ユタカさんの映画レビュー・感想・評価

ユタカ

ユタカ

映画(185)
ドラマ(0)
アニメ(0)

異人たち(2023年製作の映画)

4.0

抱えたまま生きるのが当たり前になった孤独な心は、包帯を巻いて慰るより、傷口を晒して痛いと泣く方が健全さを取り戻したりする。かつて僕たちは「グッド・ウィル・ハンティング」でガス・ヴァン・サントからそれを>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

アカデミーの作品賞を横綱相撲で勝ち取るような重厚なドラマの系譜にまで、ノーランはバットマンの世界で成し遂げた深化をもたらしてしまった。

「メメント」から飽きることなく繰り返される入り組んだ時間軸、ブ
>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

5.0

字幕を見るのを忘れさせた「マリッジ・ストーリー」の怒鳴り合いの演技が忘れられないけれど、これにも互いに牙を剥く強烈なシーンがあって、こちらはその脚本の強靭さに驚かされた。想像力だけで、あんな風に血と肉>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

出汁の染みた顔、無表情の棒読み、あらすじ以上のことが起こらない使い古された物語、クラシックで完璧な構図。こんな話がどうして今更ここまで響くのか、本当に訳がわからない。演出とか脚本というものが、何に誠実>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

4.0

少し退屈もするし、お尻だって痛くなるしの、長距離列車そのままの映画体験。スクリーンからは煙草の煙や体臭まで漂うようだった。親しみは持てなそうだなと思った彼女の時間が、後から俯瞰すると温かに感じられるの>>続きを読む

小さき麦の花(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

思いやる相手がいるというのは、貧しさとか体の障がいみたいことではなかなかへし折られないたしかな幸福になり得るんだな。ただ、孤独さだけは本当に手強くて、踏まれるほどに強くなる麦の苗みたいな主人公でさえ、>>続きを読む

あのこと(2021年製作の映画)

4.0

2007年、「4ヶ月、3週と2日」という映画がパルムドールを獲った。
違法な人工妊娠中絶に臨む友達に振り回される少女の、最悪な一日を追った作品だった。

そして2023年の今日、「あのこと」を観た。望
>>続きを読む

戦争と女の顔(2019年製作の映画)

4.5

二度目を観る強さが持てない代わり、絶対に忘れる事もない名作に、今まで何本か出会いました。これもそうで、観ている間お腹が砂でも詰められたみたいに重くて、本当に具合が悪いのかなと焦るほど苦しかった。より悪>>続きを読む

逃げた女(2019年製作の映画)

4.0

‪工業用ロボットに丸投げしたかのような、見たこともない無機的なカメラワークとのっぺりした画面。いかに意味を持たせず断片を集めるかに腐心する監督の語り口。映画的なサービスに食傷している人ほど、一周先で舌>>続きを読む

>|