あとりさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

あとり

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アネット(2021年製作の映画)

4.0

突飛で幻想的なおとぎ話風味の悪夢。
冒頭の高揚感と幸せな時が嘘の如く堕ちる深い闇の中。
悲劇的物語を荒唐無稽に魅せる演出の吸引力が凄まじく、波に呑まれる感覚に境界線が溶かされ浴び続ける音楽に幸福と苦痛
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カモン カモン(2021年製作の映画)

3.7

大人と子供…ではなく人間同士の対話の積み重ね。命懸けで産むことは決してゴールではない。
様々な困難を乗り越え家族が時間を育んでいくことの美しさ…それ以上に突きつけられる厳しさや実情。
衝突しない為に感
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パイプライン(2021年製作の映画)

3.2

成功すれば一攫千金だが命すら危険に晒す盗油作戦とチームのデコボコ感のギャップ、間の抜けた警察とのやり取りやドタバタが楽しい。
ゴヌの冷徹ぶりとは裏腹に5人の盗油師のキャラ立ちが物足りず、人情味あふれる
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ガンパウダー・ミルクシェイク(2021年製作の映画)

4.2

ありったけの武器(だけでは飽き足らずボウリングの球や金塊まで…)を用いて戦うド派手でスクリーン映え&観応えたっぷりのアクションに大満足!
エネルギッシュかつしなやかで遊び心あふれ、その上構図の細部まで
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流浪の月(2022年製作の映画)

3.9

事実だけを知った者達が振り翳す、当人達には有害で暴力的な「普通」という名のエゴ。
年の差のある誘拐事件の加害者と被害者同士の関係。
その裏にあるプラトニックな結びつきが観た後も湖底の石の様に重く心に残
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.8

もしあの時…劇中何度そう考えたことか。
周囲からの嘲笑や家族に対しての苦悩。
他者との関わりによって劣等感が蓄積して徐々に歯車が狂っていく様に心が掻きむしられ、モンスターではなく普通に生きたい青年の願
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ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス(2022年製作の映画)

4.0

浮遊感満載の異次元アクション最高!
ゾンビ映画レベルのホラーな雰囲気と音楽バトルの様な遊び心、見栄えのするアクションで新たな扉が開かれた気がした。
孤独や目的の為の犠牲、それ故にどちら側にも傾く危うさ
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

3.7

女性ならではの抑圧やすべからく求められる身体と環境の変化に伴う戸惑いと畏怖。
前半はエッジの効いた演出で視覚的、後半は人間関係の描写で精神的にゴリゴリダメージを抉られる。
この痛みと苦しみを刻み込みな
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ギャング・オブ・アメリカ(2021年製作の映画)

3.1

名前でしか知らなかったマイヤー・ランスキーの半生は壮絶で壮大だった。
ユダヤ系としての生い立ち、ビジネスマンとしての手腕、夫や父としての素顔が取材を通して語られる。
ドンパチはほぼないが、ハーヴェイ・
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パラドクス(2014年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

2回観たくなる映画というのはよくあるが、2回観なければならない映画…だと思う。

1回目に起きている謎の現象や登場人物の行動にただ身を委ね、それらが実は繋がっている…という事実が明らかになる後半の驚き
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死刑にいたる病(2022年製作の映画)

4.3

試写で鑑賞。
大学生の元に届いた手紙…そこから数々の謎が浮かび、様々な人生が交錯し事件の真相が徐々に…
ネタバレ禁止ですが、鑑賞後咀嚼した時初めて繋がる行動が幾つも見つかる結末の衝撃度が凄まじすぎて観
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ひまわり(1970年製作の映画)

3.7

人々を引き裂き、人生を狂わせ、命を奪う戦争さえなければ…と思わずにはいられない悲劇。
50年以上前の作品だが、昨今の情勢を鑑みると決して昔の話とは言えない。
ウクライナで撮影されたというひまわり畑は圧
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ブラックボックス:音声分析捜査(2021年製作の映画)

4.0

音でしか得られない情報がある。
些細な違和感から浮かび上がる手がかり。
事件なのか事故なのか…航空会社のみならず次第に執念と狂気を見せる主人公にまで不信感を抱き、暴走する正義に緊張感が途切れぬ展開の連
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ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

4.4

1回目は吹替で鑑賞💼
過去の悔いを繰り返すことのない様に今を選択し、未来を切り拓く魔法使い達の物語は激動を極める。
袂を分かつ者達や共に生きる者達、命を賭して仲間の窮地を救う者達。
恋人、友情、家族、
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とんび(2022年製作の映画)

3.5

結婚や出産、血縁や戸籍を超えた(むしろそういった固定観念へのアンチテーゼにも思える)家族の在り方、人と人との繋がり、人間愛を多方面から捉え、温故知新を表現した昭和の温かな人情と令和の多様な価値観が融合>>続きを読む

レイジング・ファイア(2021年製作の映画)

3.6

強火超えて業火。
派手派手のカーチェイスにカンフーの美しさを堪能出来る肉弾戦、市街地での銃撃戦、華麗なナイフさばきに飛び交う手榴弾、教会での一騎打ち…アクションの魅力を余すことなく魅せるボリュームとス
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モービウス(2022年製作の映画)

4.0

長年の研究の末手にした力とその代償、生への渇望や友情の狭間で苦悩し異形の者として背負ったものの大きさを指し示す王道ストーリー。
なのに独特なヒーロー像を確立させ新鮮味も。
スローモーションと静寂の応用
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シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

3.8

フラストレーションからの「目には目を」をも上回るカタルシスに拍手。
重大な秘密に関わる荷物以外にもセクハラ男や日本軍、グレムリンと対峙し説得力の塊な筋肉が放つクロエ演じる主人公の素手アクションは破壊力
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ナイトメア・アリー(2021年製作の映画)

3.8

ダークな御伽噺の様な幻想的映像で彩る1人の男の転落。
見世物小屋の者達を外側から俯瞰で見つめていると今自分はドロステ効果のどこにいるんだろうか…と不思議な概念に陥っていく。
野心や欲望、嘘で固めた虚像
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湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)

2.1

賛否両論ですがかなり気になってて映画館で観られる機会があり行ってきました。
結果としては母の愛故の行動だったり結末がカルトホラー級で生理的に無理だったのですが…そんなことより鮎ちゃんのあのシーンの映り
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SING/シング:ネクストステージ(2021年製作の映画)

4.1

吹替で鑑賞。
またもやダメダメなムーンに振り回される一行。
ステージに懸ける彼等の情熱、逆境や苦手なことを乗り越え更なる高みを目指す姿、そして圧巻のパフォーマンスに感情の昂りが抑えきれない。
長所や個
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さがす(2022年製作の映画)

3.8

探すほどに見えてくる底なしの闇。
「見たい」と「目を背けたい」、「笑い」と「恐怖」…境界線のギリギリを攻める徹底ぶり。
終着点が見えてきたところで実はまだラリーが続いていて様々な視点を交えながらさらな
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パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.7

悪人だらけで不快感満載。
ここまでくるといっそ清々しい。
高齢者を食い物にする後見人VSマフィアの最後まで先の読めないバトル。
徐々に歯車が狂い出し二転三転以上の展開でデッドヒートを繰り広げる。
欲望
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THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.4

混沌としたゴッサムシティで突如起こった連続殺人事件。
バットスーツに身を包み謎を追う今作はヒーロー映画というよりもハードボイルド味強め。
無表情ながら迷いの見え隠れする未熟さ、素手に特化した戦闘に垣間
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余命10年(2022年製作の映画)

3.3

余命10年は長いのか短いのか。自分の人生も他人の人生もいつ終わりを迎えるか知ることは出来ない。
だからこそ僅かかもしれない残り時間を大切な人達と過ごしたり、生きがいを見つけたり、充実した時間を積み重ね
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ペネロピ(2006年製作の映画)

3.7

『ペネロピ』のコンプレックスやマイノリティの描き方がすごく好き。
呪いとは結局何なのかを突き詰めると鏡越しに自分を見つめるきっかけになるだけではなく、人間関係を築くためのヒントが散りばめられていてラブ
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ライダーズ・オブ・ジャスティス(2020年製作の映画)

3.6

偶然が運んだ深い哀しみを抱えた軍人がその偶然を皮切りに傷を持った人間と出会い、やり場のない怒りに決着をつけ、悪を粛清する為の復讐を企てる…のが表向きならばその裏には喪失や苦痛、それらに対しての後悔との>>続きを読む

スティルウォーター(2021年製作の映画)

3.8

娘の無実を証明するためフランスで単身事件を解決しに行く父。
そこで出会った母娘との交流で価値観の違いを認め、自らを振り返り、他者を受け入れる大切さに気づいていく。
だが手掛かりが見つかり父の中で何かが
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アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.7

地図にない場所に隠された50億ドルの財宝…
この時点でロマンを感じワクワクが止まらない。
簡潔だが駆け引きもパルクールを駆使した縦横無尽に駆け巡る異次元アクションも爽快で楽しすぎる。
唯一悪役の活躍が
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牛首村(2022年製作の映画)

3.3

暗くじめじめした空気や音で脅かさないあの手この手で仕掛ける怪奇現象、正体不明の呪い、更に背筋も凍る忌まわしき村の風習…ジャパニーズホラーの拘りを感じる前2作品のいいとこ取り。
シリーズ通してこの雰囲気
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悪なき殺人(2019年製作の映画)

4.1

凄い。
一筋縄では行かない展開にじわじわと驚きが湧き上がる余韻は脚本と構成の妙。
思わぬ形で人と人が繋がり、日常で起こる個人的な出来事、欲望や嘘が絡み、途轍もない戦慄と爽快感が待ち受ける真実が解き明か
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インフィニット 無限の記憶(2021年製作の映画)

1.5

『マトリックス』の様な作品を目指していたのだろうか。
ストーリーほぼ覚えてないくらい既視感の連続なシーンの多さに意識が行ってしまい自分には全く合わなかった。
ラジー賞ノミネートのニュースで観たことをふ
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ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.0

オリジナルへのリスペクトを感じる忠実な展開。
影や色使いの演出に高まり、流れる様な歌唱シーンへの導入や上質なパフォーマンスに沸き立つ。
計算しつくされた美術に息を呑み、歌の持つ力に心を鷲掴みにされた。
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ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.6

ジュブナイルだがワクワク感控えめながら往年の名作を手堅く次世代に繫げた良作。
ゴーストバスターズのその後が時を経て明らかになり、祖父とフィービー達家族の絆も紡がれる。
懐かしのガジェットやゴースト、更
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ダンサー・イン・ザ・ダーク 4Kデジタルリマスター版(2000年製作の映画)

4.1

止まらない悲劇の連鎖。
セルマの壮絶な日常を思わせる不協和音や生活音に乗せて心の中で解き放つ歌声の生命力。
全てを犠牲にしてまで母親として見せたいものと見せたくなかったもの。
激動と失意の果てに辿り着
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前科者(2022年製作の映画)

3.3

犯罪者の更生にあくまでも一定の距離を保ったままで寄り添う保護司。
これほど大変で立派な仕事でありながら報酬が一切ないとは…
ただ何せドラマ版が衝撃度も完成度も格上ですごすぎた。
阿川の過去が明かされる
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