netfilmsさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

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愛してる!(2022年製作の映画)

3.9

 失礼を承知で申し上げれば、主演の川瀬知佐子さんの演技の度肝抜くようなどん臭さは、2022年の日本映画の中でも殆どダントツで一番ではないか?ひょっとしてここ10年の日本映画を振り返っても、彼女ほどこの>>続きを読む

“それ”がいる森(2022年製作の映画)

3.5

 「ある日、森の中、〇〇さんに出会った。」という今作の触れ込みが童謡の「森のくまさん」の歌詞をミスリードさせるものだということは誰でもわかるわけだが、いやはや、これは松竹もJホラーの巨匠・中田秀夫に頼>>続きを読む

アイ・アム まきもと(2022年製作の映画)

4.0

 予告編をぼんやりとしか把握せず、まったく空気が読めず、人の話を聞かず、少し得体の知れない風変わりな役柄を阿部サダヲが嬉々として演じたサラリーマン映画かと思ったら、少し違う展開だった。というかウベルト>>続きを読む

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)

3.7

 ある日、たった1人のダチのマリコ(奈緒)が亡くなった。マンションからの転落死だった。ブラック企業に勤めながら鬱屈した日々を送るOLのシイノトモヨ(永野芽郁)は親友の死に茫然とした。なんでも語り合えて>>続きを読む

ブロンド(2022年製作の映画)

3.6

 スターの半生を映画化するのはそれは難儀なもので、どこをどう切り取るかによって観客の感じ方はまったく変わってしまう。今作はジョイス・C・オーツの伝記作品を基に、20世紀のセックス・シンボルであるマリリ>>続きを読む

バビ・ヤール(2021年製作の映画)

4.2

 イメフォでうっかり11時の回を買ってしまい、観た後坂を下りて、明治通りの路地裏の定食屋で遅めの昼食を取ろうという算段だったのだが、いやはやこれはあまりにも衝撃的な映像の数々に絶句し、しばし答えが出て>>続きを読む

親愛なる日記 レストア版(1993年製作の映画)

4.1

 8月ローマ。ベスパに乗って、ローマ市街を闊歩するナンニ・モレッティの姿。蛇行運転を繰り返す彼の足取りは頼りないものの、対向車線から向かって来る車はほぼいない状態だ。街はヴァカンスの影響で閑散としてい>>続きを読む

渇きと偽り(2020年製作の映画)

3.5

 メルボルンの連邦警察官として働くアーロン・フォーク(エリック・バナ)の元にギョッとするような報せが届く。それはもう20数年会っていない旧友ルーク・ハドラー(マーティン・ディングル・ウォール)の突然の>>続きを読む

犬も食わねどチャーリーは笑う(2022年製作の映画)

3.7

 まぁ元来、男と女とは脳の構造が決定的に違っており、恐ろしいことに女性は些細な仕草や癖すらも正確に把握しているのだが、男はそんな些細な機微などまったく考えもしない。どっちが良い悪いではなく、女性側には>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

4.3

 深い悲しみに包まれた物語の発端は愛する祖母の死で始まる。大好きだった祖母と母親(ニナ・ミュリス)が幼い頃を過ごした祖母の家、8歳のネリー(ジョセフィーヌ・サンス)は両親と森の中にある家を訪れ、祖母の>>続きを読む

LAMB/ラム(2021年製作の映画)

4.2

 夫婦の生活は朝早くにスタートする。静かで荒涼とした山々を背にする羊農場では、羊たちが屋根のある羊舎に所狭しと入れられている。もこもことした毛並みはいかにも温かそうだが、アイスランドの冬場は寒く、それ>>続きを読む

(2022年製作の映画)

3.7

 街角で無防備なおじさんの写真を撮っては、自作のノートに貼り付け、コレクションするのが趣味のちょっと変わったさわ子(福永朱梨)を主人公とする物語は、特定の相手と真剣に付き合おうとしない現代女性の恋愛模>>続きを読む

3つの鍵(2021年製作の映画)

4.0

 イタリアの高級住宅街に在る一つのマンション。物語は夜の静寂の中にひっそりと佇むこのマンションを象徴する様な娘の懐妊と放蕩息子の帰還(交通事故)とで始まる。だが2つの事件は何かしらの因果を交換するもの>>続きを読む

よだかの片想い(2022年製作の映画)

3.5

 理系の大学に通う大学院生の前田アイコ(松井玲奈)には大きなコンプレックスがあった。彼女の顔の左側には大きなアザがあるのだ。幼い頃、そのアザをからかわれたことで彼女の心には大きな壁が形成される。しかし>>続きを読む

クリーン ある殺し屋の献身(2021年製作の映画)

3.7

 ゴミ回収の為に深夜の街を徘徊するドライバーの男に名前はない。彼は街の人から「クリーン」(エイドリアン・ブロディ)というあだ名で呼ばれている。彼の姿はさながら夜の彷徨者で、その深い孤独を抱えた寂しげな>>続きを読む

沈黙のパレード(2022年製作の映画)

3.6

 『容疑者xの献身』、『真夏の方程式』に続き、およそ9年ぶりの復活となるのだから感慨もひとしおだ。シャボン玉を操りながら子供たちを魅了する変人だが天才的頭脳を持つ物理学者・湯川学(福山雅治)は架空の街>>続きを読む

ヘルドッグス(2022年製作の映画)

3.9

 祭りの後の寂しさ的な場面は『沈黙のパレード』でも感じ、私はあの事件を真っ先に連想したのだが、立て続けに見た映画であの事件が完全な形でオマージュされるとは思いもしなかった。あの陰惨な八王子スーパー強盗>>続きを読む

川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

4.2

 北陸かどこかの寂れた町に1人の男・山田(松山ケンイチ)がやって来る。その姿はどこか孤独で物悲しい。心なしか背中も丸まっている。塩辛工場に勤め、工場長(緒方直人)に紹介された安アパート「ハイツムコリッ>>続きを読む

オルガの翼(2021年製作の映画)

4.2

 静寂の中で少女は、選手権と同じような緊張感で鉄棒に身を興じる。かと思えば少女の躍動する肉体は男たちをもぶっちぎり一等賞をもぎ取る。もの凄いポテンシャルである。2013年、15歳の少女オルガ(アナスタ>>続きを読む

サバカン SABAKAN(2022年製作の映画)

3.9

 小学5年生の久田くん(番家一路)は父親(竹原ピストル)の影響で斉藤由貴とキン消しをこよなく愛している。夫婦は口喧嘩が絶えないものの、母ちゃん(尾野真千子)の慈悲深い愛は父親や兄弟をも優しく包み込む。>>続きを読む

勝手に逃げろ/人生(1980年製作の映画)

4.4

 私の携帯にゴダールの死の報せが届いたのが夕方の17時を回ったくらいで、絶句した。いつか来ると思っていたものがとうとうやって来た。やって来てしまったと思いながらジムでひとしきり汗を流しながら、ゴダール>>続きを読む

ビースト(2022年製作の映画)

3.0

 遺伝子操作で現代に甦った恐竜が跋扈し、人間たちを恐怖に陥れる『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』が大ヒットを記録している夏休み映画の期間には間に合わなかったものの、恐竜でバズったんなら百獣の王>>続きを読む

グッバイ・クルエル・ワールド(2022年製作の映画)

3.5

 ヤクザの金に絶対に手を付けてはならないとは古今東西あらゆるクライム・アクションを観ての率直な感想だが、はした金に目が眩んだ老若男女たちはその金の出所が何処だろうと、とにかく掻っ攫うだけだ。眠らない街>>続きを読む

百花(2022年製作の映画)

3.4

 住宅街のすっかり暗くなった時刻に葛西泉(菅田将暉)は必死の形相で何かを探し歩く。坂が印象的なこの地方都市では徘徊老人を探す側にとっては死角が多く、非常に危険な地形の街だ。泉の不安な気持ちなど知る由も>>続きを読む

LOVE LIFE(2022年製作の映画)

3.6

 大好きな矢野顕子の歌は本当に素晴らしい隠れた名曲で、この曲をフックに用いた深田晃司の心眼はやはり只者ではないと思う。とある集合住宅の上階では、簡素な部屋に精一杯の「おめでとう」を込める。その折り紙で>>続きを読む

ブエノスアイレス 4Kレストア版(1997年製作の映画)

4.1

 会社の金を横領し、「ここではないどこか」を夢見た若い2人は、地球儀で香港の真裏にあるアルゼンチンの首都ブエノスアイレスへと向かう。到着した早々、イグアスの滝を見に行こうと話し合ったウィン(レスリー・>>続きを読む

地下室のヘンな穴(2022年製作の映画)

3.9

 すっかり草臥れた様子の中年夫婦が終の棲家を探そうと、モダン建築の内覧会へやって来る。これだけでも最高に面白い切り口だが、案内役の不動産業者は購入すべきかどうか迷っている夫婦に、とっておきの「秘密」を>>続きを読む

ワイルド・スタイル(1982年製作の映画)

3.9

 ヒップホップの4大要素とは?と問われたら、最近の若者ならきっと「韻、フロー、リズムキープ、アクセント」などと本気で答える人もいるかもしれない(それもある意味で正しい)。そのくらい近年のHIP HOP>>続きを読む

7月の物語(2017年製作の映画)

4.0

 7月のある日、廊下の壁を蹴っている女の子にもう1人の女性が詰め寄る。会社の同僚同士のミレナとリュシーは大して仲良くない2人だったが、ここではないどこかを夢見ながらパリ郊外セルジー=ポントワーズのレジ>>続きを読む

オカルトの森へようこそ THE MOVIE(2022年製作の映画)

4.0

 黒石光司もとい白石晃士監督が、お馴染みの白石(今回は堀田真由)を連れて黒石映画のファンだと名乗る三好麻里亜(筧美和子)の元を訪ねる。前段となる短編では登場人物が『オカルティズム』と言う監督の初期の傑>>続きを読む

この子は邪悪(2022年製作の映画)

3.8

 親子4人はメリーゴーラウンドに乗りながら幸せなひと時を過ごすのだが次の瞬間、悲劇が襲う。母親の繭子は意識が醒めないまま植物人間となり、精神科医の父親(玉木宏)は神経に損傷を負った。愛する妹も顔に火傷>>続きを読む

さかなのこ(2022年製作の映画)

3.9

 あの緩い予告編を散々みせられ続けた挙句、私はてっきりのんちゃんが性別の違う「さかなクン」の半生を演じるのかと思っていたが、いやはや微妙に違う展開にびっくり。お魚が大好きな小学生“ミー坊”は、寝ても覚>>続きを読む

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)

3.7

 仕事は絶対に「誰にでも出来る簡単なお仕事です」と書いてあれば、それは地雷だからスルーした方が良い。だが久しぶりに仕事復帰した殺し屋レディバグ(ブラッド・ピット)は、依頼主マリアからの電話指令を簡単に>>続きを読む

激怒(2022年製作の映画)

3.3

 中年の刑事・深間(川瀬陽太)は今日も街の治安を守ろうと孤軍奮闘していた。刑事はとにかく歩くのが仕事だと言わんばかりに彼の姿は街の至る所にある。かつては暴力団を一掃し、相棒だった女性刑事は署長へと昇進>>続きを読む

スワンソング(2021年製作の映画)

3.9

 オハイオ州の小さな町サンダスキーの老人ホーム。パトリック・ピッツェンバーガー(ウド・キアー)はここでただただ時間を浪費しながら日々を過ごす。食堂の紙ナプキンを持ち帰り、丁寧に折り畳んでは、禁止されて>>続きを読む

やさしい人(2013年製作の映画)

4.2

 久方ぶりに男は実家へと戻って来た。殺伐としたパリの喧騒を離れ、間もなく雪の季節を迎える一歩手前だ。名の知れた歌手である彼は自室でギターをつま弾きながら、SSWのように歌を歌い録音する。その丸まった背>>続きを読む