メルギブがフルメタル・ジャケットの構造を敬虔なクリスチャンで仕上げたら、隙間から溢れ出る暴力が妙に目立ってそれが彼の作家性と語られてしまっている。本人には不本意であっても。
こないだ観たばっかなのに何も思い出せない。ただ画面が妙に平坦だった記憶が。
「バランスのとれてた組織に異物を放り込んで破滅していく」系の物語を盲人のコミュニティにはめ込んで、健常者のコミュニティと差異の無さを感じる構造故に、そこを理解してしまうとそれ以上飛躍することはない。
物語先行の典型の割には撃ち合いがあったりで、リアリティと作り物の折り合いが悪すぎた。メリッサ・ブノアの使われ方にショックを受ける。
決まりすぎるショットが作りだす厳格さが母親たち旧世代の持つクラシカルな佇まいと、息子のヌーヴェルバーグ的な無垢が呼び寄せるポップさの綱の引き合いが妙にスリリング。アントニオーニを引き合いに出したくなる>>続きを読む
これといった際立ったシーンがなかったのがツラいが、ベンアフレックが撮るべき題材を撮ったという事実は歓迎したい。
ドキュメンタリーの様式の中、すべてがコントロールされたかのような出演者の動きやカメラから受け取るズレが楽しい。その究極がラストの恋人たちを正面から撮ったショットであり、あの気持ちよさの前ではフィクショ>>続きを読む
普通の作家なら回りの人々の証言により、不在の中心が浮かび上がるはずが、1mmも浮かんでこないのが逆にすげぇなと。
X-MENシリーズの中でもウルヴァリン系はハズレがないのは、マイノリティの問題から一歩引くことにより自由度が増すからだと思ってたら、今作の全てを飲み込んでハードな物語に突き進んで行く様に自分の考えの浅>>続きを読む
なんでしょうか、変化にのたうち回る台北という街のドキュメントとして感動するし、そこに配置された人々に一切笑顔がない状況に違和感がないっつーことに戦慄するという。
あとから考えら超絶大傑作だったんじゃないかという思いが強くなってる。
被写体としてのクリステンがヤバいくらい美しい強いのよ全然エロくないけど許せるんだよカッコよすぎて。
「指令室映画に駄作なし」の持論が大いに揺らぐ事案発生。反復の差異でみせるにしては動きが足りないので面白味に欠ける。暗号解読に焦点を当てるなら、宇宙人に会いに行く行為の殆どが無駄に思える。で、肝心の解読>>続きを読む
徹底的に引いたカメラで心象の機微を現そうという心意気は買う。ただその場合どうにも時間を消費する傾向に陥るから画がつまらないと到底時間が持たないから辛い。決して嫌いではないんだが。
今となってはエピソード0的な印象。ディストピアなマッドマックスは2から始まる。
ヒッチコック『サイコ』オマージュなナイフを折っちゃったのが、もうヒッチにケンカ売ってるとしか思えなくて最高。リーダー気質の女の子がニットでおっぱい強調だったので、心の中で「ニット乳」と呼んでいたのに途>>続きを読む
死ぬほどかわいいくせに大人の女感をかっちり出せるブレイク・ライブリーを当て馬として登場させる贅沢。こういう引きずるラストもするアレン、大晦日で締めるのは『人生万歳!』以来か。『おいしい生活』を彷彿とさ>>続きを読む
ワイスピに明るくないので前作より楽しめたが、シャーリーズ・セロンとカート・ラッセルの自動車映画リスペクトチョイスが活かされないのがツラい。
ベンジャミン・バトンを女性でやったらロマンポルノになった的な。宮本なつの横顔は裕木奈江にそっくりだった。
この上映時間によって作り出されたリズムが素晴らしくて、悠久の楽園感と真綿で首を絞めるような現実感が表裏一体となって現れるのが、気持ちいいのに緊張させられるという不思議な感覚に落とされる。ロケ地の空気感>>続きを読む
キム・ノヴァクがちゃんとエロいのがきっかけの説得力として完璧に機能していてやっぱ性欲は身を滅ぼすと実感。夜の濡れたアスファルトに映る街灯が綺麗。
銃撃戦を引き伸ばす為に演者に傷を負わせて這いつくばらせアクションのスピードを奪ったら本末転倒だと思うのだが。レザボアほど台詞がキレてたら話は別だけど。
主人公が人を訪ね歩いて物語を転がす構造や社会問題(不法移民)を落としどころとする作りは前作と同じ。ただ本作は死んだ女性の身元を調べるサスペンスが軸になるはずがいきなりの告白で片付けちゃってえらい沸点の>>続きを読む
超絶大傑作。無口な主人公の瞳の動きで画面外の演者の動きを示す演出が、大人の期待を一身に受け止めもがく無垢な才能という表現にはまる感じがたまらない。スピードチェスがアクションとして機能してる上に、勝つこ>>続きを読む
男の性的象徴のモチーフな北大路欣也がビジュアル的にも黒光りした男根にしか見えないのが素晴らしい。
一点透視図法だかシンメトリーだが知らんが徹底的に厳格なショットで人口物が自然に侵食されていく様を次々と叩きつけて「廃墟」を再定義するのが発見の快楽っつーか『いのちの食べかた』と同じく気持ちいいのよ。冒>>続きを読む
初期増村のこのスピード感はホークスを凌いでるんじゃね?つーぐらいの怒濤の台詞回しが最高。若尾文子は抑圧された自分の魅力に無自覚な役の方が死ぬほどエロくみえて最高。靴の件でシンデレラを意識させる作りも最>>続きを読む
真面目ピーター・バーグが好きな者としては、実話を時系列に沿って悪者、犠牲者、待つ者とタイプキャスト的キャラクターを配置して起承結をしっかり撮りきる今作は、俳優あがりのバーグらしいちゃんとした実話ものに>>続きを読む
良くも悪くもリチャード・バートンの顔だけで持たせてる感あり。台詞がスリリングでもなく物語もそれなりに想定内ながら、モノクロの荒涼とした場面に彼らの世界を映し出す意識は垣間見えて悪くはなかった。
「和製」フィルムノワール、の「和製」が邪魔になるくらいバキバキなノワールなのにしびれる。重要な場面は全て足先の動きのみで映し出す強い意思は後期の厳格なまでのショットを貫く意思と地続き。水久保澄子がかわ>>続きを読む
画面から伝わる時間経過や逆に変わらないメンタリティ、そこに感じる批判や寂しさ虚しさが前作をリアルタイムで観賞した同世代の自分にブーメランの如く帰ってくる哀しみ。レントンが実家で親父とテーブルを囲んだ時>>続きを読む
作家と付き合い出した途端に他の団員にクソ偉そうに振る舞う田中絹代にキレそうになる。