Sさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

2.0

なにはともあれ展開が遅すぎる。ほとんどわかりきっている筋をなんのてらいもなく、小姑のごとき丁寧さで1時間以上も描く。もしも後半の展開に活きているならばいいのだけど、ネーム原稿の人物と映像=現実の人物が>>続きを読む

夜を走る(2021年製作の映画)

4.0

 衝撃的な作品だった。ミヒャエル・ハネケのような禍々しさ。照明の緊張感は、これからの和製ノワールの手本になるのではないだろうか。
 鉄工場、郊外のがらんどうな風景、フィリピンパブとヤクザ、奇妙だがあり
>>続きを読む

スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)

3.5

ひさびさ二度目の鑑賞。フルシチョフ役の俳優がやっぱり良いなと思う。ただどうしても全員が英語話者なのが気になってしかたない。それがコメディのための史実との距離を担保しているのかもしれないけれど。

ワールド・オブ・ライズ(2008年製作の映画)

3.0

もしかしたらリドリー・スコット苦手かもしれん。本作はとくに編集のリズムが。話自体は個人的には可もなく不可もなく、ただ、ずいぶんとパレスチナ問題を気楽にエンターテインメントにしてるな……とは思った。

ゆけゆけ二度目の処女(1969年製作の映画)

4.5

n度目(たぶん)5年ぶりの鑑賞。
「殺したいから死にたいの!」があまりにも素直なセリフだと思った。初見のときにはほとんど印象に残らなかったような気がするけど……あと、少年少女以外の馬鹿騒ぎする人たちが
>>続きを読む

闇・光・闇(1989年製作の映画)

3.0

短編なのが物足りないけれどねちょねちょとした質感を見ていると自分の肉体について、その粘土的な生々しさを意識させられる。

ドンバス(2018年製作の映画)

3.0

 ファウンドフッテージや、いわゆるドキュメンタリージャンルを自らの武器とするロズニツァが、どのように時事問題について(つまり現実に起きている出来事について)処理するのかと期待していたところ、大まかに以>>続きを読む

餌食(1979年製作の映画)

3.5

見たことないかなと思ってたら昔に見たことあったなと、アイドルの収録スタジオで内田裕也が暴れるシーンで思い出す。『水のないプール』といい『エロティックな関係』といい、若松孝二の商業映画は内田裕也なしには>>続きを読む

67歳の風景 若松孝二は何を見たのか(2005年製作の映画)

3.0

67歳になってなお激しい若松孝二、まあ見ようによってはパワハラと感じるところもあるが、しかし信頼と愛情はあるようにも見えるし……スタッフがはっきりと監督への憎しみと怒りをカメラに話しているのがよい。若>>続きを読む

私、君、彼、彼女(1974年製作の映画)

4.0

なんだこの映画は……と咀嚼するのに時間がかかる奇妙な衝撃を久々に映画に受ける。静謐なリズムからはじまる孤独な肉体に、別の肉体がぶつかって撥ねるクライマックスへの盛り上がりが凄まじい。

男のゲーム(1988年製作の映画)

3.5

グロテスク&ユーモラス
クレイアニメをつくって動かして壊すなんてのは文字通り朝飯前だと言わんばかりに小気味よいリズムで料理が平らげられていく。

スターフィッシュ(2018年製作の映画)

2.0

トレイラーで期待しすぎてしまったぶんの失望が大きい。トレイラーサイズの作品を99分に引き延ばしただけで、中盤あたりから、特に何も考えずに作っているのだろうという諦念ばかりが頭を占めていく。

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)

2.0

記憶喪失というテーマを描くにしてはあまりにもナイーブに物語をつくっていて、一捻りさえないような淡い印象のまま作品が終わっていった。
淡々としたショットの連鎖も一定のリズムで面白みはない。

愛のように感じた(2013年製作の映画)

2.5

 若々しい少年少女の未熟な身体、とりわけ肌を執拗にクロースアップで見せていくことのみによって作品の雰囲気を辛うじて持続させている、ポルノを擬態した青春っぽい映画。今時期(でなくとも?)女性監督にしか撮>>続きを読む

メリー・ゴー・ラウンド(1981年製作の映画)

2.5

 ベンだかレオだかエリザベスだかの名前を冠せられた男女たちの追跡劇を延々と見せられていくのだが、それにしてもカットのタイミングに難があるように思えてしかたがない。たびたび挿入される鳥取砂丘のような場面>>続きを読む

アンタッチャブル(1987年製作の映画)

3.5

超久々の再見。やっぱり良い。ぱっと入るクロースアップが緊張感をつくる。

明け方の若者たち(2021年製作の映画)

2.0

明大前駅映画。井の頭線沿線は東京の青春を描くのに適している舞台設定であるというのは現実の話で、それを映画の設定として使う際には、単なる記号に堕してしまわないように気をつけなければなるまい。
ところで映
>>続きを読む

BLOOD is SEX ハーレム・バレンタイン・デイ(1982年製作の映画)

2.5

観てたら終わっていた。とくに戦争について深掘りするというわけではない。戦争が近未来のSF的想像力に活かされるようになったのが80年代的ということだろうかとかなんとか。

チェチェンへようこそ ーゲイの粛清ー(2020年製作の映画)

3.5

ディープフェイクで本当にうまく顔を隠せているのか、と心配になったのは自分だけだろうか。しかしなお貴重な証言をとっているというのは間違いないし、出演者たちも自分たちの存在を公然と示すための方途を文字通り>>続きを読む

東京戦争戦後秘話 映画で遺書を残して死んだ男の物語(1970年製作の映画)

3.5

手ブレするカメラ撮影ってぱっとの見た目以上に難しいんだよなあ、とか思っていました。

たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.0

最後のあまりにも美しい殺人の夜が脳裏にこびりつく。

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.5

ポストシネマなんてものに待ったをかける、映画館でこそ観るべき傑作。音を視る映画。

Earthearthearth(原題)(2021年製作の映画)

3.5

チリのアンデス山脈を撮影しているらしいが、激しい色調の加工によってすこし不気味で何となく懐かしい光学的世界になっている。懐かしさの所以は、はっきりとはわからないけど現像された写真よりもネガに夢中だった>>続きを読む

ブバ(1930年製作の映画)

4.0

めちゃめちゃ派手な音楽が終始聞こえてきて、なんだこの素敵な音は……と観ていた。映っている映像の断片も、人も、観る人を楽しげな気分にする。

不滅の女(1963年製作の映画)

4.0

 視線の向き、人物の挙動、衣装や小道具、ショットの構図、そして音楽によって異なる時空間を次々につなげていく。類似があれば映画の時空間はいくらでも操れるということか。視線とはカメラのことだと言っているの>>続きを読む

Kiev Frescoes(英題)(2019年製作の映画)

3.5

パラジャーノフによる1966年の短編、とはいっても難解で比喩的な表現の多いことを嫌った製作会社のドヴジェンコ・フィルム・スタジオが撮影をストップさせて、撮影フィルムも大半が廃棄されたらしい。いま見るこ>>続きを読む

ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

4.0

ちょっとマギー強すぎじゃないかとか、あまりにもベタに家族が悪者すぎではなかろうかとか、思わずそんなふうに引いて感じてしまいそうな設定なのに説得力があるのはイーストウッドの顔の皺のせいだろうか。ステージ>>続きを読む

何食わぬ顔(2003年製作の映画)

3.5

今となっては濱口メソッドと言って良いような演技が本作の時点ですでに見られるのがすごいし、別に「自然」というわけでもないのに説得力のあるそれぞれの立ち振る舞いに心打たれる。演技以外はそれほどはまらなかっ>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.5

人工内耳によって作られるメタリックにざらつく音が流れてくると、はて、世界の音が聴こえるとは何なのか、ヘッドフォン越しに聴いている映画の音とは何なのか、と考える。なめらかだと感じる方の音と、聾を表現する>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

2.0

記号、たくさんの記号、記号を共有する。記号が異なる世界同士は生活できない、ということらしいです。映像を見ているというより言葉を見させられているという時間が続く。

上手につくろうとすると余白が非常に狭
>>続きを読む