性、無意味性、エスカレートによる矛盾がまざまざと描かれる。
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肖像(1948年製作の映画)

3.7

木下恵介と黒澤明という信じられないようなタッグ。

救いようのない人間の自堕落な部分にもしっかり手を差し伸べる温かさ。
そこまで長くない本編に人の変化の機微が優しく描かれて、直接的ではないにせよ励まし
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GONIN(1995年製作の映画)

4.1

実にスタイリッシュでかっこいい。

凄惨なほど血腥く、泥沼じみたものがありながら、男たちの争いに惹かれる。男色的な匂いを漂わせながら、スリルもあり、特に後半は展開に息つく暇もない。
時折挟まる冷たく恐
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仁義なき戦い 広島死闘篇(1973年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ぐっと引き込まれた。
人間関係の面白さはあるし、大友はヒールとしてバッチリ。
尺も内容を考えるとベストに思える。

靖子と山中、2人の運命に同情を覚えてしまう残酷さ。
道理なんて通用しない世界を、そこ
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黒い家(1999年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

悍ましすぎる。

始め夫の方がおかしいのかと思いきや、比にならないほどのヤバさを持っていた妻。
ラストはもう大竹しのぶの独壇場。

冒頭の日常から一気に地獄に突き落とされていく様がよかった。
カットが
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39 刑法第三十九条(1999年製作の映画)

3.1

メッセージ性の強い、思考を求める作品であった。
いわばどんでん返し的なシナリオであり、だからこその説得力とも言える。
世の不条理について考えさせられる。

いちいちの映像が怪しげで、ダークで、重々しく
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双生児 GEMINI(1999年製作の映画)

3.1

思ったよりかは、怖い要素は少なめで、どちらかというと、どこか物寂しさを感じるような作品。
それぞれの過去が徐々に明かさられることで話の展開や見え方がすっかり変わってしまう。
退廃的な色使い、世界観が続
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日本侠客伝(1964年製作の映画)

3.4

ヤクザものだが、男と女の様が美しい。
なお一層男の逞しさが映える。

高倉健もそうだが、萬屋錦之介のカッコよさがキャラクター含めて抜きん出てたと思う。
ただの男たちの血腥い争いにならないところにむしろ
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地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.3

このレビューはネタバレを含みます

鮮烈な印象。

狂気的な殺人鬼のキャラクターが強烈で、松重さんのデカさが圧倒的というか、妙な色気を漂わせて、無力ささえ覚える凄み。
素性がわからない余白の残し方もいい。
助かったというポジティブな終わ
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めまい(1958年製作の映画)

3.8

イカした構図、サイケで物々しげな雰囲気、毒々しさを帯びた音楽による世界観の統一がよい。

練りに練られた脚本でこれは騙されるだろうなという素晴らしいもの。全編通して面白く、さらに後半特にクライマックス
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アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.6

画作りが素晴らしい。構図、色使い、奥行きの作り方など好み。

チャプター分けされていることもあって、全体の緩急の作り方みたいなのはよかったと思う。

ストーリーはあんまりといったところで、エイリアンの
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生きものの記録(1955年製作の映画)

3.8

三船敏郎恐るべし。
最初は1人爺さんがおかしくなっているように確かに思えるのだが、話が進むにつれて段々と水爆の脅威を感じるようになっていて、この辺りも流石。
ただエゴも描かれており、そして善悪二元論に
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街の上で(2019年製作の映画)

4.9

このレビューはネタバレを含みます

観ている時はしっかりとした感触はなかったが、終わったあと振り返っての余韻が最高。
今泉作品の中でも一番好きかもしれない。

大好きな若葉竜也、彼メインのこの作品はまた別の魅力を知るに有意義だった。いつ
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未知との遭遇 ファイナル・カット版(2002年製作の映画)

3.5

なんか途中までとっ散らかってるなという印象が強い。
とはいえ演出を見てると、これ以降のSF諸作に影響を与えたことがよく分かり、その点でも重要作なのだろう。

最終的な終わり方は素晴らしく、我々の夢だけ
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突撃(1957年製作の映画)

3.8

説得力に満ちた90分弱。

戦闘シーンはキューブリックらしく、映像の迫力というか、現実的な残酷さも描き、他のシーンでもやはり映像の力を感じる。

理路整然で勇敢なダックスに目がいくのとともに、他の軍人
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

3.8

天使が主人公でありながら、描かれているのは実に人間的なもの。
モノクロの画面が街を彷徨うことにより、社会における人間の寂寞な側面が見えて、それがよかった。
ヴェンダースの小津的なる部分も感じ取れる全編
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博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(1964年製作の映画)

4.1

全編を通して、風刺に富み、それでいながらプロットもしっかりしていて、尚且つ映像や台詞の端々にセンスが満ち溢れている。

お粗末そのものといった登場人物それぞれだが、ある種我々に内在するヒステリーや間抜
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酔いどれ天使(1948年製作の映画)

3.7

三船敏郎のいわゆるイメージとは似て非なるものかなと。

松永は流石に気の毒なほど追い詰められ、孤独感に苛まれ。
岡田の登場がストーリーをいっそ面白くし、作品をより練度の高いものにしたかと。
病という見
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女と男のいる舗道(1962年製作の映画)

4.5

アンナ・カリーナ圧巻。
当然美しくもあるが、同時に悲哀を見せ、どこか哀れな感じがなんとも。
踊るシーンは可憐で鳥肌もの。

『西鶴一代女』を観てるような感もあり。

ゴダールらしく哲学的で、実際哲学を
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ラストエンペラー(1987年製作の映画)

3.8

脚色されたところも含め長さが気にならない大作といった感じである。

時代に翻弄された人物としての溥儀の姿をよく捉えており、彼の人生を追体験するには見事なクオリティ。
ジョン・ローンの好演で持っている部
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こんにちは、母さん(2023年製作の映画)

4.0

個人的にとても刺さった。

緩急のリズムが最高。会話劇であることも作用しているが、松竹映画らしくやや大仰な感じに言いようのない懐かしささえ。
こういう作品がいつの世も観られればいいのにと思ってしまった
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ゴッドファーザーPART II(1974年製作の映画)

4.9

時間軸が行ったり来たりなので、やや複雑ではあるが、このプロットだからこその面白さ。ヴィトーの台頭とマイケルの悲劇的没落のコントラストが実に素晴らしい。
時代的変化をファミリーの物語に落とし込み、興味深
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バービー(2023年製作の映画)

3.7

バービーをメインに据えながらして、このパッケージなのに感嘆。

真面目なメッセージも込められていながら、バービーのキャッチーさを上手く使いエンタメ映画としての面白さも垣間見せるのもいい。オープニングを
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ゴッドファーザー(1972年製作の映画)

4.4

恐るべき完成度というか、離れ業というか。

長尺でありながら、全体に様々な要素を巡らせて、絶妙なバランス。
マフィアという男性社会における因縁、女が居るからなおそれが色濃く映る。
コルレオーネ全体をて
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カランコエの花(2016年製作の映画)

3.4

短いながらに、若年者たちの本音と建前、残酷さみたいなものを垣間見た。

さくらが求めてたのはそうではなかったし、まわりに求められていたのもそうではなかった。
彼らがこの出来事を対してどう接し何を考えた
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アイネクライネナハトムジーク(2019年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

出てくる男がみんなどうしようもない感じで、ウィンストンが頼みといったところで、出てきた藤原季節見て号泣。
華麗な伏線回収は流石。

今泉映画にしてはフィクション要素が強くあったが、これもこれでありかと
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セトウツミ(2016年製作の映画)

3.4

シュールな笑いというか、エッジが効いてる感じがよかった。

2人の関西弁での時に丁々発止な、時に息のあった澱みない畳み掛けるような、言葉の応酬が小気味良く、心地よい。

時間が短いだけあって樫村のフッ
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パルプ・フィクション(1994年製作の映画)

4.5

全てにおいてクール。

血腥いながらも、構図の美しさによる洒脱な映像体験。
兎にも角にも150分におけるプロットが素晴らしく、ラスト15分の展開は最高。
そして音楽のセンスが良すぎるのも飽きないポイン
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花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

自分は好印象。
リアリティがありながらも、どこか映画的な要素を帯びているのが実にいい温度感だった。
ラストに向けての感じも好きだった。

2人とその周りの人たちを眺めると、恋愛に関わらず、人との関係性
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

期待値というか、想定していた展開とは違っていて面食らった部分があったが、時間が経ち反芻すれば、素晴らしい作品だったなと振り返る。

青年にも満たないような彼らに映る風景はある種歪なものかもしれないし、
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ラヴソング(1996年製作の映画)

3.7

一歩間違えればドロドロなメロドラマ。

許されざる恋でありながらも、それを止められない熱情は美しくもある。
テレサの歌は見事で、特にグッドバイマイラブのシーンは感情揺さぶり最高であった。

前を向いて
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レオン 完全版(1994年製作の映画)

3.4

ナタリー・ポートマンの眼力に惹かれる。
ジャン・レノ、ゲイリー・オールドマンの種類の異なりつつも血腥いかっこよさ。

マチルダにとって僅かな期間で生まれた愛はその後の人生にどう影響するのか。
生と死は
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.9

実にジブリ的なるものとそうでないものを衝突させ、昇華させたらこうなりますよ、といったようなカオス。

確かに伏線は回収されないし、展開は冗長なところもあるが、それを上回って余りあるトータルパッケージじ
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