ごりごりと擦れ合いながら人生を踏み締めていく家族という名の命のかたまり。洗練されたドラマ作りの文法では掬いきれない旨味と苦味たっぷりな大鍋料理を彼らと一緒に囲んできたような気持ち。愛しい。
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図らずも自分自身が求職中のおじさんとして対峙することになってしまった。差し伸べられる想いや、道を閉ざそうとする壁、不意の涙なんかにいちいち気持ちが同期して、弱ったなあと思いながら観た。主人公が自分の真>>続きを読む
人生の悲哀を8、ナンセンスなコントを2の割合でグラスに注いでステア。そんな味付けの体感1〜2分のシーンを、前後の繋がりもなく33個放り投げておしまい。「土砂降りの雨の中、お父さんが娘の靴ひもを結んであ>>続きを読む
ストレートなオーガニック讃歌と思ったら大間違い。明るく真っ当に生きる彼女に訪れる、むき出しの寂しさが忘れられません。同じこの星の上に、今もあんなふうな孤独が存在するなんて。ぼくが慕っている人みんなに心>>続きを読む
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途中でふとタイトルを思い出して、「そうか!」と気が付く。実際、主人公が「その手に触れるまで」を淡々と追いかけていくんだけど、単純に更生(宗教に基づく信念だけにそう呼ぶのは憚られるけれど)の物語へと進む>>続きを読む
これを観てしまうと、僕たちが見聞きしているよその国の内戦というのは、森の生態系を知ろうと落ち葉を一枚眺めているくらいのことでしかないんだなと思える。
近くに爆弾が落ちたらどんな音がするのか、爆撃で死>>続きを読む
あんなラストシーンやる? ズルいなあ、胸がぎゅっとなるじゃないか。
シート揺らして笑った〜! コロナのパンデミックの真っ只中に、終演後のギッチギチの客席の大喝采なんか映されたら、そりゃウルッとしちゃうでしょ。
新型コロナ騒動の休館がようやく終わり、まだガラガラの劇場へ。混みまくったカフェ、ホームパーティー、握手、キス、浮気、不倫、二股と、ソーシャルディスタンシング的にはご法度だらけの憎めない人間関係を眺めて>>続きを読む
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妙な違和感とともに始まった物語がどんどん違うジャンルに転調していって、暗い山道を無灯火で運転するみたいに次々と思わぬ方向にハンドルを切らされる。その振り幅、神話からサイコサスペンスまで。初めて見る文法>>続きを読む
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パルムドールっぽさがプンプン臭う、残り香も強めの怪作。ゆったり流れるエレガントなカメラワークが独特の可笑しさを醸し出す。桃のシーンのムダなカッコよさなんか、シャーリーズ・セロン演じる女スパイ映画みたい>>続きを読む
打ちのめされる覚悟で観に行って、やるせなさに押し潰されたまま劇場を出た。あの家族の懸命な愛が頭から離れなくて、うっかり気を許しては今もウルウルしています。
遠い昔の話だっていうのが好きなところ。
シリーズ通してほんとにたくさん楽しませてもらいました。
あー面白かった!
そこで何を言ってしまうかが大事な場面なのに、スクリーンの2人からどうしても目が離せなくて字幕が読めなかった。そんなの初めてだ。キャストもポスターも予告も狙い過ぎな気がしてあまり惹かれてなかったんだけど>>続きを読む
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「ディーパンの闘い」の監督と聞いてとても楽しみにしていたけど、邦題やビジュアルイメージ、宣伝文句に引っ張られて観たせいで、「なんか違うな」と思ったまま入り込めずに終わってしまった。これはバイオレンスを>>続きを読む
凄みのあるエンディング。あそこで更に明らかになったかもしれない最悪の筋書き(あの人もそれを知ってた? てことはあの人も…?)を想像させる、嫌な余白の残し方にゾクゾクした。新作が世界一待ち遠しい監督なの>>続きを読む
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枯れたブシェミと大人のクロエ・セヴィニー、少年と馬、まるごと写真集にしたいような繊細な映像美に惹かれて観てみたら、思っていたよりずっとゴツゴツした骨のある話だった。主人公の少年が走って逃げ出すシーンが>>続きを読む
画面に現れるのは主人公ばかりで肝心の「現場」が何も映らない、言ってみたら映像が無くても成り立つ映画なんだけど、そこが目の離せなさっていう。頭の中で描いていた状況がひっくり返った時には唖然とした。けして>>続きを読む
予告編を観てこれは辛くて耐えきれないと思ったので、映画館には行かなかった。缶詰のシーンで謝る彼女の気持ちを思うとたまらない。守るべき誇りと、なりふり構わない愛情。手を差し伸べること。助けてと言うこと。
究極のアトラクションだった「ゼロ・グラビティ」に対して、こっちは映画的なサービスを限界まで我慢したゴリゴリのハードコアドキュメンタリーだった。まるでアポロ11号に押し込められて月まで行ってきた気分。あ>>続きを読む
自由で新しい感性が作った、とても詩的な良い作品でした。まるでアナログ写真みたいな柔らかい映像はずっと観ていられる。
どのエピソードもそれぞれ良かったけれど、自閉症の子が初めて言葉を使って意思表示をする場面が鮮烈だった。喋らない、目も合わせない、癇癪ばかり起こす。意思疎通どころか我が子にキスさえしてもらえないご両親が>>続きを読む
ただなんとなく気になって借りたDVD。あー、好きだこれって思って調べたら、「ウェンディ&ルーシー」の監督だった。なるほどね、確かにそうだ。いいなあ、寂しくて。
ほかの誰ともなにも違わない恋心に、涙がぽろぽろぽろぽろこぼれて止まりませんでした。あんな時、僕はどんな風に寄り添っていられるだろう。