ばっしぃさんの映画レビュー・感想・評価

ばっしぃ

ばっしぃ

フォロウィング(1998年製作の映画)

3.8

クリストファー・ノーラン監督の初期の作品。全編モノクロで、昔から王道のサスペンスの雰囲気を醸し出している。事実のパーツを組み替えながらストーリーを紡いでいく手法には白黒がとても写実的で合っている。
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.9

ヨーロッパ企画お得意のタイムリープもの。上田誠はまさに時間の変態的魔術師だ。だが、タイムリープストーリーの構造をあまり複雑にしすぎずシンプルに止めることで、そこに乗せるエピソードや人間模様が軽妙洒脱に>>続きを読む

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

3.7

「そして誰もいなくなった」へのオマージュ作品だが、密室劇の中に東野圭吾ならではの多重構造を埋め込みミステリーとサスペンスと青春群像劇のテイストを見事に散りばめている。劇中で三重構造と言っていたが実は四>>続きを読む

変な家(2024年製作の映画)

2.5

ただ大きな声で驚かすだけの映画。
小説が売れていたから、もっと上質なミステリーだと思ってみたら全く想像していたものと違った。間取りを扱ったミステリーで斬新だと思ったがとても浅いし、祟りを扱うにしても安
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

3.8

クリストファー・ノーラン監督が大好きで、原爆を題材に撮った映画ということで、ずっと楽しみにしていました。
悪魔の兵器、原爆を生み出してしまった科学者の苦悩を独自の映像表現と音像で内面をえぐりとるように
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遊びの時間は終らない(1991年製作の映画)

3.3

90年代らしいコメディ。銀行強盗演習をネタに実直に犯人役を遂行する警官と手柄を立てたがる警察組織とのやりとりがおもしろい。当時のファッションや端末など、とても懐かしい気持ちで見た。

イチケイのカラス(2023年製作の映画)

3.5

ドラマは見たことがなかったが、映画だけでも楽しめた。
私達が追及すべき真実は何か?社会の弱者は市井の人々であり、法律とそれを遂行する人の限界と苦悩が描かれている。

銀河鉄道999(1979年製作の映画)

3.3

永遠の命を手に入れた機械化人間と限りある生身の身体を持った人間。心の有り様と幸せの本質に対する問題提起をしていて改めて考えさせる。松本零士の作品はやはりすごい。

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.3

問題提起をした最初のゴジラ、エンタメ性の高いシンゴジラに対して、戦争と家族愛を絡めドラマ性の高い骨太の映画に仕立てた。永遠の0、アルマゲドン、三丁目の夕日のテイストが散りばめられたゴジラ作品だった。>>続きを読む

サン・セバスチャンへ、ようこそ(2020年製作の映画)

3.6

me tooで吊し上げられてから表舞台で取り上げられなくなってしまったが、久しぶりに観られてよかった。昔のヨーロッパ映画へのオマージュがふんだんに盛り込まれ、そこに人生観を投影していく感じは初期の佳作>>続きを読む

BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

3人の若者が出会い、ジャズを志してトップのライブハウスで演奏するまでをコンパクトにまとめ、それぞれの挫折を織り込んだ物語で、ストーリーはいたってシンプル。だけど音楽に力があり音楽を聴かせる映画なのでシ>>続きを読む

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)

3.7

近未来、AIやアンドロイドが一定の力を持ち、人間と争う世界を描く。実にグローバルで多様性の映画であることに驚いた。アジアを舞台に唐書人物の人種も多様で様々な言語言語が飛び交う。エンドロールも外国人が好>>続きを読む

阪神タイガースTHE MOVIE2023-栄光のARE-(2023年製作の映画)

4.4

2023年、思い返せばAREを勝ち取るまで、本当にたくさんのドラマがありました。岡田監督の選手を見る目と采配、それを支えるコーチたち、そして試合を重ねるたびに力をつけ強くなっていく選手たち、本当にすご>>続きを読む

月の満ち欠け(2022年製作の映画)

3.6

◯佐藤正午らしい輪廻転生の不思議な物語。奇跡の愛がいっぱい詰まっていて、少しだけ奇跡を信じたくなる。
目黒蓮の役の年齢がわかりづらく映画にする難しさを感じた。音楽の問題なのか、この映画には80年代の時
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七人の秘書 THE MOVIE(2022年製作の映画)

3.3

◯好評だったテレビドラマの映画化として普通に面白かった。勧善懲悪で決めゼリフもあり今後もスペシャルドラマにしやすいフォーマット。

我が人生最悪の時(1994年製作の映画)

3.3

◯とってもハードボイルド。白黒の映像には普遍性があり人の感情が陰影とともに映し出され説得力がある。永瀬の野良犬のような目つきがいい。

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)

3.4

◯お金に魂を売り渡してしまった人々の物語。原作やテレビドラマとは少しストーリーを変えていて、ミステリー度は弱まり人間ドラマに重きを置いたが、その結果視点がばらけてしまった。阿部サダヲらのキャスティング>>続きを読む

馬鹿が戦車(タンク)でやって来る(1964年製作の映画)

3.7

山田洋次監督の初期の喜劇作品。時代背景が違いすぎていて今の人たちが見てもピンとこないかもしれないが、社会の中での格差や差別、貧困の中での豊かさが根底にあり、市井の人々の怒りと悲しみをユーモアとペーソス>>続きを読む

滝を見にいく(2014年製作の映画)

3.9

◯ゆるくてクスッと笑える映画。七人のおばちゃんたちのちっちゃいけど壮大な冒険ストーリー。女子高生に戻ったみたいな可愛いやりとりにほのぼのさせられる。演技経験がまったくない人もいるのに驚き。みんなが生き>>続きを読む

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

3.8

◯長崎の風景に、子供の頃の冒険と友情、家族の愛がスクリーンいっぱいに広がっている。草彅くんの少し抑えた演技とナレーションが光っている。監督が元お笑い芸人ということで、多くの芸人が出ている。

異動辞令は音楽隊!(2022年製作の映画)

3.6

刑事一筋の男が左遷で、子供の頃に和太鼓をやったことがあるだけでまさかの音楽隊というお話。最初は浮いた存在だったが徐々に仲間意識が芽生え、犯人逮捕にも貢献、演奏会も成功という想像通りのストーリー展開で、>>続きを読む

線は、僕を描く(2022年製作の映画)

3.3

◯ストーリーとしてはいたってシンプルで王道。水墨画の繊細さと力強さ、それを映像で伝えるのは難しいが、日頃触れることのない水墨画の入り口を感じられる作品。清原果那の筆を持った時の目がとても澄んでいて綺麗>>続きを読む

臨場 劇場版(2012年製作の映画)

3.3

長塚京三の存在感がとても優しく厚みを増している。
心神喪失で減刑されるという理不尽さは未だに理解できない。

ポテチ(2012年製作の映画)

3.7

◯中村義洋監督×伊坂幸太郎作品で、こんな作品があるのを知らなかった。お人好しでお節介な空き巣と運命が交錯するプロ野球選手。短編をシンプルにまとめた中にも最後のホームランにはシンプルに感動する。
濱田岳
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鳩の撃退法(2021年製作の映画)

3.7

虚構と現実を行き来しながら、観客をもスリリングに騙して行く。さすが佐藤正午の小説だけあってストーリーが論理的に緻密で面白かった。おそらく小説の方が時間と空間をより立体的に描いているのだろう。映画でそれ>>続きを読む

由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.9

真実を追及するドキュメンタリー監督としての矜持、加害者や被害者の家族がマスコミや世論から受ける被害への深慮、自分の生活への影響に対する打算、全てを天秤にかけて現在の均衡を保ち続けることは不可能である。>>続きを読む

太秦ライムライト(2013年製作の映画)

4.0

浪人の佇まいと斬られる背中で存在感を表す役者福本清三。その生き様をそのまま映画に投影している。殺気溢れる殺陣の迫力の凄さはもちろんだが、初の主演でも老いと憂いを演じきり深みのある存在感を示している。山>>続きを読む

99.9-刑事専門弁護士‐ THE MOVIE(2021年製作の映画)

3.2

物語はとても重く、いいものだった。
相変わらず見ていてイラッとするやりとり、無駄なカットが多く、ガチャガチャしていてテレビドラマとしては見られるが映画とするには無理があった。最近はなぜスペシャルドラマ
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必殺仕掛人 春雪仕掛針(1974年製作の映画)

3.5

マカロニウェスタンのような音楽での始まりがかっこいい。山村聰、緒形拳、林与一、みんな声が艶っぽくてかっこいい。悲しい運命も全て地獄まで背負っていく。

ウェディング・ハイ(2022年製作の映画)

3.7

結婚式は開く側も出席する側も心を込め、その気持ちが凝縮する場、故にいろんなハプニングが起きる。それをうまくコメディに仕立て上げている。バカリズムならではの伏線回収はお見事。大九監督とバカリズム脚本の奇>>続きを読む

必殺仕掛人 梅安蟻地獄(1973年製作の映画)

3.6

「晴らせぬ恨みを晴らし ゆるせぬ人非人を消す いづれも仕掛けて仕損じなし 人呼んで仕掛人 但し此の稼業江戸職業づくしには載っていない」
TVシリーズが好きでよく見ていた。緒形拳、林与一(左内さんじゃな
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夜逃げ屋本舗(1992年製作の映画)

2.9

借りない賢さ、貸さない優しさ、どちらが正義なのか?クズはクズなりに立ち直ろうとしているから助けるという道理もあるが、クズは何度でも同じ過ちを繰り返す、そんな奴を助けることにどうしても賛同できない。ヤク>>続きを読む

マイ・ニューヨーク・ダイアリー(2020年製作の映画)

3.5

東海岸に憧れ文学に憧れ、夢を持った若者が主人公で、モノローグを多用しているせいかWoody Allenテイストが漂っている。
作家志望の女の子がサリンジャーとサリンジャーのファンから多くの刺激を受け、
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大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

3.0

子供の頃からウルトラマンがやっつけた怪獣はその後どうするんだろうと思っていた疑問をテーマにした映画。始まりは安いシンゴジラといった感じ。怪獣の後始末をネタにした政治風刺でリアリティがあるほど面白いのだ>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.9

◯親から虐待を受け、彼氏からも虐待を受け、どんどん壊れていく親友のマリコ。マリコを面倒に思いながらも心配するシイちゃん。全くタイプの違う二人が心の奥底でつながっていて、自殺してからも親友とのダイアロー>>続きを読む

自分の事ばかりで情けなくなるよ(2013年製作の映画)

3.5

クリープハイプの楽曲をテーマにした4話のオムニバス。若い頃特有の自我をコントロールできずうまく生きられない感じ、人生の敗者や弱者に寄り添った歌に勇気づけられ支えられる。
本編とは関係ないが、キネマの舞
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