閉じた小さな社会が
権力、無理解、孤立に
満たされていく怖さを
丁寧に描く衝撃の演出。
周囲に馴染めず、挑み、
挫け、悩み、立ち止まり、
また歩き出すという空気。
20歳代という清心な時代。
グリンダが置き去りで、
二部作化は酷い消化不良。
原作舞台への思い入れより、
観衆を優先して欲しかった。
出会う事は稀だけど、
役者の誠実な演技は、
時に実話を物語に昇華させ、
胸打つ煌めきを産み落とす。
定式の映像化への挑戦。
終盤の緊迫感は流石。
作品中盤での一種の
種明かしは不要かも。
あからさまに国家が
個人の尊厳を蹂躙する
怖さと憤りと訣別を
映像化した事の価値。
命を削る言葉の煌めきが
木戸中也に宿らないので、
小林の焦燥も泰子の喪失も、
抉られた傷痕を残さない。
良い事ばかりは無いけど、
こんな優しい瞬間はある。
たった二人の会話が
織り上げる人生が愛おしい。
導入部の街の景観で
少し期待し過ぎたかも。
感性の具象化の先にある
独自の物語が観たかった。
内緒で秘密のいい話を
こそっと聞いた感じ。
上手く着地させたなあ。
展開が緩いのは少し残念。
社会正義も誠実も超えて、
ただ自由と音楽に忠実に、
新たな時代を切り拓く魂が
ティモシーに憑依した。
♡
人の可能性への信念と
底辺に流れる家族愛。
作品の揺るぎない姿勢に
感動の波が揺り戻す。
韓国エンタメの真骨頂。
緻密かつ盛り沢山な
王道パニックサスペンス。
惜しい俳優を亡くした。
ラスト僅か数シーンの為
延々と続くバカ騒ぎ。
とことん陽気で無垢な
アニーの涙にグッとくる。
大企業の闇を見せネタに
フェイクを巧妙に配した
入れ子構造の巧妙さ。
ハングルが読めればな。
閉鎖された部屋の中に、
瀧内久美の言葉達が、
その意味を剥奪されて、
渦巻きながら降り積る。
主人公の内に滾る怒りや、
静かで揺るぎない決意と、
主役の内省的な視線が
物語に深い余韻を残した。
主役の巫山戯た芝居と
脇を固めるセンスの良さ。
独自の喜劇を切り拓く
市原隼人が好ましい。
モダニズムの頑迷な魂と、
主人公の人生への情熱が
濃厚な実在感を創り出し、
その背景と時代を凌駕した。
パレスチナの市民が暴力で
西岸に押し込められ、今や
ガザからも追放される情勢。
この酷い現実に震撼する。
専横、抑圧、蹂躙により
家族に芽生えた不信で、
権力は孤立し自壊する。
社会状況への鋭利な警鐘。
言葉が紡がれ人が繋がる。
ラップが何処から産まれ、
何処へ行きたいのか、
少しだけどわかった。
作為的な展開の粗や、
絵空事っぽい背景は、
ラストの仕掛けへの導線。
中々痛快なコンゲーム。
米国が己の内部に悪を
包摂するという告解か。
レッドハルクとの
バトルは期待に応えた。
不定形な蠢く物への
忌避感は怖さとは異質。
毒々しいイメージだけで
ホラーは創造出来ない。
緊迫の事態の同時報道、
瞬時に迫られる判断、
事件の悲劇性の全てが、
映像による衝撃となった。
開花直前の小芝風花を
企画と周囲が支えて、
ご当地映画の功罪あるが
主役としての覚悟が伝わる。
1話に一つ笑えるネタと
既に完成された間合い。
今の二人で10年後を
やってくれへんかなあ。
生と死、主体と客体、
創造者と被造物が、
入れ子の様にいり乱れる。
狼の衝撃は無いが面白い。
生きる手段を選べない事は
戦争を闘うのと同じ。
同様な事態で泥水を呑まず
正義を守る自信は無い。
自然界と動物達の見事さは
監督畢竟の到達点。
この作品の制作の意志と、
ヒットに人類の希望が宿る。
♡
幸運が運んで来たのは
30年前の自分と家族。
ちょっと飾り過ぎだが、
ジワリと暖かくなる。
理不尽で不運な生に
向きあう二人の時間。
手話の会話が胸に迫り、
僅かな希望に救われる。
成功し過ぎたロックの
象徴的アートワーク。
正にこのイメージと共に
あの時代を生きてた。
監督の日常に対する
柔なピュアさが苦い。
現実はただ一編の詩が
映像を圧倒してしまう。
部分的辻褄や安易さは
ひとまず置いたとして、
結末の上滑りの審判は
好き嫌いが割れるな。