映画の中のセリフを借りれば、「T2トレインスポッティング」は“血と小便が混じりあった”映画だ。
冒頭、主人公のマーク・レントンはジムのランニングマシーンから転げ落ちる。フィットネスに時間と金を投資す>>続きを読む
T2を観る前に本作を観ておこうと思い、鑑賞。
もっと重い映画かと思ったら、めちゃくちゃポップでびっくり。出口のない若者たちの焦燥をこんな風に描けるのか。
ユアン・マグレガーがヘロインに溺れる主人>>続きを読む
外側にいる限りは楽園でいられる。この映画は徹底して内側を描くことで、内と外に線を引く危うさを表出する。
楽園を求めてバンコクを訪れる日本人の男たち。前半は、タイの女を買いに来る男たちの不遜さと愚かさ>>続きを読む
「ゴースト・イン・ザ・シェル」を観た。
原作も押井守のアニメも全く知らなかったけど、北野武がスカーレット・ヨハーソンをどういじるのか観たくて本作を鑑賞。
北野武があまりに真っ当すぎて拍子抜けした>>続きを読む
「死ぬまで一緒にいると思っていた」。
好きな人ができたと夫から告げられた時に主人公のナタリーが口にする言葉だ。
人生の土台だと思っていた夫との関係が突然途切れた時、普通なら夫の不実を責めたり、夫を振り>>続きを読む
エドワード・ヤン監督の最高傑作と言われる作品です。
1992年に日本で上映されてから25年ぶりに再映されました。
私は今回初めて観ましたが、震えが止まらないほど感動しました。
1960年代初頭の台北を>>続きを読む
マリオン・コティアールとレア・セドゥ、この2人の女優はどんな役を演じても、吐く息とか、肌から立ちのぼってくる匂いとか、リアルな生身の人間を感じさせます。
「たかが世界の終わり」はこの2人だけでなく、>>続きを読む
「LA LA LAND」は、映画の魔法が降り注ぐ国、そして何者かになろうとする若者たちの国です。
冒頭、渋滞中の高速道路で歌と踊りが繰り広げられます。きっとオーデションを受けて出演を勝ち取ったであ>>続きを読む
ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラ、この二人の演技に思わず溜息が洩れます。
1950年代のニューヨークを舞台に秘められた同性愛を描いたこの作品。二人の渾身の演技によってこのうえなく美しい恋愛映>>続きを読む
ポール・オースターとウェイン・ワンが創り上げた極上の対話劇。台詞と映像が響き合って絶妙のアンサンブルを奏でている。
スモークとは、はかないけれど確実に質量のあるもの。人生。
ハーベイ・カイテル>>続きを読む
リチャード・リンクレイター監督作品。
代表作のビフォアシリーズでは積み重ねた男女の歳月を丹念に描いていた。気になる監督の一人になった。そして前作の「6才のボクが、大人になるまで。」では、少年の成長と>>続きを読む
魔法使いはつらいよ!人間と共生するために魔法を封印してひっそりと暮らしている。そんな抑圧された状態を良しとしないエリートが生まれてきても不思議はない。
輝かしい未来を信じて、空高く摩天楼を築き始めた>>続きを読む
男と女の愛のはじまり、それだけを克明に描く。その他の要素は一切入り込まない。
恋愛映画の傑作として名高い「男と女」は、大切にしまっておきたい宝石のような映画だ。時々宝石箱を開けて、眩しい光に触れてみ>>続きを読む
30歳を過ぎて、引きこもり同然の暮らしを送っている女性一子を安藤サクラが演じる。
弁当屋を営む実家で、背中を掻きながら小学生の甥とゲームに興じる毎日。無造作に伸びた髪で自分の顔を隠す。深夜、腹の足し>>続きを読む
「永い言い訳」を観て、あらためて観たくなった本作。
誰もが心の底に、やりきれない気持ちをうっ積させて生きている。言葉にして伝えられれば少しは分かり合えるのに。
でも、誰でもそうだが心の底に渦巻く気>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
妻を亡くした男たちと母親を亡くした子供たちが、心の痛みに苛まれながら心の傷を他者の言葉の力で癒していく物語。
本木雅弘演じる主人公は作家だ。本名の衣笠幸夫ではなく津村啓として生きている。深くは語られ>>続きを読む
ボブ・ディラン ノーベル文学賞受賞記念の投稿。
エンドロールでビル・マーレイがボブ・ディランの「嵐からの隠れ場所」を口ずさむシーンは、主人公のシニカルだがハートフルな個性が滲み出ていてとても良かった>>続きを読む
待ちに待った9年ぶりの新作。
スパイアクションの中でも、最も好きなキャラクターがマット・デイモンのジェイソン・ボーン。
基本的に単独で、国家組織を相手にする快感。今回も“国益”を盾に非道な謀略を図る>>続きを読む
想像をはるかに超えていた。1本背負いで叩きつけられた感じ。
福山雅治を主演にして、ハードボイルドを撮った大根仁監督に最大限の敬意を表したい。
スキャンダルを売りにする週刊誌編集部が舞台。雑誌が花形>>続きを読む
不慮の事故で脊椎を損傷し車いす生活を余儀なくされた青年ウィルと介護者の女性ルーの物語。
尊厳死という重いテーマが底に流れているが、ルーを演じるエミリア・クラークの個性が物語をポジティブに躍動させてい>>続きを読む
石田将也と西宮硝子。同級生との隔絶に苦しんできた2人にとって、死は思いの外近くにある。
将也は小学生の時のいじめがもとで、同級生から排除され孤立した学校生活を送っている。硝子は耳が聴こえない。自分の障>>続きを読む
「君の名は。」に続いて鑑賞。
新海監督の個性がよりはっきりと感じられる本作。
「言の葉の庭」。
この概念的なタイトルは何を表しているのだろう。
言の葉とは言葉の言い換えだが、思いや感情、光や雨など外>>続きを読む
クリント・イーストウッド監督の最新作。
今年も新作が観れるというだけで、うれしい。
このところ実話に基づく映画を撮り続けているイーストウッド監督が、実際に起こった航空機事故を描く。
「ハドソン川の>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
李相日監督作品には、いつも途方もない熱量に圧倒されるが、今回の作品には、怒りの熱を包み込むような無垢の強さと優しさも感じられた。
観客は、いきなりうだるような密室で行われた惨殺の現場を目の当たりにす>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
サミュエル・ベンシェトリ監督作品。
寓意に溢れた作品。今年観た「神様メール」も面白かったが、全く違うアプローチで現代のヨーロッパに暮らす人々の孤独と断絶をユーモアの味に包んで描いたこの作品がとても心>>続きを読む
こんなジャンルがあればだが、夏休み冒険映画にまた傑作が生まれた。
ミッシェル・ゴンドリー監督の自伝的要素の色濃い作品。
主人公はパリに住む14歳の中学生ダニエル。友達のテオに誘われ、手作りのログハウ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
エミリオ・エステヴェス監督作品。原題は”The Way"。
中世から続く巡礼の道を辿る旅人たちの姿を描いている。巡礼の道と言っても、この映画は、信仰心の篤い人を中心に配置していない。主人公の初老の>>続きを読む
まさに今沸騰中の映画。平日のレイトショー、映画館は若い人達でほぼ満席。
ちょっと肩身の狭い思いをしつつ新海誠監督の作品初鑑賞。
冒頭、宇宙から隕石が燃えながら墜ちる。花火のような美しさと同時に何かし>>続きを読む
フランソワ・オゾン監督作品。これまで何となく敬遠してきたオゾン作品を初鑑賞。
映画の冒頭、夫婦で毎年恒例のバカンスに出かける様子を映し出す。シャーロット・ランプリング演じる妻のマリーは途中のドライブ>>続きを読む
ハリウッド式コメディの王道。笑いについていけないところもあるが、アメリカ人だったらもっと笑えるだろうな、という残念な感じも含めて、面白く観れた。
それにしても、笑いはアンサンブルなんだと思う。
ゴ>>続きを読む
このレビューはネタバレを含みます
ウニールコント監督の長編第2作。
セリーヌ・サレット演じる理学療法士エリザが主人公。エリザは孤児院に入れられ、その後養父母に育てられる。結婚し子供を産み育てている今も、ずっと、自分は愛されて生まれて>>続きを読む
台湾ホウ・シャオシェン監督の作品。
両親と離れて、祖父の家で夏休みを過ごす兄(トントン)妹(ティンティン)。トントンにとっては小学校最後の夏休み。
兄のトントンにとって台北の親元から離れて田舎の友>>続きを読む
チベット自治区の東端、マルカム県の村人11人(途中で赤ちゃんが誕生し12人に)が聖地ラサ、カイラス山を目指す巡礼の旅に出る。最終目的地のカイラス山まで、チベット自治区を東から西へと横断する2400キロ>>続きを読む
初見は、高校一年の4月。高校のある街の映画館で観たこの作品ですっかり映画の魔法にかかってしまった。(年がばればれですが‥‥)。
ジョージ・ロイ・ヒル監督の洗練された演出、流麗なパート・バカラックの音>>続きを読む
ウニー・ルコントのデビュー作。
9歳の時に父親に棄てられ、孤児院で暮らすことになった少女ジニの心象風景を描いた作品。
大好きな父親が本当に自分を置いて消えてしまったのか、それを受け入れることはジニに>>続きを読む
政治犯の烙印を押された脚本家が、自らの作品の力によって名誉を回復するまでを描く社会ドラマ。
第二次大戦後の冷戦下、アメリカの右傾化の風潮のなかでスケープゴートにされてしまった何人かの映画人の1人が主人>>続きを読む