酢さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

座頭市あばれ火祭り(1970年製作の映画)

3.5

後期座頭市特有の、一本筋ではなく点描的なエピソードの積み重ねの物語構成。アクの強いキャラクターが出たり消えたりでまとまりがなく、脱線も尻切れとんぼもあるけどこれはこれで奥行きあって「人生……!」って感>>続きを読む

混血児リカ ひとりゆくさすらい旅(1973年製作の映画)

3.3

前作の狂ったテンションは何だったのか、「常識的な範囲で面白い普通の映画」に若干の軌道修正。

青木リカをちゃんと魅力的に撮っていて良い。クソ目立つ奇天烈ファッションに身を包んで東北を闊歩する姿はイカす
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混血児リカ(1972年製作の映画)

4.5

満点大笑い。青木リカが行き当たりばったりに裸になったりぶっ殺したりと物凄いスピードで90分を駆け抜ける。そしていつの間にか全て解決されている。夢のようだった。

「お前たちが見たかったのはこういうこと
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砂の上の植物群(1964年製作の映画)

3.5

難解な脚本は、つまりは「中年男のエロエロ夢物語」に過ぎない。物語を真面目に見る必要はないと思う。時系列の撹乱も途中途中の謎めいた挿話もあんまり意味ない。

それよりも、次から次へと繰り出されるオモシロ
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誘惑(1957年製作の映画)

3.3

ともすれば醜悪な人間模様になりかねないところを、乾いた笑いとモダンなムードで包み込んで甘いお菓子にしてしまう中平康の韜晦精神。

端的に言えば人間のことを舐めている。でも、そこが面白い。

黒い賭博師 悪魔の左手(1966年製作の映画)

3.0

くだらない荒唐無稽さは好き。大泉滉、神田隆、原泉、ジュディ・オングと癖の強い役者の賑やかしは嬉しい。だけど、過去作の洗練された撮り方と比べると易きに流れた感は否めない。

偶然と想像(2021年製作の映画)

3.5

「ベタ」だけで終わることにどこか物足りなさや嘘くささを感じるから、こういう話を面白いと感じるのかもしれない。
一旦紋切り型な話の筋っぽいのを見せてから「そうではなくて……」と掘り下げるパターンは『パラ
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黒い賭博師(1965年製作の映画)

3.5

初中平康。とにかく軽快に進む。絵がキマってる。娯楽以外は何も持ち合わせていない、最高のプログラムピクチャー。
往年のスターのカッコいい時代が見れる。小林旭は不敵な笑みが似合ってクール。目ん玉大きくて可
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大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

3.0

ふざけたいのにふざけきれず、なんとなくみんなが納得しそうなところを探った結果微妙になってしまった映画だと感じた。

大怪獣のあとしまつに奔走する若い面々を描くパートの、パロディに振り切れない妙な生真面
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奴隷妻(1976年製作の映画)

3.5

高橋明に尽きる。
SMの向こう側。
悦楽不在の荒涼とした世界。

クジラの跳躍 Glassy Ocean(1998年製作の映画)

3.3

クジラの跳躍を軸に、様々な世界が交錯。断片的なエピソードを積み重ねて煙に巻くような構成は安易なような気もしつつ『銀河の魚』より好きかも。声優陣が永井一郎、三谷昇、永瀬正敏と相変わらず豪華。視聴後はいつ>>続きを読む

銀河の魚~URSA minor BLUE~(1993年製作の映画)

3.3

たむらしげるの可愛いイラストがそのままに動くので基本的には好きなものの、何故かそこまでハマらず。シンセサイザー過ぎる音楽がうるせーのかも。もっと静かで良い。
永井一郎と田の中勇が好演。メルヘンな世界観
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ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!(2005年製作の映画)

3.5

「巨大野菜コンテスト」って何?!という点を飲み込めば結構楽しめる。相変わらず愚かなウォレスと健気に支えるグルミット。巨大ウサギをめぐるサスペンス、暴徒と化す民衆、恋と別れ……と「あーあるある」な演出が>>続きを読む

ダウンタウン松本人志の流 頭頭(1993年製作の映画)

3.5

松本人志の原風景を閉じ込めたような、孤独と閉塞感に満ちた世界観。笑いの方程式的な技巧をほとんど廃して常に漂う不穏な緊張感だけで勝負。

「頭頭」のビジュアルには執念じみた拘りを感じる。微妙に油ぎった皮
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キング・オブ・デストロイヤー/コナンPART2(1984年製作の映画)

3.5

前作未見。ファンタジーな世界観で、パンイチのシュワちゃんが筋肉と大剣で大活躍。
湖の上にそびえ立つ魔法使いの城、鏡の間で巨大猿とバトル、秘宝の眠る怪しすぎる洞窟、世界を滅ぼす邪神の目覚め……とハッタリ
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ウォレスとグルミット、危機一髪!(1995年製作の映画)

3.0

クレイアニメは質が向上したら面白くなるというわけでもないのが難しい。むしろそれによって空気感が大きく変わってしまう。
全体的に前作には今ひとつ及ばず、カーチェイスも見せ場ではありつつ、積み上げが足りな
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ショッカー(1989年製作の映画)

3.5

説明よりもとにかく突っ走りきるテンションの高さに痺れる。ハードロックのBGMがガンガンかかり、極悪で同情の余地なしでとにかくしぶとい殺人鬼が容赦なく人間を殺す。挙げ句の果てには幼女に憑依したり、電気を>>続きを読む

レズビアンハーレム(1987年製作の映画)

4.0

キッチュでキュートなメルヘンポルノ。レズカップルが迷い込んだ森の奥の謎の国。火花を散らすペニスを装着した悪の女王。オナニー大会。緊張感もへったくれもない戦いを経て、最後はみんなで楽しく乱交レズパーティ>>続きを読む

のけぞる女(1980年製作の映画)

3.5

『密猟妻』に感動した身として、見ておいて良かった。今作の風間舞子は性への衝動に取り憑かれてはいるけど狂人ではない。護送車から脱走し民家の若夫婦を縛り上げて犯す凶暴性を持ちながら、廃れた映画館で出会う大>>続きを読む

女教師 汚れた噂(1979年製作の映画)

3.3

30000円で買われた女が30000円で男を買う。静けさが漂う早朝のバスターミナルで描かれる、孤独を抱えた男女の出会い。ここで終わっても良いくらいの名シーン。

陳腐さについて考えさせられた。「どうや
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マンハッタン・ベイビー(1982年製作の映画)

3.3

どことなく『エクソシスト』風でも、やっていることは人知を超えた邪悪の前になす術もなく人間が粛々と死んでいくいつものフルチ。行き当たりばったりに拡散する物語。しかし冴えた撮影と凝った美術の甲斐もあり、理>>続きを読む

アイの歌声を聴かせて(2021年製作の映画)

3.5

突然ミュージカルを開始するポンコツAIと学園ものテンプレキャラクターズの織りなす愉快な高校青春ライフ。PVの地雷臭に油断していたらちゃんと面白い。

人物紹介&各々のお悩み解決を爆速でこなしつつ、急転
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女教師は二度犯される(1983年製作の映画)

3.3

女教師を見つめつつ割れたビーカーで手首を切る男子生徒。鏡に映る自分の裸体を見つめつつ乳首に口紅を塗りたくる女教師。視線の行方は一方通行。「身体に跡を残す」行為は、孤独に対する抵抗手段として機能する。し>>続きを読む

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

4.8

M・ナイト・シャマラン最終回。

世界と対峙する為に、自分を信じること。

実録不良少女 姦(1977年製作の映画)

3.3

藤田敏八はいくら構成要素が70's過ぎてダサくても、根本的な映画の語り口の上手さがある。それに乗せられて、結局最後まで見てしまう。部屋で黙々と無痛分娩の体操に励む妊婦、という人を食った冒頭からの超洒落>>続きを読む

スプリット(2017年製作の映画)

3.5

ジェームズ・マカヴォイとアニャ・テイラー=ジョイの対決には魂が震えた。同じ痛みを持つ者同士の邂逅。浮き彫りになる光と影。「獣」をどう飼い慣らし、受容していくか……。『アンブレイカブル』同様、世界の中に>>続きを読む

誰かがあなたを愛してる(1987年製作の映画)

3.5

やってることは「付き合いそうで付き合わない」みたいな今やありふれた王道恋愛モノだけど、気づくと全ての瞬間が愛おしくなっている。チョウ・ユンファは破天荒に見えてここ一番で常に潔い真の漢。チェリー・チェン>>続きを読む

ハプニング(2008年製作の映画)

3.5

サスペンスしつつ家族の再生をやる点で『オールド』と同じだけど、面白いのは断然こっち。90分の中にアイデアが詰まっている。まず、風を怖く撮る映画を初めて見た。揺れる木々があんなに禍々しく。そしてモデルハ>>続きを読む

アンブレイカブル(2000年製作の映画)

3.3

これは好きになっちゃうな。テーマとしては今作で終わってる気もするけど、続編があるなら追わねばと思わされる。ヒーローの覚醒を描きながら、あくまで切実な範囲での「自分探し」に展開が終始するのがブッ刺さり。>>続きを読む

チェンジリング(1979年製作の映画)

3.3

アバン〜タイトルまでの流れがとても良くて、ここでグッと引き込まれる。

ジョージ・C・スコットは気品があって音楽家がよく似合う。だだっ広い屋敷はどこに誰がいるかわからなくて怖いよね。フレーム外に存在を
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モンパルナスの灯(1958年製作の映画)

3.5

ベッケルの良さって言葉にしづらい。ざっくり言えば、悲劇喜劇を問わず常にシャープな印象を受ける。説明の分量の問題なのか。ともあれ黙々と進行する中にも機微が織り込まれているから見逃せない。

絵画教室での
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悪魔の受胎(1979年製作の映画)

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土偶型エイリアンに強制妊娠させられたおば様が「近くのコンビニまで」的なラフな格好で大暴れ。声量が凄い。感情不明な狂気の絶叫が、基地の奥から延々と響いてくる。ここが滅茶苦茶長くて嫌な感じで、リドスコとは>>続きを読む

ゴジラ対ヘドラ(1971年製作の映画)

3.5

演出に狙いすぎ感はあれど、とにかくヘドラの魅力で一本背負い。ヌメヌメしつつ妙な光沢もあり、触りたくなさMAX。全てがキモくてGOOD💜海岸で指の先スレスレを飛んでいくシーンでは等身大な化物ならではの怖>>続きを読む

ガラスの動物園(1987年製作の映画)

3.5

テネシー・ウィリアムズの名作戯曲をド直球映画化。近年の舞台上演だと決まって新解釈演出が盛り込まれるので、本作の衒いのなさは新鮮。原作の露悪的な部分は鳴りを潜めて、より「追憶の劇」な慎ましさが全編に。ア>>続きを読む

テレフォン(1977年製作の映画)

3.5

特にこれといった攻防戦は発生せず、電話で催眠状態に入った潜伏スパイがロボットのように粛々と自爆テロをおこなうくだりが何度も繰り返される。漂う謎の緊張感がクセになる。ブロンソンは先を読んでるのか読んでな>>続きを読む