netfilmsさんの映画レビュー・感想・評価 - 25ページ目

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ゴヤの名画と優しい泥棒(2020年製作の映画)

3.7

 ロンドン・ナショナル・ギャラリーで起きたゴヤの名画「ウェリントン公爵」盗難事件の実話を元にした物語は、198年の歴史と伝統を持つ美術館の厳重な警備体制が1人の老人によって破られたという事実がまず痛快>>続きを読む

選ばなかったみち(2020年製作の映画)

4.0

 ベッドの脇にある電話はけたたましく鳴り響くが男は目をつぶったまま、まったく反応しようとしない。彼の暮らす部屋の窓は半開きで、そこからほとんど距離がないところを列車がとんでもない音を立てて通り過ぎるか>>続きを読む

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

4.2

 壊され、消え行く団地を舞台にした時点で映画の勝利はほぼ確実で、これが処女作となるファニー・リアタールとジェレミー・トルイユの2人はそこに「ボーイ・ミーツ・ガール」な青春譚を加えることで、かけがえのな>>続きを読む

ナイル殺人事件(2022年製作の映画)

4.0

 「人は愛の為に殺人を犯す」というポワロの言葉は今作のストーリー・ラインにこそ相応しい。流石に予想の斜め上行く冒頭の場面には面食らったものの、ポワロの愛に満ち溢れた美しい名場面であり、この頃の眼力が今>>続きを読む

ノッティングヒルの恋人(1999年製作の映画)

3.6

 資金繰りのことで頭がいっぱいの旅行本専門の書店主の元に、ある日突然1人の女性客が現れる。彼女の名はアナ(ジュリア・ロバーツ)と言い、ハリウッドで押しも押されぬ大スターだった。トルコへの旅行本を買って>>続きを読む

ドリームプラン(2021年製作の映画)

4.0

 姉妹で世界の四大大会を何と30度も制覇し、オリンピックでは5つの金メダルを獲得したプロ・テニス・プレーヤーであるビーナス&セリーナ・ウィリアムズに型破りな父親がいたことは知っていたが、まさかこんなに>>続きを読む

我らの罪を赦したまえ(2022年製作の映画)

3.6

 教室で先生の言葉を聞きながら、ノートにメモする少年の姿は一見、他のどの健常者の子供とも違わないのだが、次の真上からのショットを見ると彼が障害者だとわかるのだ。右腕にハンデを抱えながらも少年は先生の言>>続きを読む

おとなの恋は、まわり道(2018年製作の映画)

3.4

 これはあれだ、アメリカ版の『結婚できない男』だ。阿部寛がキアヌ・リーブスで、夏川結衣がウィノナ・ライダーだ。あるいはシニカルで苦み走った2人の『ビフォア・サンライズ 恋人までの距離』でもある。空港で>>続きを読む

オペレーション・ミンスミート ーナチを欺いた死体-(2021年製作の映画)

3.4

 偽装文書を持たせた死体を海に流す。こんな奇策が実際にあったとは俄かには信じがたい。第二次世界大戦が激化する1943年、連合軍の中心的存在であるイギリスのチャーチル首相(サイモン・ラッセル・ビール)は>>続きを読む

悪魔のいけにえ レザーフェイス・リターンズ(2022年製作の映画)

3.8

 すっかりゴースト・タウンと化したテキサスの街並みを新たにリノベーションしようと若者たちが現れる。近年ではニア・ダコスタの『キャンディマン』で見られたのとほぼ同様なモチーフである。お馴染みのガソリン・>>続きを読む

アンチャーテッド(2022年製作の映画)

3.8

 ニューヨークの夜の街でバーテンダーを務めるネイサン・ドレイク(トム・ホランド)はうだつの上がらぬ毎日に飽き飽きしていたが、そんな折、ビクター・“サリー”・サリバン(マーク・ウォールバーグ)という男に>>続きを読む

ザ・ユナイテッド・ステイツvs.ビリー・ホリデイ(2021年製作の映画)

3.7

 チャーリー・パーカー、クリフォード・ブラウン、リー・モーガン、レム・ウィンチェスターなどJAZZの歴史には幾つもの非業の死が記録されているが、中でも悲劇的な死として真っ先に挙がるのはビリー・ホリデイ>>続きを読む

嘘喰い(2022年製作の映画)

3.4

 キャッチコピーには「嘘を見破れなければ即死」と書かれているがそれ程大袈裟なものではなく、「嘘」と書かれたことのほとんどが、相手を出し抜きゲームに勝つためのトリックみたいなものだ。天才ギャンブラー“嘘>>続きを読む

ちょっと思い出しただけ(2022年製作の映画)

4.3

 若い男が深夜に部屋で酒盛りをしながら、VHSでジム・ジャームッシュの『ナイト・オン・ザ・プラネット』を観ているという何とも意味ありげな場面が印象的なこの映画は、溢れる『ナイト・オン・ザ・プラネット』>>続きを読む

HOMESTAY(2022年製作の映画)

3.6

 病院の治療室に運ばれて来た昏睡状態の魂に管理人と名乗る謎の人物が静かに話しかける。シロは同時期に死んだ高校生・小林真(長尾謙杜)の身体にホームステイし、真が死んだ原因を100日以内に突き止めろという>>続きを読む

クール・ランニング(1993年製作の映画)

3.6

 常夏の南国生まれのジャマイカ人たちが、一度も観たことがない雪の降るカナダでボブスレーでオリンピックに挑戦する。今作は無謀とも言える挑戦をした冒険者たちの抱腹絶倒のコメディ映画だ。4人のうち3人は、ジ>>続きを読む

ウエスト・サイド・ストーリー(2021年製作の映画)

4.1

 いやはや、もの凄いミュージカルを150分堪能した。この物語の普遍性はそれこそ『ロミオとジュリエット』を下敷きにしていることからもわかるのだが、スピルバーグは時代性も主要人物のキャラクターもほとんど手>>続きを読む

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

4.3

 俯瞰で据えられたニューヨークの街は60年代にして高層ビルが立ち並び、交通網も整備されていてまさに圧巻な世界最高の街を思わせるが、空中から路上に目をやると、雨に濡れたコンクリートや壁の落書きが印象的な>>続きを読む

大統領の執事の涙(2013年製作の映画)

3.9

 昼も夜もなく、農園でこき使われた幼いセシル・ゲインズは両親と共に綿花畑で奴隷として働いていた。ここでは農場主が絶対的な存在で、欲望のままに母親を納屋に連れて行き犯すのだ。父親はそんな状況でも黙って見>>続きを読む

サイレンサー(2005年製作の映画)

3.5

 末期癌に冒された殺し屋のローズ(ヘレン・ミレン)は、フィラデルフィアの見晴らしの良い部屋で、今日も苦しい日々を送っていた。彼女はヘネシーとモルヒネが手放せない危険な生活を送っているが、なかなか眠りに>>続きを読む

インシテミル 7日間のデス・ゲーム(2010年製作の映画)

3.4

 金が底を尽き、そろそろ何か仕事でも始めようかと思った結城(藤原竜也)は、コンビニで求人雑誌を座り読みしている最中にOLの祥子(綾瀬はるか)から声を掛けられる。彼女はびっくりするくらいの美人で、おまけ>>続きを読む

355(2022年製作の映画)

3.4

 主演を務めるジェスカ・チャステインたっての肝いりで、女性版の『007』のような作品を作りたいという志はわかるのだが、そもそもスパイ組織の設定自体がガバガバで、世界の美女大集合&アクション博覧会にしか>>続きを読む

ゴーストバスターズ/アフターライフ(2021年製作の映画)

3.6

 オリジナルの『ゴーストバスターズ』は大都会ニューヨークで幽霊退治をする若者たちのコメディだったが今作は舞台を大都会ニューヨークから中西部のオンボロ屋敷に移す。そこはかつて家族のおじいさんが住んでいた>>続きを読む

大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

2.5

 いや~これは何と形容して良いかわからないほど酷い、酷過ぎる。いちおう輪郭はクッキリ描かれ、縁取りだけはちゃん描いているように見えるが中身がスッカスカで、表層的で大事なことはほぼ何も言っていないに等し>>続きを読む

マイレージ、マイライフ(2009年製作の映画)

4.1

 ライアン・ビンガムは人事コンサルタント会社で働いており、非情な態度でその日デスクに座ると、初めて会った人に対しクビを言い渡すのだ。労働者たちはまさか自分がその日、会社からこのような仕打ちを受けるとは>>続きを読む

JUNO/ジュノ(2007年製作の映画)

3.8

 ある晴れた秋の日、ジュノ(エレン・ペイジ)は思いもかけぬ事態に焦っていた。彼女は同級生のポーリー(マイケル・セラ)の子を身ごもったのだ。妊娠検査薬は3度目も同じ反応を示し、いよいよ突き付けられた現実>>続きを読む

前科者(2022年製作の映画)

3.4

 コンビニのアルバイトと掛け持ちで保護司の仕事をこなす阿川佳代(有村架純)は、今日も犯罪者たちの更生を不器用ながら見守る。3年目になる保護司の仕事で出会った人々は数知れず、ようやく元受刑者たちにも頼ら>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

3.8

 港町で男は今日も海に出て魚が来るのをただひたすら待つ日々を送る。覚えの悪い弟子の野木(藤原季節)を1人連れて漁に出る男の口をついて出るのは罵声ばかりだ。添田充(古田新太)は誰からも恐れられる海の男だ>>続きを読む

バイオハザード:ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ(2021年製作の映画)

3.3

 孤児院で育ったクレアは夜毎、恐ろしいトラウマに悩まされる。たった1人の兄として彼女を見守るクリスは彼女を心配させまいと必死になだめるのだ。『バイオハザード』シリーズのリブートとなる今作はまず、ゲーム>>続きを読む

ノイズ(2022年製作の映画)

3.8

 愛知県に位置する風光明媚な島は、人通りはおろかすれ違う車もないようなのどかな田舎町だが、あり得ないスピードを立て、場違いな車が疾走する様子を空撮を交えながらショットに収める。これ以上ない不穏な始まり>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.9

  編集部のビルを真正面から見据えた断面図のようなキラキラとしたドールハウス。監督の映画に憧れて賑やかな才能が終結した「フレンチ・ディスパッチ」という雑誌の試みそのものが、ニューヨーカーたちのヨーロッ>>続きを読む

ナミヤ雑貨店の奇蹟(2017年製作の映画)

3.7

 夜の帳の中で少年3人組は夜な夜な盗みを繰り返す。オレンジ色の光を放つネオン、夜の乾いた空気は全速力で逃げ出す彼らの足音を声高らかに伝えるのだ。やがて盗みに入った古い雑貨店の奥で、敦也(山田涼介)、翔>>続きを読む

ストロボ・エッジ(2015年製作の映画)

2.8

 朝の光が差し込む列車の中、少女は隣の車両に居る男の子の様子をつぶさに見つめる。男は老婆に席を譲るとドアの前に立つのだが、その反対側にちゃっかり少女は立ち、男と2言3事、言葉を交わすのだ。高校生の仁菜>>続きを読む

さよなら歌舞伎町(2015年製作の映画)

3.7

 朝の光が差し込む高台の部屋では、女がベッドの上でギターをつま弾きながら歌っていた。その姿をカメラはベランダからステディカムでゆっくりと彼女の歌を盗み聞くかのように追って行くのだ。だが女の歌詞の回転ベ>>続きを読む

海底47m(2017年製作の映画)

3.4

 失恋の痛手を癒そうと仲の良い姉妹は日常を忘れるために避暑地を訪れる。メキシコのリゾート地の開放的な空気は、本国の嫌な男たちを忘れるには良い雰囲気だが、リサはまだ失恋のキズを引きづっている。「君は退屈>>続きを読む

ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.3

 大手自動車会社のリコール担当の『僕』(エドワード・ノートン)は平凡な会社員で、高級コンドミニアムに暮らし、自宅にはイケアのデザイン家具、職人手作りの食器、カルバン・クラインやアルマーニの高級ブランド>>続きを読む