netfilmsさんの映画レビュー・感想・評価 - 27ページ目

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The Hand of God(2021年製作の映画)

4.2

 1980年代のナポリ、マラドーナに憧れる少年ファビエット・スキーザ(フィリッポ・スコッティ)はイタリアの典型的な大家族のもとで育つが、将来に対する漠然とした不安を抱えている。ファビエットの日常は常に>>続きを読む

パワー・オブ・ザ・ドッグ(2021年製作の映画)

4.1

 兄は、寡黙なのんびり屋で煮え切らない弟をいつも鼓舞し続けて来た。だがその鼓舞の仕方はまるで馬の手綱を締めるようなやや強引で手荒なやり口だった。1920年代のモンタナ州、2つ年の離れた兄フィル・バーバ>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.4

 スパイク・リーの『ブラック・クランズマン』のラストには物語とはまったく関係ない当時のドナルド・トランプ政権の欺瞞を暴き立てるような映像が矢継ぎ早にモンタージュされ、個人的には何もそこまでと思ったのも>>続きを読む

偶然と想像(2021年製作の映画)

4.3

 40分ほどの短編は3つ並んだところで初めて大きな意味を持つ。濱口竜介の作品にしては珍しいほど短く簡潔に紡がれた物語はそれでいて1話目「魔法」はどう考えてみても最初に置かねばならない。3本の物語は全て>>続きを読む

マトリックス レザレクションズ(2021年製作の映画)

3.4

 オープニング・シークエンスからまさかのあの場面の再来でスクリーンの前で歓喜した。キャストは変われど同じような究極にミニマムなフォーメーションをラナ・ウォシャウスキーはしっかり守る。そしてあの男が再び>>続きを読む

マトリックス レボリューションズ(2003年製作の映画)

3.4

 精神の目覚めを描いた『マトリックス』は物語の全ての始まりであり、愛するトリニティの最期の悪夢に縛られた『マトリックス リローデッド』を経て、今作でネオはベインと共に意識不明に陥っている。彼の脳波はプ>>続きを読む

アニマトリックス(2003年製作の映画)

4.0

 『マトリックス』3部作をモチーフに作られた9つの短編アニメーションを集めたオムニバス作品で、多分に二次創作的な意味合いを含みながらも押し並べてレベルが高い。偉大なる3部作のモチーフとしてウォシャウス>>続きを読む

マトリックス リローデッド(2003年製作の映画)

4.2

 前作でネオ(キアヌ・リーブス)は精神の目覚めを達成した。そのことで彼は人間世界の在り様が全て捏造された嘘だと教え諭され、次なる高みへと昇るのだ。今作はその「気付き」の後の世界を描く。メンターとして彼>>続きを読む

マトリックス(1999年製作の映画)

4.2

 男は昼と夜とで別の顔を持ち、パソコンの画面の前で卒倒するように眠る。その顔は青白く生気のない様子で、垂れ流される電磁波の中で男はいつ果てるとも知れない夢の中をまどろみ続けるのだけど、その時急にコンピ>>続きを読む

浅草キッド(2021年製作の映画)

3.7

 映画はどうでも良い人のどうでも良い日常は描いても、どうでも良い人生など描かない。そんなものは観る側にとってもどうでも良いからだ。こういった半生を振り返る作品は決まって成功者の物語だ。しかし敗者の物語>>続きを読む

あなたの番です 劇場版(2021年製作の映画)

1.4

 『ラストナイト・イン・ソーホー』の興奮冷めやらぬ中、1本でやめて素直に帰れば良かったのだけど、空き時間5分でスタートする今作を観てしまったのは痛恨の極みで、1日経った今も悔やまれる。思い返せばいつも>>続きを読む

ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.2

 少女は未来に夢を馳せ、田舎から遠く離れたロンドンに降り立つ。過保護なおばあちゃんはそんな孫娘の未来を案じるが、彼女は一点の曇りもない晴れやかな表情でおばあちゃんをひとまず安心させるのだ。だが年齢を重>>続きを読む

ジュピター(2014年製作の映画)

3.3

 天文学者の父親と数学者の母親を持つジュピター(ミラ・クニス)は、彼女がまだ母親のお腹にいる頃に父親を暗殺され、父の顔を知らない。彼女の人生は判で押したような生活の繰り返しでしかなかった。朝は4時台に>>続きを読む

クラウド アトラス(2012年製作の映画)

3.5

  いや~久しぶりに観直してみたがそれにしても長い。あまりにも長過ぎる。19世紀から2300年代の未来まで、6つの時空で繰り広げられる挿話が入れ子構造で描かれるのだが、一つ一つの挿話があまりにも密で入>>続きを読む

ニンジャ・アサシン(2009年製作の映画)

3.5

 忍者とは神出鬼没で、時代を越えて現代に現れる。光の当たらない影の中でひっそりと息をしながら、彼らは黙々と暗殺の世界に生きる。ユーロポールの科学捜査官ミカ・コレッティ(ナオミ・ハリス)は、世界中で頻発>>続きを読む

アップグレード(2018年製作の映画)

4.2

 グレイ・トレイス(ローガン・マーシャル=グリーン)は自動車の整備工で、ガレージで車をいじることだけが唯一の楽しみだ。半開きで外の世界と隔絶された仕事場は、さながら男の隠れ家にも映る。近未来にも関わら>>続きを読む

ショップリフターズ・オブ・ザ・ワールド(2021年製作の映画)

3.0

 ザ・スミスの名曲の数々がスクリーンで聴けると聞いて観に行ったがう~んこれは何だろう。確かにスミスの名曲は20曲近く流れるし、モリッシーやジョニー・マーの動画も途中に含まれるのだが、スミスとは何の関係>>続きを読む

パーフェクト・ケア(2020年製作の映画)

3.5

 法定後見人のマーラ(ロザムンド・パイク)はその場に相応しくない格好で、行き場のない独居老人たちを鮮やかな手口で老人ホームへと送る。その光景は普通に考えれば人助けなのだけど、親族の同意を得ていないから>>続きを読む

スピード・レーサー(2008年製作の映画)

3.8

 勉強がからっきし苦手で、幼い頃からレースのことしか頭になかったスピード・レーサー(エミール・ハーシュ)。父はレーシングカーデザイナー、兄は天才レーサーというモーター・スポーツ一家に育った少年は半ばド>>続きを読む

インベージョン(2007年製作の映画)

3.8

 宇宙から帰還するはずだったスペースシャトルのボディは突然大爆発を引き起こし、アメリカの各地に散らばるという原因不明の墜落事故が発生する。シングル・マザーのキャロル・ベネル(ニコール・キッドマン)は一>>続きを読む

Vフォー・ヴェンデッタ(2005年製作の映画)

3.8

 イヴィー・ハモンド(ナタリー・ポートマン)は鏡に向かって化粧を始める。傍らではTV受像機から国民に向けて嘘か真かわからないようなニュースを聞きながら。彼女は孤独で恋人はおろか、頼れる友人すらもいない>>続きを読む

バウンド(1996年製作の映画)

3.5

 女泥棒コーキーは5年ぶりに刑務所から出所し、この地へやって来る。だが彼女には迎えはおろか、大切な人もいない孤独な一匹狼だ。男ならまずは出所祝いに景気付けに飯か異性となるのだが、彼女は食うためにマフィ>>続きを読む

ツリーから離れて(2021年製作の映画)

3.8

 ディズニー映画は作品の舞台・背景は違えども、これぞディズニーとしか言いようがない作品を量産し続ける。その一つ重要なモチーフは親と子のせめぎ合いである。弱肉強食の世界で、親は子供を出来るだけ安全な世界>>続きを読む

ミラベルと魔法だらけの家(2021年製作の映画)

3.5

 今回の舞台は南米コロンビアの奥地にある魔法の力を持つ自然豊かな由緒正しき不思議な家だ。ここに暮らすマドリガル家はおばあちゃんの頃から代々、神様から子供たちに魔法のギフトがプレゼントされる。家族はいと>>続きを読む

ディア・エヴァン・ハンセン(2021年製作の映画)

4.1

 これ程、予告編と映画本編とが乖離している映画も早々ないだろう。ミュージカル版の存在も知らなかったので、正直言ってまったく期待していなかったのだけど、予測不能な展開には心底唖然とさせられた。だが東宝東>>続きを読む

暗殺者(1995年製作の映画)

3.6

 プロの殺し屋であるロバート・ラス(シルヴェスター・スタローン)は依頼人の願いを忠実に実行する非情な殺し屋だった。彼は時に親友のニコライ(アナトリー・ダヴィドフ)をも殺めてしまうのだ。しかしながら彼は>>続きを読む

ブルーノート・レコード ジャズを超えて(2018年製作の映画)

3.8

 ブルー・ノートの音楽は優れた工業製品や共通する認識に基づく優れたプロダクト・デザインのようであり、それでいて各人の集合知に基づく芸術だった。それはナチスの迫害から逃れ、アメリカにやって来た2人、アル>>続きを読む

ボディガード(1992年製作の映画)

3.8

 腕は確かだが誰にも雇われず、自由気ままな暮らしを続ける個人のボディガード業のフランク・ファーマー(ケビン・コスナー)は一度は首を横に振ったものの渋々、華やかなセレブの住む大豪邸を訪れる。そこで人気歌>>続きを読む

私がモーガンと呼んだ男/私が殺したリー・モーガン ジャズ史に刻まれた一夜の悲劇の真実(2016年製作の映画)

3.8

 1972年2月19日、その日のニューヨークはまだ春の訪れも知らず、凍てつくような寒さだった。革靴で降り積もった雪を踏みしめながら、その日も背中を丸め、ミュージシャンを従えながらいそいそと温かいライブ>>続きを読む

トップガン(1986年製作の映画)

3.8

 日本シリーズ第一戦。ヤクルト・スワローズのサヨナラ負けに打ちひしがれていたら『トップ・ガン』の文字が放り込まれて正直言って4割ほどやる気を取り戻した。続編新作の劇場公開も残念ながら来年5月に延期にな>>続きを読む

ずっと独身でいるつもり?(2021年製作の映画)

2.2

 とかくこの世は生きにくい。21世紀の日本、および都会で生きる女性たちにはそれ相応のストレスがあることを覚悟しつつも、四苦八苦する彼女たちの生き方にはやはりため息しか出ない。職場でのストレス、いつも顔>>続きを読む

サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

4.3

 ドラマーのルーベン(リズ・アーメッド)はドラム・セットの前に座り、殺気立った様子で静寂の中、歌い手の合図を待つ。彼の大きな黒い瞳は世界の在り様を見つめるのだが、明らかに何かに苛立つ様子だ。とにかく彼>>続きを読む

レッド・ノーティス(2021年製作の映画)

3.7

 重大犯罪者を追うFBIのトップ捜査官ジョン・ハートリー(ドウェイン・ジョンソン)は、大規模な美術品泥棒計画を仕かける世界最高の詐欺師ノーラン・ブース(ライアン・レイノルズ)と凄腕の大泥棒ビショップ(>>続きを読む

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

3.8

 美大志望の17歳のマーク(カイル・アレン)は今日という1日に囚われている。ベッドに入り眠りにつくと、翌朝には終わったはずの昨日がまた姿を現すのだ。マークは映画の冒頭から既に時の迷宮に囚われ、それから>>続きを読む

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)

4.1

 自己中心的で他人に興味がなく、皮肉屋で冷徹な人気気象予報士のフィル・コナーズ(ビル・マーレイ)は、仕事仲間のリタ・ハンソン(アンディ・マクダウェル)やカメラマンのラリー(クリス・エリオット)とともに>>続きを読む

マリグナント 狂暴な悪夢(2021年製作の映画)

2.1

 今作を観た人にしか伝えられない「あれ」の設定が色々とおかしくて、どうネタバレ抜きに書こうかしばらく考えたのだけど、やはりそれはどう考えても無理そうなので、ここではネタバレ部分を一旦「あれ」と仮定する>>続きを読む