酢さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ナイト・オブ・ザ・コメット(1984年製作の映画)

3.3

80'sギャル姉妹には世界の終わりを軽やかに生き延びてほしいとかねてから思っていたので、まさに痒いところに手が届く映画だった。シンディー・ローパー『Girls Just Want To Have Fu>>続きを読む

メシア・オブ・ザ・デッド(1973年製作の映画)

4.0

アンニュイ×ホラー。何が起きているのか全貌がさっぱり掴めないまま、気怠〜さムンムンのムードに浸れて最高💯

消息を絶った父を探し求めて娘が辿り着いたのは、海岸に聳え立つ荒廃したアトリエ。室内がトリック
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ボディ・スナッチャー/恐怖の街(1956年製作の映画)

3.5

半世紀以上前の作品かと思うとビビる。今見ても遜色ないのが流石のドン・シーゲル。白黒コントラストが美しい温室の中で胎動する邪悪なサヤ人間たち。このシークエンスはシリーズ頻出だけど第1作目からキモさが既に>>続きを読む

邪淫の館 獣人(1975年製作の映画)

3.5

休みの日の夜にはこういう映画が見たい。

マイ・フェイバリットは湖に投げ捨てられた純白コルセットとカタツムリの這う水色の靴。枯葉の舞い上がり方も美しい。

夢みたいなんだと思う。具体的なモチーフに拘っ
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ミニモニ。THE(じゃ)ムービー お菓子な大冒険!(2002年製作の映画)

4.0

もーずっと楽しい。玩具箱ひっくり返し系な傑作。舐めててごめん樋口真嗣。グリーンバック撮影のトンチキ背景にミニモニ。を強引に押し込んだ実写パートは全員が常時カメラ目線なのが大発明。アイドル映画として正解>>続きを読む

シー・オブ・ラブ(1989年製作の映画)

3.5

私生活の終わってる寂しい中年刑事が女絡みの事件を追う映画、だいたい面白い。

老人Z(1991年製作の映画)

3.3

錚々たる制作陣のわりに小粒な話だけど、風俗喜劇としての元は取れる。センシティブな話題を取り上げつつ全方位を薄ら馬鹿にする大友克洋の脚本は、時代を感じつつも楽しい。THE江口寿史なキャラデザがグリグリ動>>続きを読む

THE CLASH ザ・クラッシュ(2007年製作の映画)

3.5

職なし宿なしのおっさんを車で撥ねたら窓に突き刺さって取れないからさあ大変。意外に真っ当なサスペンスとして展開しつつ、意地悪なギャグもスパイスとして効いてる。三面記事に載るようなしょーもな事件をカチッと>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

2.5

黒縁メガネにチューリップハットのブラッド・ピットがどことなくエッチで良い。その他はこれと言った見どころ無し。折角の列車なのに全く環境を活かしきれず。過去回想も頻繁過ぎて邪魔。あえてヘンテコなTOKYO>>続きを読む

せかいのおわり(2004年製作の映画)

3.5

やり場のない気持ちに折り合いをつけるためにおこなわれる、宛先不明の超個人的な行動の数々。「見てしまった」という衝撃に包まれたまま、安易な言葉を飲み込んでしまう。

写真を消す、前転する、空気銃で「ばん
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右側に気をつけろ(1987年製作の映画)

3.3

以前挑んだ『ゴダールの決別』が異次元のわからなさで挫折したので相当構えていたけど、全然取っ付きやすくて安心。

今回のゴダールは三つの物語と幾つかの断片のサンプリング。ユロ氏リスペクトのゴダールのキテ
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アンドロメダ…(1971年製作の映画)

3.5

超クール。宇宙からの生命体に立ち向かう科学者四人組に情緒的なやり取りが皆無なのが潔い。これがプロじゃ。延々と続く消毒殺菌パートも、モニターとの睨めっこな調査パートも、地味丁寧の極みで最高。

クレイジー・キラー/悪魔の焼却炉(1969年製作の映画)

3.3

これだけマザコン殺人鬼の頭の中に寄り添ったまま終わる映画が他にあっただろうか。

ルチオ・フルチのホラー・ハウス(1989年製作の映画)

3.3

ルチオ・フルチmeets東映不思議コメディシリーズとでも言おうか。お得意ゴア描写とらしからぬメルヘンシーンの乱れ打ちに頭クラクラする。

過去作でも思ったけど、フルチの子供観が面白い。純真で大人社会の
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怒霊界エニグマ(1988年製作の映画)

3.3

フルチの『キャリー』『フェノミナ』ってところか。「学園生活あるある」的な要素は「まあ青春ってそういうもんだから」とあまり肩入れせず流されていく。この辺の達観した視点はフルチっぽい。みんな言ってるけど冒>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.0

ジャンル映画としては凶暴化するチンパンジーもドデカ飛行物体との対決も楽しいけど、ジョーダン・ピールが盛り込みたいのであろう差別や排除を巡るテーマとの相性がやや悪いように感じた。その点は過去作の方がシャ>>続きを読む

サンフランシスコ連続殺人鬼(1969年製作の映画)

3.5

殺人鬼の平凡な日常。郵便配達中には管理人のババアからのクレームにゲッショリ、ジジイの下世話な立ち話に愛想笑い、人妻にモテモテ、と横道逸れまくり描写の数々がとても良い。捜査線上に浮上して特に状況を撹乱す>>続きを読む

サイコマニア(1973年製作の映画)

3.5

暴走族の俺様リーダーが黒魔術で永遠の生命を手に入れて大暴れ。「奇人の彼氏とそれに振り回される一般人の彼女」という組み合わせが少女漫画っぽくてニヤニヤ。しかしその先に幸せな結末は待っておらず、最後は一人>>続きを読む

マッドボンバー(1972年製作の映画)

3.3

爆弾魔のチャック・コナーズは通行人にキレ散らかすわ店員捕まえて説教するわで、絵に描いたような限界中年男性。ネヴィル・ブランドは理想的な家庭人の皮を被りつつ夜な夜なレイプ魔に変貌。その上で妻のハメ撮りで>>続きを読む

ONE PIECE FILM RED(2022年製作の映画)

3.5

新進気鋭の若い歌い手を起用した連載25周年記念お祭り映画を期待させておいて、これは……。

尾田栄一郎がこれで行こうと思った意図がわからないのが不気味だが、勝ち組中年ならではの屈折した絶望を感じた。「
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野獣死すべし(1980年製作の映画)

3.5

ホラー全振り前のルチオ・フルチ。やっぱりなんでも撮れる人なんだなというのを再確認。開幕は密輸人と警察のモーターボート追っかけっこ。ちゃんとアクションしていて背筋を伸ばした。その後は陰惨なゴアシーンあり>>続きを読む

ポルノ時代劇 忘八武士道(1973年製作の映画)

3.3

主人公・明日死能がステキ。「ニヒルな面構えで厭世的な凄腕浪人」のはずだけど、キレると刀を抜くしかなり情に流されるしおっぱいはモミモミするしとかなり俗っぽい。丹波哲郎じゃなきゃ成立しないキャラクター。妖>>続きを読む

チャイルド・プレイ2(1990年製作の映画)

3.3

初チャイルド・プレイ。
見せ場のオンパレード。
多種多様な方法で撃退されるチャッキーにはゆっくり虐待的な後ろ暗い愉しみを感じる。

れいこいるか(2019年製作の映画)

3.5

鎮魂には無数の形がある。

こういう映画を見ると「センス一本勝負」だと呼びたくなる。あそこが良いだ悪いだと鑑賞後に騒ごうとも、監督の揺るぎないセンス(価値観)で構築されているかぎり「そういうもんでしょ
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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

3.3

このユルさはクセになる。
だけどただユルいだけじゃない。血で血を洗う殺伐さが一瞬漂ってはすぐ消えたりと安易な油断を許さない。色々踏まえた上での達観としてのユルさなんだろうなと。

それはそれとして、「
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トイズ(1992年製作の映画)

3.3

メルヘン度数極めて高し。映画の主役はロビン・ウィリアムズじゃなくて入魂の美術たちだと思って見たら良いと思う。

話はなかなか動かないけど、でもまあ、オモシロギミック搭載のカラフルで巨大なセットを愛でる
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ドラゴンボール超 スーパーヒーロー(2022年製作の映画)

3.5

今更、初ドラゴンボール。
鳥山明の脚本はとにかく健康明瞭で、病んだ世相を前にすると目新しくも見える。2時間がわりと一瞬で過ぎてしまった。要らないギャグは多いし転換の手数も少ないはずなのに、何故。。。
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MADE IN YAMATO(2021年製作の映画)

3.3

大衆に色目を使う中途半端な俗っぽさが残っているように感じた。誰の目も意識していない、自己満足全振りな高尚アートムービーを見せてほしい。

① 山本英「あの日、この日、その日」
そういう意味ではこれが一
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冬物語(1992年製作の映画)

3.0

初ロメール。
女は傲慢だし男は愚かだしでめちゃくちゃイライラする。そこそこの尺を使って上演されるシェイクスピア『冬物語』は「世の中カスだし人間は基本的に間違いしか犯さないですが、その辺飲み込んでせめて
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バブル(2022年製作の映画)

3.0

話の筋は全くもって不可解だけど、Netflixで人とやいのやいの言いながら見る分には楽しめる。「アニメ映画なんてもんはよう、綺麗な画面でグリグリ動きゃあいいんだよお、あんま高望みすんじゃねぇよお」と逆>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.0

普通に微妙!『シン・ゴジラ』で支柱になっていた震災ドキュメンタリー要素が無くなったのに代わりのコンセプトが見当たらず、ただの制作陣の手癖集合体になってしまった。

基本的には原作ウルトラマンから任意の
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盗まれた飛行船(1966年製作の映画)

3.5

カレル・ゼマンのジュール・ヴェルヌ愛が爆発。『十五少年漂流記』を中心に幾つかの原作を組み合わせているのかな。全編を彩る気合いの入ったトリック撮影のオンパレードは相変わらず素晴らしい。

子どもたちは無
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子連れ狼 死に風に向う乳母車(1972年製作の映画)

3.5

加藤剛が出てきて武士道がどうたらとか抜かすので「今更ドラマなんか見たくねえよ〜」と一瞬なるものの、だからこそ真の武士・拝一刀の漢っぷりが映える。エログロが後退してTHE若山富三郎先生SHOWとしての側>>続きを読む

子連れ狼 三途の川の乳母車(1972年製作の映画)

4.0

美しい絵で魅せきる延々と続く殺し合い。余計なドラマを極限まで捨てた血飛沫祭りの中で、1作目はまだ律儀な作りだったのかと驚かされる。なんて荒涼としてるの。きっと三隅研次には生と死しか見えていない。

c
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子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつる(1972年製作の映画)

3.5

若山富三郎先生がしかめっ面のキレキレ殺陣で八面六臂の大暴れ。
悪党連中が尽く悪でしかない面構え&カスの素行で素敵。そしてエロもグロも「盛れるだけ盛っとけ!」な満漢全席。思わず胃もたれしそうになる面白さ
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新座頭市物語 折れた杖(1972年製作の映画)

3.3

勝新太郎のやりたいであろう、清濁併せ呑んだ巨視的な世界観はわかる。ビジュアルはキレッキレ。役者もポテンシャルを発揮していて皆好演。なのだが、全編を振り返るとどこか息切れを感じるのもまた事実。高濃度な瞬>>続きを読む