Saitoさんの映画レビュー・感想・評価

Saito

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7月の物語(2017年製作の映画)

4.0

第一部はまたもイケてないフランスのヴァカンス。湖なのか池なのか分からないが庶民の避暑地にパッとしない女子2人。くだらないことで小競り合いになり、しかし最後には何事もなかったように仲直りをする。このしょ>>続きを読む

サスペリア 4Kレストア版(1977年製作の映画)

3.5

色鮮やかなライティングと幾何学っぽい凝った美術、不穏で謎めいた展開をプログレ劇伴が盛り上げる。4Kで観る価値有り。よく考えるとカルト教団系ホラーとしても後続にインスピレーションを与えているかもしれない>>続きを読む

破墓/パミョ(2022年製作の映画)

3.5

先祖の呪いで米系韓国人家族が不幸に見舞われるが調査を進めるうち更にヤバいものが現れる。序盤はじっとりしたアジアンホラーで、なぜこんなところに墓を、とかこれは二重埋葬…?、とか不気味な儀式の痕跡がワクワ>>続きを読む

血のバレンタイン(1981年製作の映画)

3.5

田舎町のアホなガキ共がエロいことをしまくるために20年ぶりにバレンタインデーパーティーを企画するがピッケルを持った炭鉱夫姿の男が町人をブチ殺しては「バレンタインは中止!」と警告する。趣向を凝らした殺人>>続きを読む

みんなのヴァカンス(2020年製作の映画)

4.0

モテない男3人の短い夏休み。ロメールの夏物語、ロジェのトルテュ島の遭難に連なる緩く起伏が無いのに何故か感動的なフランスのヴァカンス映画。しょうもなく、洒落てもない、プールと川で過ごす庶民の野暮ったいヴ>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

3.7

ブリュッセルに住むイスラム系移民のシングルマザー、ハディージャが仕事帰りに終電を逃してしまい、歩いて帰路に着く。道中で出会うのは移民と思しき深夜警備員、不法滞在者、コンビニ店員、ホームレス、自宅にいる>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

4.0

怖くて自殺できないので殺し屋に自分を標的にしてくれと依頼する男。主演がジャンピエールレオと大物だが基本はいつものカウリスマキ、と思っていたらいきなりジョーストラマーが出て来て演出もいつもよりポップに。>>続きを読む

Stopmotion(原題)(2023年製作の映画)

3.0

著名なストップモーション作家だが抑圧的な老母の下で制作に従事する女が精神を病んでいく。パペットの素材に生物を使用し始めるアイデアは不気味だし嫌なグロもあり、徐々に心拍数が上がってあっこれはヤバい画が映>>続きを読む

関心領域(2023年製作の映画)

3.8

暴力を直接描写しない演出は珍しくないが、幸福で平坦ですらある日常生活の背後に聞こえる叫び声や焼却炉の煙、控えめで異常な会話等を延々と見せ続けられると徐々に具合が悪くなってくる。
関心が無い、関心を持ち
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クイーン・オブ・ダイヤモンド(1991年製作の映画)

3.5

ベガスのカジノで働く女性の空虚な日々。うんざりする超長回しや孤独や断絶を表現する為のロングショット等アケルマンの影響を感じまくる。荒涼としたベガスの風景やギラつくカジノと対照的に常にチルな主人公。その>>続きを読む

アビス/完全版(1993年製作の映画)

3.8

最近の映画みたいなヌルヌルな4Kだったら嫌だなと思っていたが、絶妙な塩梅に仕上がっている。確かにめちゃくちゃ綺麗でグレインもほぼ無いと言えば無いのだが、映画的な質感は保持されており気持ち悪くない。深み>>続きを読む

夏物語(1996年製作の映画)

3.9

消極的で受動的だが自意識だけは強いガスパールくんがバカンス先で流されるままに美女3人に三股をかける。アジア的な世界観だとドロドロしてセンチメンタルになるはずだが、それぞれに自我の強い美女たちとの遊びと>>続きを読む

Baghead(原題)(2023年製作の映画)

2.0

死んだ親父から継いだバーの地下に何故かいる魔女Bagheadを使って降霊してたら逆にやられる系ホラー。コンセプトはユニークだが全然面白く無い。
いくら言ってもルールを守らない登場人物達によって物語が進
>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.0

冒頭の物理で悪魔祓いするシーンで期待が高まったが、特にその手の映画という訳ではなく普通にウェルメイドなエンタメホラーだった。しかしヴァチカンのヤバい体質が明らかになっているのに特にそこにはお咎めなしな>>続きを読む

オーメン(1976年製作の映画)

3.0

地味すぎる映画だがロケ地がヨーロッパなのと想像力を掻き立てる不気味な設定のおかげで成立している。なんで教会で山犬を親に持つ悪魔の子が産まれるの、という気持ち悪い感じを、ザファーストでちゃんと気持ち悪く>>続きを読む

オーメン:ザ・ファースト(2024年製作の映画)

3.8

有名なのにみたこと無いホラー映画筆頭のオーメン前日譚。ダミアン誕生の背景説明がキリスト教=権威に対する批判になっているのだが、それが冒涜的な皮肉として表現されていて良い。原作は地味だったが今作はそこか>>続きを読む

夢と狂気の王国(2013年製作の映画)

3.8

日本のアニメがヒットするには原作者という漫画作家の存在がほぼ不可欠という非常な現実があるが、その例外であるジブリも結局は気の狂った作家=職人を前面に押し出したプロデュースによるものなので思うにアニメと>>続きを読む

うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年製作の映画)

4.0

原作もアニメも未接触の為食わず嫌いしていたが長年語り継がれているだけある。文字通り原作レイプしているが、脚本演出全てが優れているのでみてる側は面白い。しかし尻に©︎の入った豚が夢の世界を破壊するなど高>>続きを読む

ビースト 獣の日(1995年製作の映画)

3.5

黙示録回避のため悪魔に接触しようと神父が罪人になろうと奮闘するスペイン産ホラーコメディ。神父なので罪の犯し方も良く分からず適当に万引きしたり死にかけている人に地獄に行けと呟いたりするなどほぼドリフな展>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

なんといっても洗練された美術と架空の文化や歴史に存在感を与える確かなSF的ディテールが刺さる。166分の長尺だがこの映像的快楽と物語に緊迫感をもたらすいずれ劣らぬ強力かつ政治性を帯びた各勢力がこちらを>>続きを読む

ダーク・アンド・ウィケッド(2020年製作の映画)

3.6

悪魔に憑かれたっぽい家族の話だが、この悪魔が相当性格が悪く邪悪なタイプで良い。人間を弄びに弄んで追い込んで行く様がじっとり地味に描かれていく。主人公家族は無神論者のせいなのかいくら足掻いても神の助けは>>続きを読む

テルマ&ルイーズ 4K(1991年製作の映画)

4.0

想像してたよりも筋力で押し切るタイプの脚本で意外だった。ダイナー、荒野、サンダーバード、半裸で舌ったらずのブラピ、碌でも無い口髭の白人男、これぞアメリカというコッテリした絵面が満載の濃厚すぎるアメリカ>>続きを読む

ミレニアム・マンボ 4Kレストア版(2001年製作の映画)

3.5

Y2Kという言葉の響きと同じように空虚な青春。何か新しいことが起きるかもしれない期待に始まり、何も起きなかったことを虚しく回顧する。何もなかったけどあったかもしれないような雰囲気、それこそがまさにY2>>続きを読む

その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

3.8

今の感覚で見てしまうと劇中で起きていること自体の酷さに対して物足りなさを感じてしまう演出だが、光るものは感じまくるし、とにかく若たけしのビジュアルが良すぎる。更衣室で白竜を拷問した後の椅子にまたがるシ>>続きを読む

怪談(1965年製作の映画)

4.0

いきなりお洒落過ぎるオープニングクレジットから1話目「黒髪」冒頭のど迫力廃屋のカットでこれはヤバいと悟る。3話目「耳なし芳一」で芳一が誘い込まれる安徳天皇御陵でずらりと居並ぶ平家の前で奏でられる琵琶の>>続きを読む

レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ(1989年製作の映画)

4.0

可愛らしいのだがブラックでもあり、最近の作品よりがっつりコメディしていてかなり笑える。健気なイゴールが良い。

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.0

完全にいつもと同じカウリスマキグルーヴだがいくら金太郎飴のようなことをしても全く問題ない、洗練されきったこの型のようなものには惚れ惚れする。ラストのアルマ・ポウスティのウィンクのカットは痺れた。

ハンテッド 狩られる夜(2023年製作の映画)

3.0

僻地のガソスタに深夜立ち寄ったら正体不明のQアノンなスナイパーに狙撃される密室劇。地味な映画だが、ウェルメイドで頭を使わないシンプルなホラーサスペンスを観たいときに丁度良い。敵が陰謀論者の右翼ぽい設定>>続きを読む

夜の河 4K版(1956年製作の映画)

3.5

当時は相当良い感じの現代的な恋愛物だったと思われるが、良く言えばかなりポップな不倫映画。バリキャリ美人すぎる職人で営業力もエグい山本富士子が特に躊躇もなく妻子持ち男を一目惚れで責め立てる勢いと天然のあ>>続きを読む

Birth/Rebirth(原題)(2023年製作の映画)

3.5

死んだ娘を医療的に甦らせる話で、抑えたトーンが好みではあるものの、この映画の大部分はマリン・アイルランド演じるマッドサインティストが支えている。胎生組織が蘇生の鍵ということで野良のブ男の精液採取して妊>>続きを読む

When Evil Lurks(英題)(2023年製作の映画)

3.8

Letterboxdで2023年のホラー映画レーティング2位(1位はトークトゥミー)になるなど結構絶賛評ばかり見かけるが納得の出来。テリファイドでもそうだったがこの監督はゴア表現が巧みで、女子供動物に>>続きを読む

悪い子バビー/アブノーマル(1994年製作の映画)

4.0

エッジの効いたフォレストガンプという感じで面白かった。35年の監禁から解放されたバビーが世界が本当に新鮮に見えるように32人の撮影監督に各シーンの撮影を分割したりバイノーラルで録音したり制作上の工夫も>>続きを読む

バトル・インフェルノ(2019年製作の映画)

3.5

多分無名映画だが意外にめっけもん。最初はかなりチープな展開で観続けるのがダルかったが悪魔降臨以降はテンションアップ。かなり高位っぽいこの悪魔が偽神父に懺悔をさせ続けるドSムーブがなかなか魅力的で惹き込>>続きを読む

DASHCAM ダッシュカム(2021年製作の映画)

4.0

純粋な悪として描かれるYouTuber主人公が悪魔か何かと接触して殺り合うというかなり新しい形の悪VS悪のアクションホラーPOVコメディ。全編イギリス映画らしい度を超してクズなユーモアの嵐なのでそうい>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.5

良い映画ではあるが既視感のある作品。孤独だが質素で丁寧な暮らしと、その中にあるささやかな幸せ、それで良いんだこれこそパーフェクトデイズ、、、となるとかなりありふれているように感じる。
とはいえ確かに平
>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.5

降霊をドラッグやSNSネタとして扱うことで相対化するアイデアはかなり冒涜的で良かったが、その揺り戻しとしての様々なしっぺ返しのエゲツなさが個人的には物足りなかった。というか発生していること自体はかなり>>続きを読む