大鳥涙さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

大鳥涙

大鳥涙

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過去のない男(2002年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
予定調和的なストーリーだが、ラストは幸福感に包まれる。北欧の透明な空気が映像をシャープにして、フォトジェニック感が抜群だ。

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.5

MIとかインディとか観ていたら、こんなミニマルな世界に触れたくなるもの。贅肉をそぎ落として、ある男の心理をコミカルに追う。こんな得体の知れない話から、そこはかとなく立ち上がる人の哀れや幸福が伝わり、ド>>続きを読む

裸足になって(2022年製作の映画)

3.5

虐げられる女性の咆哮を描くと何処か独りよがりな意匠になりがちだが、本作は美しい創作ダンスにに昇華させて心に響く。芸術は世界を変えることが出来るということ。途中のドラマ部分が雑な感はあるが、中々の佳品。

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.5

007はゴージャスな欧州、MIはスマートな米国と感じていた。今作も変わらず、アクションはよりダイナミックとなり、長編ながら息もつかせない。欲を言えばスマートなスパイ・サスペンスの部分が足りなかったかな>>続きを読む

サントメール ある被告(2022年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリー畑出身らしい新鋭の大変な力作なのだが、あまりに画が単調過ぎて、物語の深みにハマっていけないきらいがある。
打破困難な人種や性差による壁を描き、さらに切っても切れない血の連鎖(キメラ!)
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

作家が抑えなく心情を吐露すると、新進気鋭が撮ったような軽やかな意匠になることが多い。本作もそんな感じかな。
宮崎駿は躍動感と寂寥感がハーモニーを奏でるところが好きだった。今作は音が外れている部分もあっ
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インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.0

レイダース失われた聖櫃は、その後量産されるこのジャンルの作品の原点だった。あのクライマックスの荒唐無稽ながらも圧倒的な迫力と爽快感が忘れられない。
本作にはそんなカタルシスが無かった。残念だなぁ。

Sun and Concrete(英題)(2023年製作の映画)

3.0

On the way from Munich
微妙なティーンエイジャー達が、ふっと悪に染まっていく。ブレーキの効かない暴走列車のようだ。列車の燃料たる家族背景が何とも切なく、かつて暮らしたベルリンの街
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ハンナとその姉妹(1986年製作の映画)

4.5

On the sky to Munich
アレンの作品で一番好きだ。機上で見つけてつい観てしまった。
幸せに溢れるラストが素晴らしいなあ。

最悪な子どもたち(2022年製作の映画)

3.5

On the sky to Munich
虚と実の境界が不明瞭になっていく瞬間がある。真を実存に求めた時、本作の主人公たる少年の眼が雄弁だった。
カンヌ映画祭「ある視点」部門の受賞作なので、是非劇場公
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ヴィレッジ(2023年製作の映画)

3.0

Netflix
陰湿な地方の風土を描く作品は、古今東西で制作されてきた。その系譜に環境問題を落とし込んでいるようだが、雰囲気描写に流されて説得力に欠ける。この監督の何時もの作風で、散漫なドラマだと思う
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カード・カウンター(2021年製作の映画)

3.5

贖罪をテーマに、シュレーダーが描く硬派なドラマ。この人の世界はずーと変わらないなあ。ちょっと一本調子になっちゃうところもあるけど、端正な画造りは好感がもてる。

遙かなる帰郷(1997年製作の映画)

3.6

Amazon Prime Video
やっと観れた!公開から何年経ったのかな。
フランチェスコ・ロージって、初期の作風からどんどん変わっていく。晩年は優しく柔らかくなっていく。人の顔のアップを堂々と撮
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.0

睡魔に襲われレビュー出来ず。情け無い。きっと良い映画なんだろうけど、五感を研ぎ澄ませて見始めないと駄目なんでしょう。
いつか観なおそう。

怪物(2023年製作の映画)

4.0

不寛容な社会に幸せは訪れない。作り手の優しさが孤独な魂に寄り添い、自由へと導いてくれる。仄かながらも希望を感じさせる脚本に拍手。晩年の坂本龍一が求め与えた博愛が、作品に乗り移ったかのようだ。

EO イーオー(2022年製作の映画)

3.0

21世紀の「バルタザールどこへ行く」。耳障りな音や映像の点滅は、人間の嫌な面を直感的に感じさせ、デジタル時代の演出らしいなあと思う。尤も、私は好きではないけど。
EOは愛らしく、愚かな動物の筈のロバが
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未来を生きる君たちへ(2010年製作の映画)

3.5

WOWOW
暴力の連鎖を自己犠牲で断ち切ろうとするが、その壁は途轍もなく高い。性善説と性悪説がせめぎ合うストーリーにハラハラしつつ、でも意外とラストは甘かった。
未見だったスザンネ・ビア監督作品。もっ
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TAR/ター(2022年製作の映画)

4.0

骨太なドラマを堪能できた。まさに「盛者必衰の理をあらはす」の意をTARの生き様に描き、それはまた我々も程度の差こそあれTARになりうる戒めでもあった。今やケイト・ブランシェットは大女優だ。今年の観るべ>>続きを読む

時の翼にのって/ファラウェイ・ソー・クロース!(1993年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
ロードムービーに代表される魂の放浪はヴェンダース作品の核心で、それは実存主義に立脚していると感じている。ベルリンを見つめていた天使たちが、地上に降り立って人間にな
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情事(1960年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
学生時代は全く解らなかった愛の不毛だが、今回も決して理解したとは言い難い。けれども、寒々とした地中海の風や、表裏一体の人の世を想起させるラストの構図なんかから、絵
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.5

這いつくばって生きる人々が、それでも苦渋な人生を笑い飛ばして、遂には小さな幸せを引き寄せる。力強い生き様を、敢えて声高に叫んでいない脚本と、未だ若い部類に入る役者3人の演技に拍手だな。
笠松則道の静謐
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死刑執行人もまた死す(1943年製作の映画)

4.0

Amazon Prime Video
解りやすい表現主義の演出で、ナチスへの怒りを示した。ユダヤ人のフリッツラングが戦時中に撮った意義は大きく、史実と異なっていても、伝わるメッセージに説得力がある。こ
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パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.5

Amazon Prime Video
漸く鑑賞が叶ったご贔屓アルモドバルの近作。血縁と家族を繋ぐ愛情の変遷を描いて、アルモドバルの心情が吐露されているとみた。
最近は直球勝負の意匠が多く、円熟の境地に
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.5

最近は演劇>映画みたいな作品が多くて、本作もその一本。せめてベルイマンのようなカメラワークや、イニシェリン島のように外に出てくれれば、映画=演劇に近づけた筈だ。それをしないのがこの監督らしいと言えばそ>>続きを読む

ベルイマン島にて(2021年製作の映画)

3.5

WOWOW劇場見逃し鑑賞
結局、皆んなベルイマンを尊敬しているんだ。まさにベルイマンの如く、主人公の女性の奥底を観察する。それを入れ子構造を成す劇で見せた脚本が俊逸。でも、もっと現実と融合してほしかっ
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AIR/エア(2023年製作の映画)

3.5

アルゴと同様のジャーナリスティック・エンターテイメント作品という意匠を感じる。解りやすく、面白く、カタルシスもある。いかにも頭の良い米国人が撮った映画。CEOに味があるシノプシスは、監督へのご褒美だな>>続きを読む

生きる LIVING(2022年製作の映画)

3.0

何か雰囲気に流されて画を追っていくだけの、厚みに欠ける残念なリメイクだった。黒澤明の「生きる」を咀嚼出来ているとは思えないな。

仕掛人・藤枝梅安2(2023年製作の映画)

3.5

人間は弱い存在だ。だからこそ、欲、恨、情のような理性で抑えられないものに縋って、そしてそこに人間が闇に落ちる罠がある。善行と悪行は表裏一体。梅安や彦さんの表情が豹変する様が雄弁に語っていた。
ご贔屓の
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トリとロキタ(2022年製作の映画)

4.0

ダルデンヌの映画は何時も切ない。圧倒的な絶望感のなかに、でも、そっと希望を持たせる。今作はそれすら無く、見終わって心底打ちひしがれた。サスペンス要素を消せばケンローチに近いかな。
相変わらずクオリティ
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シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

3.5

そうだ、仮面ライダーは孤独なヒーローだったんだ。不条理にも人生を奪われた男という解釈が、TVシリーズで育った世代には突き刺さる。忘れかけていた物語が蘇った。寂寥感に満ちたこのストーリーに、テリング部分>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.0

眼に見えないものを映すのが映画だと言われるが、正にその通りの作品だった。繋ぐ画と画の間に、苦渋も希望も垣間見たように思う。行雲流水の如く生きていく人々に心を奪われ、前向きに足を進めてくれる秀作だった。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.0

今やバーチャルと現実の境界が曖昧となりつつある時代、意識の揺らぎをメタバースの世界で繋ぐ手法が新鮮だ。けれどもそのスピードに観る側が追いつけないので、一方的に見せられた感が強く、映像の間に想像して、統>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

3.0

On the sky from Abudhabi
気になっていた見逃し作品。
食事しながらはとても観れなかった。ブラックも度を過ぎるとちょっとなあ...

グロリア(1980年製作の映画)

4.5

Amazon Prime Video
もう何度も観ているカサヴェテスの佳作だが、急に観たくなって配信で鑑賞。
人生の曲がり角で、一人の女性が母性に目覚めていく。力だけの男性は脆く、女性と子供の知恵が
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ちひろさん(2023年製作の映画)

3.0

Netflix
今泉調って名付けて良いのかな。淡々と、しみじみと市井の人の暮らしぶりを追う。人間は浮き上がるみたいな台詞をさらりと加えて。
ファンには失礼なんだろうけど、有村架純じゃなくてもっと実力
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

3.0

映画館が舞台なので、当然の如く出てくる往年のタイトルにセンスを感じる。サム・メンデスって、シネフィルだったんだ。
同様の問題を突いた作品では、マックイーン監督のスモール・アックスを昨年観たばかりで、あ
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