ばっしぃさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

バックドラフト(1991年製作の映画)

3.5

90年代に流行った英雄娯楽映画。消防士だけではなく火災調査官にもスポットを当てたのは面白い。父親から続く消防士への誇りと兄弟愛が描かれる。
火は生きている。燃えるものがあれば一瞬で燃え広がる。火の描き
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

3.8

偏屈で短気な年寄りが最愛の奥さんを亡くし自殺を考えるがなかなか死ねず、トルコ移民の隣人家族との交流を通じて少しずつ心を開き通わしていく物語。死んで奥さんのところに行こうとするたびに自分の人生を語ってい>>続きを読む

柄本家のゴドー(2018年製作の映画)

3.6

柄本家の才能のぶつかり合いがすごい。舞台を極めてきた父が芝居をつけ、昔父も演じた「ゴドーを待ちながら」を息子たちが演じる。そこには役者馬鹿の師匠と弟子の姿もあり、親子の尊敬と愛情もあり。本の読み方、感>>続きを読む

スイング・ステート(2020年製作の映画)

3.8

アメリカの加熱する選挙戦の異常さ、マスコミの機能不全、地方の財政難など社会問題に対して風刺的に切り込んだ政治コメディ。民主党対共和党でどっちが勝つのかと見せておきながら、観客をも騙す予想外の結末はとて>>続きを読む

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

3.8

ストーリーはやや単純だが、音楽がとってもよくてCool。派手なカーアクション、銃撃戦ともビートが合っているし、シーンの心情にも合っている。ベイビーのプレイリストとしてサウンドトラックも楽しめる。

カムバック・トゥ・ハリウッド!!(2020年製作の映画)

3.5

西部劇にオールドムービースターを起用し、過酷なスタントシーンを用意して事故死させて保険金をせしめようとするが、しぶとく生き残り、結果すごい映画ができるというわかりやすい王道のアメリカンコメディ。
デニ
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テッド(2012年製作の映画)

3.7

誰しも子供の頃ぬいぐるみと話をしたが、本当に話せるようになり大人になるまでずっと親友でいた人はいない。いつまでも大人になれない男と見た目は可愛いけど超スケベなクマのぬいぐるみの、とってもファンタジーな>>続きを読む

リリイ・シュシュのすべて(2001年製作の映画)

4.2

冒頭とラストの、広大に広がる田園風景と広がる大空は永遠の故郷のような原風景であり、リリィ・シュシュの歌、アラベスクとネットに書き込まれる思索的言葉ともシンクロしている。陰湿ないじめで、いじめる側もいじ>>続きを読む

冒険者たち(1967年製作の映画)

3.8

夢を追い求め夢に破れ一攫千金を狙って夢を追い続けるマヌーとローランとレティシア。3人の友情とレティシアを思う二人の男の揺れ動く心情が描かれる。
60年代のフランス映画は切ない。劇中繰り返し流れる「レテ
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沈黙のレジスタンス~ユダヤ孤児を救った芸術家~(2020年製作の映画)

3.9

子供の頃、マルセル・マルソーをテレビで見てパントマイムの独特の間合いに惹かれた。身体の微妙な使い方だけで、感情だけでなく肉体の外側にある世界までをも表現することに驚いた。特にマルセルの動きには気品と哀>>続きを読む

洞窟(2021年製作の映画)

3.4

イタリアの長閑な村にある洞窟に入っていく話をドキュメンタリー風というか、通りすがりでずっと見ている感じで、セリフらしいセリフも何の説明もなく淡々と映し出していく。ある意味斬新で不思議な映画。
洞窟に入
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サバイバルファミリー(2017年製作の映画)

3.7

ある日突然、世の中全て電気が使えなくなったら、本当に恐ろしいことだ。全ての生活が停滞する。最低限の衣食住の確保すらままならなくなる。人の心はすさみ悪徳商売や略奪が始まる。家族みんながイライラしているの>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.0

魔法左官少女コテコというマイナーなアニメでつながる美波ともじくん、実の父親を探し訪ねると、超能力があって教祖をやっていて一風変わった夏休みを過ごすなど、コミカルでちょっとハートウォーミングなストーリー>>続きを読む

名付けようのない踊り(2022年製作の映画)

4.0

田中泯さんには、大地に根を深く張り静かに強く空へと伸びていく植物の強い生命力を感じる。言葉が生まれる以前の踊り、全てのコミュニケーションの源を現代芸術として表現している。
彼の踊りは魂の発露なのか。と
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ある船頭の話(2019年製作の映画)

3.7

舞台は前近代の山間の村で渡し船の船頭の話。時代設定もはっきりしないため寓話のよう。ほとんど山間の川のシーンだけ。夏の日差しの川、宵闇の川、朝靄の川、雪景色の川、揺れる水面には表情があり、風を渡る風が感>>続きを読む

お盆の弟(2015年製作の映画)

3.8

群馬県の玉村町を舞台に、奥さんとも別居中で売れない中年映画監督の物語。大腸がんの独身兄貴との中年兄弟の会話や奥さんとよりを戻すために映画を撮るのに躍起になるダメ男ぶりなど、ストーリーもセリフもなかなか>>続きを読む

軍艦少年(2021年製作の映画)

2.5

軍艦島はその見た目の特徴も魅力の一つだが、昔炭鉱で栄えたという歴史、一つの島に密集して住んでいたコミュニティなど、その背景が大きな魅力である。そこで育った夫婦の家族の物語だが、無駄にヤンキー色を入れる>>続きを読む

アナザーラウンド(2020年製作の映画)

2.6

楽しいお酒だったらいいが、お酒がないとホンネも語れない人は敗者だ。仕事中も血中アルコール濃度を0.05%に保って饒舌に活動する人はありかなしか?それもやっぱり敗者だ。さらに屁理屈をつけて酒量が増してい>>続きを読む

ジェネラル・ルージュの凱旋(2009年製作の映画)

3.5

前作に引き続き、少しコミカルに描き過ぎているが、救命医療の重要さと困難さを描いていて意味のある作品になっている。

リボルバー(1988年製作の映画)

3.0

映画の作りやSEは古臭いが、佐藤正午の原作だからまあまあ面白い。いろいろな登場人物が出てきてストーリー展開の中で交錯していく。演技がイマイチの役者が多いのが残念。

コードネーム U.N.C.L.E.(2014年製作の映画)

3.8

冷戦時代は西と東でイデオロギーも価値観も全て異なる対立軸があったので、戦いを描きやすかった。そうした中、両者が手を取り共通の敵に立ち向かうという設定が面白い。
ただのサスペンスアクションではなく、洒落
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交渉人 THE MOVIE タイムリミット 高度10,000mの頭脳戦(2010年製作の映画)

3.7

ショッピングモール籠城事件からハイジャック事件につながり、実は大物政治家の過去の悪事の隠蔽、口封じだという凝ったストーリー。犯人グループも徐々に明かされ、宇佐木や木崎との攻め合い、地上や機長との連携な>>続きを読む

かそけきサンカヨウ(2021年製作の映画)

3.5

人物の描き方がとてもピュアで会話が優しい。高校生の初々しい気持ち、素直な気持ちが役者と演出で表現されている。サンカヨウという植物の透明感、お母さんが描いた絵とその思い出が重なり合う。

梅切らぬバカ(2021年製作の映画)

3.3

50歳の自閉症の息子を塚地が熱演。本当にそう見えてくる。彼を見つめる母親役の加賀まりこの眼差しが優しい。
自閉症の人は心がまっすぐで優しいし、決して馬鹿ではない。悪気もないけど几帳面で融通がきかないの
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ニュースの真相(2016年製作の映画)

2.4

正義のもと真実の追求、巨悪の弾劾を果たすのがマスコミの使命なのだが、大概の場合、TV局としては視聴率、ジャーナリストとしては自我と虚栄心が先んじてしまうので信用できないし、つまらない。どんなに偉そうに>>続きを読む

あやつり糸の世界(1973年製作の映画)

4.4

コンピュータの中に仮想現実空間を作り、小世界を築き意思や記憶を持つ個体を住まわせ、未来のシミュレーションをするという研究をしている中で、まわりの人が消えていく。自分が今存在(認識)しているこの世界も仮>>続きを読む

ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)

3.3

好きな時代に映画の世界でタイムトラベルできるサービスという発想がすごい。まったく現実的ではないがこれぞ映画の空想の世界。
それぞれ浮気心を持つが、最後に夫婦の愛を確かめ合うという着地でなんとかまとめて
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レディ・バード(2017年製作の映画)

3.6

高校時代の背伸びしたい、大人になりたい、田舎を飛び出したい、大人の恋愛をしたいという思いと巣立つまでの子供を思う親の気持ち、親友との友情などがぶつかり合い、思春期特有の葛藤が描かれている。その象徴が親>>続きを読む

悪は存在せず(2020年製作の映画)

3.3

第1話。夜勤明けで帰ってくると口うるさい奥さんの文句にまみれながら家族の世話をする普通の家庭人の普通の生活。そんな人が死刑執行しているというショッキングな終わり方。
第2話。どうしても死刑執行が嫌で命
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.1

◯夜毎体を重ね合わせ物語を紡いでいった舞台演出家と脚本家の夫婦。「今晩話したいことがあるの」という言葉を残して妻が急死し、同時に永遠に解くことのできない謎、過去の愛への疑念を背負って生きる、途方もない>>続きを読む

日本以外全部沈没(2006年製作の映画)

2.2

筒井康隆の日本沈没のパロディ。日本以外が全部沈没という奇想天外な筒井康隆のブラックユーモア感があって、安いC級パロディとして見れば面白い。外国人が大量に流入してくる混乱の日本の中で、閉鎖的な日本人の特>>続きを読む

いのちの停車場(2021年製作の映画)

3.7

末期の患者と向き合うことの難しさ。死の受け入れ方は人それぞれ。希望を持つことがよいのかわからないが、本人も見送る家族も心穏やかに死を迎えることができれば幸せ。地方の在宅医療や終末医療、安楽死という難し>>続きを読む

キネマの神様(2021年製作の映画)

3.9

古き良き時代の華やかな映画の世界が舞台。老年を迎え、キラキラした青春を振り返る。時代を超えて孫と一緒に脚本をリバイスし脚本賞を受賞しその受賞スピーチが感動的。映画好きの人にひキネマの神様がいるのだろう>>続きを読む

イイネ!イイネ!イイネ!(2017年製作の映画)

3.0

ストーリーはヤクザと恋と友情の単純ストーリー、演技もみんな上手いわけでもないけど、横浜を舞台にCKBがみんな本人役で出ていてCKBをたっぷり観られるのでファンには嬉しい。(愛子ちゃんは子育て中で電話の>>続きを読む

蛇イチゴ(2003年製作の映画)

3.6

西川美和監督のデビュー作とあって初々しさを感じた。映像や編集に変化をやたらと付けこだわりは感じるがややはまっていない感じ。ただ登場人物それぞれの人物像を丹念に描いている点はすごい。
兄貴もダメ人間だけ
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パリのアメリカ人(2018年製作の映画)

3.4

ガーシュウィンの楽曲がふんだんに使われていて、見ているだけでワクワクする。ガーシュウィンの曲は私の血管の中を流れ心に響き続ける。バレエにも力を入れた演出は芸術性を高めているが、やや優雅すぎてガーシュウ>>続きを読む