ばっしぃさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

MINAMATAーミナマター(2020年製作の映画)

3.7

子供の頃、日本にはいくつかの公害病があり、多くの人が苦しんでいることを社会の教科書で知った。しかし、当時はまだ歴史ではなくリアルタイムの社会問題で、子供ながらにどのように扱っていいかわからなかった。以>>続きを読む

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)

4.0

ストーリー展開もほどよくサスペンスで静かな人間ドラマとなっている。
社会主義国時代の東ドイツで絶対的国家権力による横暴、言論や芸術に対する弾圧が普通に行われていたのがほんの30数年前のこと。
冷徹な体
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サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)

3.8

青臭い高校生たちの青春恋愛映画だけど、時代劇好きな女の子の映画作りと未来から来た高校生という少しトリッキーな設定がよかった。
映画作りに正解はない、だから誰でも作れるし誰にも作れない難しさがある。製作
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GODZILLA ゴジラ(1998年製作の映画)

1.5

ゴジラはニューヨークの街には似合わないし、恐竜とモンスターのあいのこみたいなできそこないのゴジラはゴジラではない。ジュラシックパークの続編みたいなものにジャンレノ出して誤魔化しているだけ。こんな作品は>>続きを読む

Helpless(1996年製作の映画)

2.1

車もバイクも街も電車も空気感も90年頃で、まさに私の学生時代。懐かしい。それだけが見どころ。
ストーリーは田舎のチンピラの暴走と高校生の青春を組み合わせた話で退屈。監督が若くまだ人生に深みがないから安
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A Film About Coffee ア・フィルム・アバウト・コーヒー(2014年製作の映画)

3.3

食糧は価格と供給の安定が必要だが、コモディティ化すれば質は下がる。コーヒー豆の生産者から流通者、コーヒー屋まで労力を惜しまない人、こだわりを持って高い品質を追求する人がいるから美味しい珈琲を飲むことが>>続きを読む

アリスのままで(2014年製作の映画)

3.7

若年性アルツハイマー病を現実として受け入れなければいけないのは辛いだろう。家族も辛い。言語学の先生が言語を失っていく現実、仕事ができなくなる現実、大切なもののことを一つずつ失っていく現実、生活自体もま>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

3.6

医大で有望な未来が待っていた親友の女の子が、泥酔させられレイプされた挙句自殺に追い込まれる。その復讐物語だが、復讐劇に幸せな結末などあり得ない。悲しい結末だが加害者も罰せられたのはせめてもの救い。
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イン・ザ・ハイツ(2021年製作の映画)

4.1

ニューヨークの、中南米移民が集まるダウンタウンが舞台の夢と恋の物語。移民の苦労と夢とを持った若者の衝動と叫びが歌となり力強く美しい。全編リズムを大事にしたミュージカルなので、とても気持ちよく楽しい気分>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.3

◯毎年の誕生日を一年ずつ遡っていく設定が最初わかりづらかったが、沙莉ちゃんと池松壮亮の関係の変化が面白い。
ダンサーの夢が断たれた男と待つことのできない女、タクシーでのすれ違いが切ない。水族館での二人
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レミニセンス(2021年製作の映画)

3.4

◯海面上昇が進んだ近未来の水没都市、人の記憶を映し出せる装置を扱う退役軍人が捜査と絡めて、過去に愛した謎の女性を追いかけるサスペンス。人の記憶を通じて最期の会話を交わすというのは面白いが、設定と展開に>>続きを読む

浜の朝日の嘘つきどもと(2021年製作の映画)

4.4

映画に対する愛情、地方におけるコミュニティー、特に映画館の果たす役割を軸に、家族の絆や恩師との絆、震災と復興、コロナ禍での奮闘を上手に品よく盛り込んでいて、本当によくできた作品。クスリと笑えてホロリと>>続きを読む

わるいやつら(1980年製作の映画)

3.5

金にも女にもルースなプレイボーイの院長が多くの女性と関係を持ち続けるために場当たり的に人を殺していく。美貌を巧みに使い男を手玉にとっていく悪女が松本清張作品にはよく出てくる。

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.6

確かに評価が分かれるのはわかる。昔見たウルトラマンの延長線上で見ると、現実離れしたところから始まる子供向けの素朴な設定がよかったのに余計なことしてるようにも感じる。空想世界の設定に必然性を与える丁寧な>>続きを読む

鬼畜(1978年製作の映画)

3.5

岩下志麻と小川真由美の美女二人による妻と妾の壮絶なバトル、緒形拳演じる気が優しく弱い旦那が我が子を殺めようとする鬼畜になっていく表情はまさに鬼気迫る。崖で子供を抱き抱える夕景のカットに親と鬼畜の間で揺>>続きを読む

ロックン・ロール・サーカス(1996年製作の映画)

3.5

ストーンズが企画したサーカス小屋でのライブ映像。ストーンズ、ザ・フー、ジョン、クラプトン、みんな若く、全盛期で勢いがあり、かっこいい。60年代のロック感が熱い。サーカスの演目がちょこちょこ入る。
ジョ
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

2.8

マスコミは政府が隠した真実を暴くとか正義と信念にのみ立脚してなければいけない。この映画でも唯一社長だけが信念に従ったが、他社を出し抜くことしか考えていないにしか見えず、どうしても信用できないし、尊敬も>>続きを読む

東京公園(2011年製作の映画)

3.4

青山監督の映像にはただ綺麗というだけでなく、心が映し出されているようだ。
連れ子同士の姉弟の恋心、幽霊となって同居している親友とその元カノの幼馴染、女性と運命を感じて結婚したゲイのマスター、公園を巡り
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007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(2019年製作の映画)

3.9

悪役の兵器が年々現代的で精巧なものになっている。今回は特定のDNAにだけ効果が出るようにプログラムされた細菌兵器。こんなものが本当にあったら恐ろしい。
ボンドが愛する者たちに作用する細菌に感染したため
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よこがお(2019年製作の映画)

1.6

どうして人間の弱くて醜い部分を切り取った不快な映画が最近多いのだろうか。悪趣味のかたまりで本当に酷い映画だった。

グーグーだって猫である(2008年製作の映画)

2.6

吉祥寺の街とそこに住む人々と猫の物語。ちょこちょこ吉祥寺案内が入り、街の記憶を残す記録映画としてはよいが、それ以上の価値はない。犬堂監督ってこんなつまらない映画を撮る人だったろうか。
加瀬亮みたいなタ
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カツベン!(2019年製作の映画)

3.4

活弁の活躍した時代を周防監督流に軽妙なエンターテイメント映画に仕上げている。当時の娯楽としての映画は弁士抜きにはあり得なかったし弁士のセンスと語り口が重要だった。この映画でも当時の活動写真のようなドタ>>続きを読む

さがす(2022年製作の映画)

3.6

なかなか複雑で重く見ごたえのあるストーリーだった。サイコパスの殺人鬼の物語かと思えば安楽死の話であり、失踪かと思えば共犯であり、サスペンスかと思えば親子のドラマであり、なかなか見終わった後の気持ちの整>>続きを読む

インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

3.6

アパルトヘイト政策がまかり通っていた南アフリカをマンデラ大統領は揺るぎない理念と強力なリーダーシップを発揮して、白人と黒人の垣根を取り払うことに尽力する。
大統領と側近たち、大統領のSPたち、ラグビー
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時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)

3.4

前半は、美しいクラシック音楽に乗せて、無秩序で無慈悲で狂気じみた性と欺瞞と暴力と暴力と暴力。人間が立ち入りたくない闇一色を提示され不快の極みに心が疼く。近年こんなサイコパスの事件も増えているからとても>>続きを読む

宇宙人ポール(2011年製作の映画)

3.8

ちょっと悪くて下品な宇宙人ポールが人間たちと交流し心を通わせていく物語。笑いありパロディーあり逃走劇あり友情あり、ちょっぴり恋愛ありの新しいSF映画に仕立てているところがいい。
ETや未知との遭遇、ス
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ハート・ロッカー(2008年製作の映画)

4.0

装甲車や銃を持った兵士たちが街中を行き交う、仕掛けられた爆弾が爆発する、巻き込まれる市民もいる、死が常に隣にある。それが戦争だ。恐怖の中で仲間が死んでいき、兵士たちの精神も病んでいく。戦場では生き死に>>続きを読む

チア・アップ!(2019年製作の映画)

3.7

ダイアン・キートンはいくつになってもチャーミングで可愛い女性を演じる。おばあちゃんたちが頑張ってチアの練習している姿がみんなイキイキしていて楽しそう。
ストーリー的には、困難が次々にあるもののそれを乗
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

1.6

パレスチナの気取った監督が撮った気取った映画。人生観や社会風刺をほのめかすがメッセージまでにはなっていない。これで何かを伝えたいのだとしたら監督の独りよがりだ。面白くなるだろうと我慢して見続けたがまっ>>続きを読む

ホテル・ムンバイ(2018年製作の映画)

4.0

テロの恐怖を同じ空間で体験しているような臨場感があり、2時間ちょっとの上映時間ながらずっと力が入りっぱなしで疲れた。裏に隠れた首謀者に操られ、アラーの神のためにという大義で残忍に殺戮を行っていく少年た>>続きを読む

幸せの答え合わせ(2019年製作の映画)

3.8

年老いた夫婦、妻は独善的で会話も思想も支配しようとする。故に窮屈になる。窮屈になれば無理が生じますます思いからかけ離れていく。言う必要のない悪態をつく。非合理な感情が合理的な理性と相容れず、遂に旦那は>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.4

元キャリア官僚の老人が交通事故を起こすという実在の事故をモチーフにしている。遺族は大事な家族を失い、生活も苦しくなり、過去の呪縛から逃れることはできない。一方で元官僚の加害者側は一日も早く忘れ、なかっ>>続きを読む

ふるさと(1983年製作の映画)

3.6

痴呆が進んだ老人だが近所の子供とアマゴ釣りを通じて心の交流を交わしていく時は子供たちに教える使命のためか痴呆も良くなる。だが、老いとの戦い、年寄りの疎外感、家族も辛い老いの悲しみは拭えない。
ダムに沈
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朝が来る(2020年製作の映画)

4.0

子供ができずに特別養子縁組で養子を育てる夫婦、中学生で身籠り養子に出すお母さんとその家族、特別な事情の出産から養子縁組を支援する団体、それぞれの物語を時代を行ったり来たりしながら丁寧に描いている。とこ>>続きを読む

100日間のシンプルライフ(2018年製作の映画)

3.2

物質に支配された生活を0から見直すという着想は面白いが、ルールなどの設定が曖昧で物がないことでの苦労がほとんど伝わってこない。謎の女性の存在も意味はあったが、結局単純な恋愛と友情の物語にしている。テー>>続きを読む

ジャージー・ボーイズ(2014年製作の映画)

3.9

フォーシーズンズのバンドの半生を描いた映画。自伝的映画は事実をなぞらえる感じが強いことが多いが、音楽を中心に展開していて軽妙でとても見やすい。メンバーの独白という形でメンバーのすれ違いを描いている点も>>続きを読む