鈴木ピクさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

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スクリーム6(2023年製作の映画)

3.7

今度の舞台はニューヨークだ!

前作に抱いた「非常に優等生的に作られた続編なのに、『よくできたスクリームらしき何か』」という感想に比べると、本作は「雑な出来だが、ちゃんと『スクリーム6』だった」という
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ザ・カンファレンス(2023年製作の映画)

4.2

スウェーデンのスラッシャー映画。
地元民を騙して新しいモールを建てる誘致に成功した地方自治体の職員たちが親睦を兼ねてチーム育成のため、保養地にしてカンファレンスを始める。
だが謎の殺人鬼がまずは地元従
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キラー・ブック・クラブ(2023年製作の映画)

3.6

映画ネタを小説ネタに変えただけで完全に「俺がやりたかった『スクリーム』」でしかないのだけど、それでも勢いで面白く見れてしまうのが流石スペイン映画。
逆にスクリームはいつまでもシリーズ化するようなものな
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欲望の翼 4Kレストア版(1990年製作の映画)

3.9

初期ウォン・カーワイでも未見の一本を。

吃驚するのはレスリー・チャン演じる男のクズっぷり。
いや完全アウトでは? って感じのクズさを、ともかくキザったらしいが悔しくもかっこいい台詞、クリストファー・
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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.2

若者達のパーティーである危険な儀式に挑み、その破綻が最悪の事態を招いていく。と、いう類型をなぞるようでいてキャラクターが類型を微妙に逸脱していて、ここに固有の哀れで愚かで弱い若者の悲惨がちゃんと捉えら>>続きを読む

ハッピー・デス・デイ(2017年製作の映画)

4.5

再見。
初見時は「ここで終わったらハッピー」というターンで終わらなかったのでどこか気持ちよさが持続しなかったなという印象があったのだけど、最近ジャンル映画をまとめて観る中で、アイデア倒しで終わらず最後
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ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ(2015年製作の映画)

3.8

80年代スプラッター映画の世界に入り、現実世界では死んでしまったママの若き日の姿に再会。
本来の映画では殺されるだが、なんとかママを最後まで生き残る「ファイナル・ガール」にし、ついでにこの世界から脱出
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インシディアス 最後の鍵(2018年製作の映画)

3.6

シリーズ四作目。

むしろここか。三作目を単なる「スピンオフ」にせず、このシリーズはエリーズの一代記なのだと明言するに等しい、三作目と一作目の間の出来事にして、エリーズが人生最大の後悔に向き合う物語。
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インシディアス 序章(2015年製作の映画)

3.2

シリーズ三作目。
であると同時に、ジェームズ・ワンの右腕だったリー・ワネルが監督デビューし、この後に『アップグレード』『透明人間』という傑作を撮るに至るエポック的な作品。

1作目で死亡し、以降は続編
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バナナ・スプリッツ・ホラー(2019年製作の映画)

1.9

実在したアメリカの子供向け番組『バナナ・スプリット』。その番組が今も続いている体にして、打ち切りが決まったその日の公開収録で着ぐるみたちに搭載したAIが暴走、スタッフや観客を襲い始める。。。

存在を
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X エックス(2022年製作の映画)

3.4

タイ・ウエスト初鑑賞。
田舎惨殺ものの殺人鬼役を老夫婦にして、ポルノ映画を撮りに来た若者達の対比で見せるのだけど、若者の一人と殺人老婆がミア・ゴスの一人二役。
ここに批評性を見るべきなのだが、「老い」
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search/#サーチ2(2023年製作の映画)

3.8

ぶっちゃけ『アンフレンデッド』シリーズや『ZOOM』があり、コロナ禍でリモート画面を使った舞台の試みなども沢山起こったので今となってはそこまで目新しくもない「全編PC画面」という映画フォーマット。
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LAMB/ラム(2021年製作の映画)

3.6

映画館でじっとこういう映画見てたら退屈が勝ってしまったかも知れないけど、外は雷雨がひどい日に家でホットコーヒー片手にぬくぬく眺める分にはとても魅力的だったりする。

この丘陵の向こうに何があるか知れな
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ハロウィン THE END(2022年製作の映画)

3.8

1の続編としての新ハロウィン三部作。

「殺人鬼」を再生させた一作目
「殺人鬼」を定義づけた二作目
そして「殺人鬼」を葬る三作目

スラッシャー映画としてはともかく大量に殺してくれる二作目がピークなの
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禁じられた遊び(2023年製作の映画)

2.6

『事故物件』の事故っぷりは実はわざとだったのでは? と思わせる中田秀夫×ジャニーズのとんでも映画第三弾(『それがいる森』未見ですが、ウワサはかねがね)。

生き霊ファーストサマーウイカのファーストサマ
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忌怪島/きかいじま(2023年製作の映画)

2.4

元来「ホラー映画は別に好きじゃない」と言っていた清水崇監督のこだわりは「複雑に絡まったレイヤーの中に観客を閉じ込める」事にあると思っていて、『呪怨』が時空の操作にこだわっていたことも、3Dの導入に積極>>続きを読む

エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

無限にあふれる映画の中でもここまで「何かある」特殊な存在はいないだろうエスターが、紛れ込んだ家で「この家には何かある。。。」とやる、そのアイデアの時点でもう何しててもずっと面白い。お前が一番何かあるん>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.2

面白かったんですけどアマプラ配信版は劇場公開版でカットされてたシーンが入ってるとのことで、正規の評価なのか否か。知るか俺が見た映画が完成形じゃい。俺にとっては『地獄の黙示録』も『グラン・ブルー』も「完>>続きを読む

コンクリート・ユートピア(2021年製作の映画)

4.5

シンプルに各セクションがハイスコアたたき出してくるいつもの韓国映画。
まず「ある日突然起こる、原因不明の世界崩壊」という文字面を絵として完全に描出しきってるゴリ押しの力業が凄い。主人公の過去のトラウマ
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カラオケ行こ!(2024年製作の映画)

4.2

マンガの実写化として非常によく出来てる。
片や綾野剛の魅力(普通に歌上手くないか)と「ヤクザが集う空間」のコント的な面白さ。
片や『リンダ リンダ リンダ』『天然コケッコー』の山下敦弘の手腕まるで衰え
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ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.8

サービス精神で満ちているし脚本も上手く張り巡らせてある良いハリウッドエンタメ。と、いうにはやたら長く感じてしまったのは原作ゲームファンへの目配せが多すぎるのではないかという気がする。知らんけど。どこか>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.6

アメリカ映画でこんな静謐が、真の「夜の暗闇」が許されるんだ。

1820年代アメリカ、開拓時代。
とは言え西部劇で主役を張る勇ましいカウボーイ達ではなく、開拓者の中でも疎んじられている料理人の男が主人
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乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…(2023年製作の映画)

3.4

ともかくシネマスコープサイズの絵作りの良さ。

決して映像の情報量が多い訳ではなく。ただ少しずつ光沢を帯びたような撮影で立体的に浮き上がり、左右の余白、あるいは横長だからこそできた悠長な構図でそこにス
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レッドタートル ある島の物語(2016年製作の映画)

3.7

たった一つの島、増えても最終的に三人きりの登場人物、そして台詞はなし。すべてをただアニメーションで伝える。
その為の技術が過不足なさ過ぎてすごい。
人物の表情も最低限の点と線(『花とアリス殺人事件』は
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ナイト・スリーパーズ ダム爆破計画(2013年製作の映画)

4.2

ケリー・ライカートの映画は移動の映画だという文章になるほどとなった上で観賞してるのですけど、本作は静謐なスリルを孕んだ移動を中盤の主軸に据えているとは言え、主人公は基本的に行き先を持たない。

ただ話
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ウェンディ&ルーシー(2008年製作の映画)

4.4

移動を描く作家としてケリー・ライカートを見てきたけど、本作いよいよ最初から停泊する安寧の地をもたない、移動が常態の漂流する女性を主役に描く。

冒頭では森の中で彼女ウェンディが愛犬ルーシーと過ごす束の
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

人工的な暖色のトーンの中、無表情の男女が惹かれ合っていく過程を淡々と、孤独やみじめさへの共感とユーモアの余地を忘れずに丁寧に構築していく。
移民三部作以前の内容をセルフパロディにしたようでいて、老境超
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劇場版 ポールプリンセス!!(2023年製作の映画)

2.8

見せ場は確かにすごい。

最初はちょっと不自然にさえ思える3DCGのポールダンスが、けれど実際にポールダンサーの動きをモデリングしているだろう実感として伝わってきて、「あぁ人の動きってこんな事もできる
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ハンガー・ゲーム0(2023年製作の映画)

3.7

ブロック分けされた敗戦国の子供たちが殺し合いに興じさせられ、おかしなシステムだとは思いつつも戦勝国の子供たちは彼らの「教育者」(「メンター」は訳さず「メンター」でよくないか)としてペアになり殺し合い開>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

4.8

ツイートの写しで失礼。大傑作。

例えば動物、あるいは子役たちをメインにした優れた実写映画への賛辞で下駄をはかせたくなるのはそこに一段上の撮影の難度が生じるからで、その感覚は本来アニメには適用されない
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屋根裏のラジャー(2023年製作の映画)

4.4

試写で観賞 こんなに埋もれるならもっとプッシュすべきだった

そも予備知識ゼロだった為もあり、イマジナリーの存在を提示していく序盤、まだこれが教条主義に陥りあくまで「幼少期の麻疹」で終わらせるのか否か
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青春ブタ野郎はランドセルガールの夢を見ない(2023年製作の映画)

4.2

青ブタ高校生編完結。

原恵一かと見まごうほぼフィックス寄りの静謐な画面で汎用ラノベのセリフ回しをしながら、描かれる内容は若者、というか子供たちに訪れる不条理で抗えない心理的負担の数々。

最後は主人
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.3

ケリー・ライカートの初期作。

あらすじは確かに「郊外で暮らす鬱屈した主婦コージーの家出」なのだけど、プロット上起こることは「紛失した拳銃」の行方を追うサスペンスであり、しかし『オールド・ジョイ』で顕
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コマンドー(1985年製作の映画)

3.6

Twitter眺めてると完全に見たことある気になってるけど実は見た事ない映画ってあるじゃないですか。

と言っても幾つも思い浮かぶ訳ではなく、自分にとっては圧倒的に本作がそれ。
吹き替え版入りが売りの
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ほつれる(2023年製作の映画)

3.8

令和の日本でこの綺麗な生活をしている奴らはなんなんだ!

という憤りは脇に置いて。(まぁ「あのこは貴族」だから)
過剰に綺麗に統御された画面の中で、人妻・門脇麦が人に誇れることではない秘密の逢瀬の中、
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オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.2

ケリー・ライカート作品初鑑賞

子供が生まれそうなアラサーの男は、不機嫌な妻に負い目を感じつつも古い親友と二人きりのドライブに出る
多少は迷うがさしたる困難もなく二人は美しい山中で無人の露天風呂を浴び
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