ShinichiAndoさんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

ミナリ(2020年製作の映画)

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三世代の家族の物語というより、祖母と孫、姉と弟、そして夫と妻(意外にも「花束みたいな恋をした」と重なる“仕事と家庭”の両立テーマ)といった、それぞれの一対一の関係性が、エピソードを重ねるごとに静かに変>>続きを読む

トムとジェリー(2021年製作の映画)

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かつてアニメーションの世界から迷い込んだプリンセスによってロマンチックな“魔法にかけられた”ニューヨークが、今度はスラップスティックの世界に染まっていくのが面白かった。ただ、ストーリー的にホテル内のシ>>続きを読む

あのこは貴族(2021年製作の映画)

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それぞれに息苦しさを抱えながら、それぞれの東京を生きるふたりのヒロイン。東京では移動ひとつとってもタクシーと自転車では、流れていく景色や過ぎていく時間が異なるから、ふたりが再会するシーンが最もロマンチ>>続きを読む

シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

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作品単体を超えて、いつしか物語がサーガ全体のクライマックスと重なってくるところが、ひとりの作家が“落とし前をつける”作品として完璧だし、何より幸せな映画だと思った。

本編鑑賞後にポスターを見ると、絵
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あの頃。(2021年製作の映画)

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20代の頃はまだ何者でもなくても、まだ何者かになれる可能性があると信じていたから、青春を拗らせていた彼も、人生を燻らせていたあの人も、みんな笑っていた。

そして、そんな“あの頃”を懐かしく思い出せる
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ラーヤと龍の王国(2020年製作の映画)

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人を信じることの大切さを描くということは、逆説的に、人を安易に信じてしまうことの危うさや、人を信じ続けることの難しさを観客に伝えることでもあり、だからこそ“それでも人を信じる”ところにディズニーの凄み>>続きを読む

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

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大金に踊らされるように始まり、大金に翻弄されながら終わるクライム・サスペンス群像劇。「パルプ・フィクション」的な大胆な仕掛けや、「ゴーン・ガール」的なスリリングな展開を織り交ぜつつも、いつのまにか人間>>続きを読む

トキワ荘の青春 デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

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デジタルリマスターによって、本木さんの高潔感や阿部さんの少年感が25年前とは思えないほど瑞々しかった。

やがて終わりを迎えることが分かっているからこそ、青春は美しく、そして切ない。その終
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ノンストップ(2019年製作の映画)

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高度一万メートルの密室で繰り広げられる、爽快感あふれる満足度の高いアクション・エンターテイメント!

伊坂幸太郎作品のように、クセの強い登場人物たちが二転三転のどんでん返しを経てピタッとハマり、要所
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43年後のアイ・ラヴ・ユー(2019年製作の映画)

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記憶を失っていく女性を訪ねて、かつての愛を思い出してもらう設定は「きみに読む物語」とも似ているんですが、本作はアメリカ、フランス、スペインの合作だからか、あるいはブルース・ダーンの飄々とした雰囲気だか>>続きを読む

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

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同じ日の繰り返しから抜け出せない“タイムループ”と青春映画の相性の良さは、「うる星やつら2」や「ハッピーデスデイ」でも証明されている通り、本作も彼女が抱えている“秘密”がミステリーと恋>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

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思いがけないやさしさや無償の善意。そして、不意の暴力や無邪気な悪意。その両方を引き寄せてしまうのが、チャーミングな人懐っこさと他者を寄せ付けない狂気の両面を併せ持つ、役所広司の唯一無二の魅力なのだと改>>続きを読む

スペース・スウィーパーズ(2020年製作の映画)

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宇宙のはみ出し者たちが集結して世界を救う、まさに韓国版「ガーディアンズ ・オブ・ザ・ギャラクシー」&「ローグ・ワン」的なSFエンターテイメント超大作でした。90年代のハリウッド映画のような予定調和でベ>>続きを読む

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)

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義理と人情の時代が終焉を迎え、どうあがいても世知辛い登場人物たちの中で、ただひとり飄々と軽やかに生きている磯村勇斗さんが素敵でした。彼が初登場する「ファイトクラブ」的なシーン(後ろ姿>>続きを読む

KCIA 南山の部長たち(2018年製作の映画)

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日本史における“本能寺の変”みたいに、結末が分かっている事件だからこそ、「どのように起きたのか?」を丁寧に描くことで「なぜ起きたのか?」が明らかになっていくのが面白かった。さらに、結末が分かっていても>>続きを読む

緑の光線(1986年製作の映画)

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現代アートハウス入門 にて。上映後に解説をされていた深田晃司監督と同じく、本作を劇場で観るのは学生時代にACTミニシアター(ぼくは高田馬場ではなく池袋のオールナイト)で観て以来だったので、いろいろ懐か>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

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デンマークの郊外で身体の不自由な叔父を介護しながら、酪農家として生活する女性の物語。起床から3食の食事、仕事、買い出し、食後のゲームまで、毎日の決められたルーティーンを黙々と繰り返すシーンがとても印象>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

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他人から見たらつまらないものが宝物のように見えたり、ちょっとした偶然が奇跡のように思えたり、何でもない日常が愛おしくてたまらなくなる、そんな魔法のような日々が、たしかに自分にもあったのだと、甘酸っぱさ>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

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急速に聴覚を失っていく主人公の、戸惑い、絶望、怒り、悲しみ、苦しみといった負の感情のグラデーションが、リズ・アーメッドの繊細な演技と絶妙な音の演出によって、文字通り言葉を超えて伝わってきて、まさに映画>>続きを読む

消えた16mmフィルム(2018年製作の映画)

5.0

サンダンス映画祭でドキュメンタリー監督賞を受賞した、Netflix「#消えた16mmフィルム 」。

1992年にシンガポールで10代の少女が仲間たちと撮影した自主映画はなぜ持ち去られたのか? 25年
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マ・レイニーのブラックボトム(2020年製作の映画)

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1920年代のアメリカで黒人が夢を持って生きるとはどういうことなのか、そして今の時代に至るまで彼らは何と戦ってきたのかが、ブルースという音楽を通じて描かれる。会話を中心とした群像劇(舞台が原作)で、過>>続きを読む

あの夜、マイアミで(2020年製作の映画)

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活動家、プロボクサー、アメフト選手、そして歌手として時代を代表する4人の黒人男性が集結した一夜の出来事を描く実話ベースの物語。

カリスマ的かつチャーミングな魅力とともに、各々が抱えている弱さもちゃん
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新感染半島 ファイナル・ステージ(2020年製作の映画)

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ポスト・パンデミックのディストピア的な世界で、知恵(ラジコン)と技術(ドライビング・テクニック)を駆使して、たくましく生きている姉妹がとても良かった。次回作は、彼女たちの前日譚を描いたスピンオフ・ドラ>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

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タイトルから2020年の最後に観る作品に選んだのですが、本当に“終わらせようとしている”こと、そして“終わらせなければならないこと”が見えてきたとき、タイトルの持つ意味が何重にも切なく浮かび上がってき>>続きを読む

新解釈・三國志(2020年製作の映画)

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自分たちが面白ければ全てOKとばかりに、他人の外見や体型をネタに笑ったり、都合が悪くなったら大声で相手を威圧したり、酒の席で裸になることを強要したりと、日本のグロテスクな男性社会を凝縮させたような居心>>続きを読む

映画 えんとつ町のプペル(2020年製作の映画)

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「海獣の子供」に続き絵が動き出すというアニメーションの根源的な面白さを追求させたSTUDIO4℃と、芦田愛菜さんをはじめとする素晴らしいCV(伊藤沙莉さんの見事なジャイアン感!)によって、文字通りキャ>>続きを読む

ソウルフル・ワールド(2020年製作の映画)

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仲間と映画館に行ったり、その後みんなでご飯を食べたり、(マスクをとって)笑い合ったり、そんな日々の生活における何気ない出来事こそ、自分の人生において、かけがえのない瞬間だったと気付かせてくれるという意>>続きを読む

私をくいとめて(2020年製作の映画)

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自分にとって面白い映画というのは、唯一無二のキャラクターの存在なのだと、改めて教えてくれました。今年見た映画の中で、最も目が離せなくて、最も圧倒されて、そしていつまでも観ていたくなる、のんさん演じるヒ>>続きを読む

ワンダーウーマン 1984(2020年製作の映画)

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人々も舞台も映像のルックスも凄まじいほど1984年なのに、世界観は混乱と分断に支配された2020年を象徴しているのが面白かった。20年後か30年後、「ワンダーウーマン 2020」が作られたとしたら、い>>続きを読む

ネクスト・ドリーム/ふたりで叶える夢(2020年製作の映画)

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音楽業界で夢を叶えようとするサクセス・ストーリーと、偶然の出会いから始まるロマコメ的な王道ストーリーが、力技というか離れ技的なサプライズによって、あっと驚く形で着地させてしまうところが、まさに“ハリウ>>続きを読む

ハッピー・オールド・イヤー(2019年製作の映画)

5.0

北欧のミニマムなライフスタイルに憧れる主人公が、自ら捨てようとしたモノたちと向き合うことで、自分が本当に“捨てよう”としていた過去や人々と向き合う物語。物を捨てるということは、すなわち思い出や過去から>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

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忘れたくても忘れられない、そして戻りたくても決して戻ることができない、自分にとっての“あの頃の日々、あの頃の僕たち”を思い出さずにはいられない、超直球の青春映画でした。懐かしいと言うには、あまりにも生>>続きを読む

燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

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画家とモデルがお互いに“見る/見られる”関係であるように、ある人との大切な思い出というのは、自分が見ていた記憶と同時に、自分が見られていた記憶でもあるから儚くて切ないのだ。ラストの色々な感情が入り混じ>>続きを読む

THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~(2018年製作の映画)

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冒頭で描かれる柔らかい日差しのキラキラとした通学風景が、“運び屋”としての日常が始まることで、ヒリヒリとしたものに変わっていく…。

だけど思い返してみると、彼女の表情は最初から最後まで、どこにも居場
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タイトル、拒絶(2019年製作の映画)

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舞台挨拶で伊藤沙莉さんも話していたけど、“ちゃんと傷つくこと”の必要性について描いた作品だと思った。弱い人は傷つくことが怖くて逃げてしまったり、強い人は自分が傷つくはずないと目を逸らした>>続きを読む

Mank/マンク(2020年製作の映画)

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ハリウッドの映画スタジオの危機が報じられ、選挙による市民の分断が叫ばれる2020年に、“映画は何と戦ってきたのか?”そして“映画は何のために存在するのか?”を、強烈に突きつける凄まじい作品だった。そし>>続きを読む