主人公サンタナが監獄で受けた性暴力を、後に彼が愛する人との情事に結びつけることで、この地獄の環を説明していまう手腕
傑作。硬派な作りで、カメラの動かし方と省略の仕方が良い。『太陽の帝国』に似ているようで、あちらは少年の変貌を描いており、スピルバーグなら本作は『戦火の馬』の方が近いか。ジマーのアルバムも良い。控えめな>>続きを読む
ヒンドゥー経典をベースに、『DUNE』『マッドマックス』の砂漠、『ブレラン』(より『アリータ』)の市街、コミック的超人バトルなどを混ぜたようなテルグ語シネマティックサーガ一弾。どこかで見たことのある要>>続きを読む
ステイサムのスター性を活かして災害的強さを持つ主人公を据える。圧倒的強キャラ映画として、『リベリオン』以来のカート・ウィマー傑作。ステイサムに強引に引かれるように規模が大きくなっていく展開が楽しく、そ>>続きを読む
20年間、当事者らの老いゆく身体を如実に描写するカメラが、彼らが失った分の人生を赤裸々にする。当事者として監督は、時たま被写体として自身を曝けながら「撮ること」により文字通り問題に対抗するが、それが最>>続きを読む
これもラストが超良かった。失われた恋人と重ねるように女神を閉ざし、それを踏まえてのあの結末
演劇家系であるキャベンディッシュ一族について、個性豊かな彼らが自分の人生を模索していく様を描いていた喜悲劇(舞台)である。1975-1976年に復活公演されたとき、ローズマリー・ハリスは長女ジュリー>>続きを読む
ローズマリー・ハリスとマイケル・ケインの共演作で、A24新作『We Live In Time』のジョン・クロウリー作品。死後の世界を追求する少年(嘗てのコディ=スミット・マクフィー似)と元マジシャンの>>続きを読む
アンドレア・アーノルドは「居場所」について、アプローチを変えながら描いてきた。イギリス郊外をダルデンヌ兄弟みたく描いたかと思えば、同じようなテーマで『嵐が丘』でやってみたり雑誌販売をする若者集団を主>>続きを読む
『見知らぬ乗客』でただ1人ボールを追わない男のシーンはあざとさを感じて苦手なのだが、その図を引用しながら、試合の中でボールを主体化していき、遂に先の構図が反転されるクライマックスは良かった。一番良かっ>>続きを読む
傑作。こんな面白い映画を軽く撮っているように感じさせてしまうのが凄まじい。人の中にある真実や正義が、事象としての真実を超えた上で天秤にかけられる様をダイナミックに魅せる。奇を衒わない、往年の名作を思わ>>続きを読む
割と良かった。This is cinemaな映像のルックと荒々しいアクション。男性性を巡る話を形作るキャラクターたちの造形もとても良い。一方、メインを張る女性キャラがクレイヴンのアシスト機構にしか見え>>続きを読む
傑作。タロン・エガートンの見事な身体運動を引きで、主役の「弱さ」を際立てる彼の表情を寄って魅せるカメラが圧倒的に良い。役者では、ジェイソン・ベイトマンを正体を隠そうとしない悪役に据える妙。あの役に深み>>続きを読む
アルフォンソ・キュアロン製作でデヴィッド・ロウリー監督による短編。ボール紙等を使ったストップアニメーション風の心地良い質感。飛ぶ運動で魅せながら、クリスマスとは何か?を語る行きて帰りし物語。素晴らしい
プロパガンダ性を読み取るとき、やや危うさを感じなくもなかった『RRR』とは対照的に、民主主義に対する非常に切実なメッセージを発しているのに驚く。
格好つけて踊りながらも、どこか抜けているシャー・ルクに>>続きを読む
パブロ・ラライン作品としては、ちょうど『ジャッキー』の裏側ともいえる、マリア・カラスの伝記映画。アンジェリーナ・ジョリーの名演に支えられる。一方、音源をあからさまに用いた歌唱シーンが気にはなるが、過去>>続きを読む
傑作。政治性が内包されつつ、それに無自覚な冒頭と自覚し始めた結末。青春を個の政治性に対するダイナミズムが含まれたものとして捉え、その一瞬を切り取るワンカットに痺れる。そこに生を与える俳優陣の自然な存在>>続きを読む
マイケル・ケイン引退作かつグレンダ・ジャクソンの遺作。戸田奈津子字幕。ケインだけでなくジャクソンについても、過去に想いを馳せる旅が描かれている。フラッシュバックの見せ方があまり上手くない気もするが、2>>続きを読む
結構好き。今年のTIFFは悪い意味で淡々とした作品に多く出会っているが、映画なんだからこれぐらい自由にやってくれて良い。環境保全的意味合いの外来種問題を植民地史に紐づける大胆さ。何気にキマッた画も多く>>続きを読む
深瀬昌久をテーマに海外監督から見た日本。そして最近多い、"shoot"についての映画。その暴力性に自覚的なところや、瀧内公美と浅野忠信のファーストコンタクトの場面なんかは本当に良い。ただ、物語面での引>>続きを読む
面白かった。植物学者の失踪事件の解明を軸にした、ジャンル横断型ミステリー。4時間の長尺だからこそ体感される迷宮。『ツイン・ピークス』のようにTVドラマ向きともいえる内容ながら、映画という連続体の中だか>>続きを読む
面白かった。植物学者の失踪事件の解明を軸にした、ジャンル横断型ミステリー。4時間の長尺だからこそ体感される迷宮。『ツイン・ピークス』のようにTVドラマ向きともいえる内容ながら、映画という連続体の中だか>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
正直なところ、リドリー・スコット作品という前提で見れば、そこまでビジュアル的に惹かれるショットはなく、前作をなぞったような部分はそんなに面白くはなかった。また、全体を通してかなり端折られたような印象>>続きを読む
傑作。スコセッシ的な栄枯盛衰譚をクラシカルに写す、『アイアンクロー』に続く良質なアメリカ映画。「役割」を担わされたジョディ・カマーが語り部としてホモソーシャルを解体しつつ、その「役割」を象徴する場とし>>続きを読む
GDH製作の🇹🇭ホラー。ジャンプスケアが過剰なのと説明過多なのが気になったが、面白かった。GDH『女神の継承』とは違って土着信仰性はそこまで強くなく、語りのツイストで魅せていく映画なので、ハリウッドリ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
あまり情報を入れずに臨んだということもあり、予想以上にジャンル映画的だったため驚いた。ジャンル映画としてはかなり面白かったし、ファルジャの手腕も確かなものではあったが、一方で気になる点もあった。
コ>>続きを読む
構成は平凡であり、ジュゼッペ・トルナトーレ『モリコーネ』より一時間弱短い時間ではダイジェスト的に語るしか叶わないが、まんまと感動させられる。同作の中でモリコーネを「普通なら引退している年齢だ」と言って>>続きを読む
アナ・ケンドリック初監督作。シリアルキラーものとして明快な起承転結を与えず異なる時を生きる女性達をシームレスに繋ぐことで「彼(ら)」に対する連帯を描く。劇映画だからこその、その構成を踏まえた誠実な結末>>続きを読む
カザフスタン映画といえば、東京国際映画祭関連だとエミール・バイガジン『ライフ』が記憶に新しい。監督は『イエロー・キャット』のディルハン・イェルジャノフ。
個人的に、これは結構厳しかった。士官学校とい>>続きを読む
本作はスター闘牛士アンドレス・ロカ・レイにスポットを当て、闘牛場での死闘とその競技前後の様子が反復される構成をとっている。
闘牛場=舞台のように演出され、その中で闘牛士達は予め決まったプロセスに則>>続きを読む
悪くないが微妙。東欧/西洋や貧/富の軋轢を絵画を象徴して描く。面白くなりそうなところは多いが、サラッと流してしまう。「善人」だが移民の実存に無頓着なキュレーターと主人公(ヴァルトロメイは素晴らしかった>>続きを読む
面白かった。実際のフッテージを使っているという設定が存分に生かされていて、特に催眠術のくだりは観客を巻き込みながら重層的に超常現象を描いており素晴らしかった。ただ、番組放送部分が良かっただけに、CM中>>続きを読む
コルシカ独立運動を追うアンドレアを第三者の「彼」の視点で語っており、その意味でタイトル「彼のイメージ」なのだろう。
結論から言うと、微妙だった。第三者視点で語られる本作では、ナレーションによって出>>続きを読む
詩人で小説家の主人公が、彼の父がナミブ砂漠に残した文書を探す旅に出かける話である。監督のセルジオ・グルシアーノは前作で『絶海9000m』という本作とは似ても似つかないパニック映画を撮っている(未観)>>続きを読む