鮭茶漬けさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

一晩中(1982年製作の映画)

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シャンタル・アケルマン特集

ほぼ全編通して濃く深い闇に徹底される一晩の人々の営みを前に、私はとても心地良く睡眠してしまいました。相変わらず禁欲的で狂気すら感じる長回し。また観られる機会はあるのかしら
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天使の影(1976年製作の映画)

3.9

ダニエル・シュミット監督の初期作、2Kリマスター版。親友であり助演のファスビンダー作の戯曲「ゴミ、都市そして死」の映像化。
娼婦リリーは今日も道に立っては客が見つからず、ファスビンダー扮する夫に暴力を
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スーツ(2003年製作の映画)

4.0

バフティヤル・フドイナザーロフ監督の2003年の長編。
山麓の田舎町に住む若者3人は、度々富裕層の住むエリアに行きGUCCIのスーツに魅せられる。若者には、それぞれの悩みと夢があり、手に入れたスーツで
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ルカじいさんと苗木(1973年製作の映画)

4.4

「ルカじいさんと苗木」
今から約50年前のジョージア映画。
ルカじいさんとその孫がヘチェチューリという古い梨の苗木を探しにまわるロードムービー。
見終わったあとの多幸感といったら。心温まる、けれども人
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ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE(2023年製作の映画)

3.8

言わずと知れたトム・クルーズ先生の大人気シリーズ、最終編Part1

至る所の「そうはならんやろ」感は否めないけれど、とても楽しめました。トム・クルーズ自身はお年を召したけれど、イーサン・ハントは変わ
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処刑の丘(1976年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

第二次大戦下ドイツに捕えられた2人のパルチザンの姿を描いた戦争映画の名作。

死ぬも地獄、生きるも地獄。

無為な戦争の時代に巻き込まれた世界を、2人の兵士をもって描きます。
あまりにも巧みな構成と心
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怒りのキューバ(1964年製作の映画)

4.5

キューバ革命前の庶民の幾つかのエピソードを綴った映像詩。数々の支配に対して屈せず怒りを以って抵抗したキューバ国民の力強さを圧倒的な映像技術で描く。
力強い映像に対して、エピソードの間に挟まる、囁くよう
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.9

リューベン・オストルンド監督
2022年度パルム・ドール

好きな箇所と嫌いな箇所が混在してた。
ステレオタイプ的なブルジョワ/庶民像と露骨なシニシズムをドヤ顔でドヤってくる作品で、やはり笑ってしまう
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海辺のポーリーヌ(1983年製作の映画)

4.3

鑑賞記録漏れ

スピッツ『美しい鰭』のMVで上白石萌歌が窓を開けるショットのもとはこの映画なんじゃないかと、勝手に思っています。笑

ノルマンディーでのバカンスを楽しむ男女6人が織りなす恋愛模様を描い
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アンラッキー・セックス またはイカれたポルノ(2021年製作の映画)

4.0

鑑賞記録漏れ
ラドゥ・ジュデ監督

怒られそうだけどもネトフリ時代のゴダールというか。笑
間違いなくこの2020年-2021年にしか撮れなかった光景と、それがもたらす説得力があった。クレイジーなタイト
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ワイルド・スピード/ファイヤーブースト(2023年製作の映画)

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正直ワイスピ1〜3しか見ておらず友人の誘いで見に行ったものの、面白かったです。
私のようなシリーズ追えてない人でも、諸々察せる程度の情報があって、楽しめました。
当初のカーチェイス映画ではなくなってい
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コシュ・バ・コシュ 恋はロープウェイに乗って 4Kレストア版(1993年製作の映画)

4.2

愛すべきロープウェイ映画。恋をするにも映画を撮るにも戦争なんて関係ない。
ラスト近くのロープウェイを少年が追いかけるシーンが見事すぎる。

ルナ・パパ 4Kレストア版(1999年製作の映画)

4.6

これこそが映画。映画でしか成し得ない奇跡と現実。


野暮な所感だけれど、同じく旧ソ連構成国であるジョージアのイオセリアーニ監督とのテーマとその描き方の類似性がある気がしていて(あとはイランのマフマル
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その男、凶暴につき(1989年製作の映画)

4.3

ようやく見れた北野武初監督作。
衝撃。皆さんおっしゃってますが、これが、それまでの人生で映画にほとんど触れてこなかった芸人の初長編監督作品とは到底思えない程完成度が高いですね。後のキタノ映画と呼ばれる
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汚れた血(1986年製作の映画)

4.3

鑑賞記録漏れ

若さと滅びの美。刹那的な輝き。

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

ああ、これは自分のための映画なのでは…

こう思った人は私の他にも少なくないと信じています。


冒頭暗転の中で鳴る、Panasonic製のビデオカメラの起動音。この音によって私自身の記憶も呼び起こさ
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セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

4.3

ジャック・リヴェット版『不思議の国のアリス』、初期の代表作

去年鑑賞分の記録。
ずっと見たかった本作を劇場で見られるとは。ありがたい!なんとチャーミングな作品でしょうか。パリを舞台に遊び心溢れた世界
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ミリオンダラー・ベイビー(2004年製作の映画)

4.5

クリント・イーストウッド監督

大名作。人を愛するとは何か。

アネット(2021年製作の映画)

3.9

レオス・カラックス監督
アダム・ドライバー x マティオン・コティヤールの共演と監督初の英語作品

まさかのミュージカル映画でビックリしたけれど、テーマ自体は監督自身の過去への内省や後悔の念を感じざる
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アトランティックス(2019年製作の映画)

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監督の過去作である同名の短編ドキュメンタリーの翻案。
ロマンス、ファンタジー、サスペンス、様々な要素が入り混じり二転三転する幻惑的な作品でした。並べるのは野暮かもしれないですが、彼女の叔父であり「トゥ
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ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー(2023年製作の映画)

4.0

D!K!ドンキーコング!
作り手の原作愛が溢れている良き映画化でした。ゲーム世代なら誰しもやったことあるだろうゲームの引用のオンパレードでテンション上がります。主要な登場人物の数も控えめに展開もシンプ
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.5

今の所たけし映画で1番好きでした。
描かれる「若さ」があまりにも儚くて残酷で。大人の世界に足を踏み入れる若者が挫折し打ち砕かれる残酷な映画なのに、何故か鑑賞後に感動が押し寄せる。何度でも見たい青春映画
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

4.5

5月末の上映権切れスレスレにようやく念願の映画館にて初鑑賞。

素晴らしかったです!ああ、本当に映画館で見られてよかった…。
極限までシンプルに削った舞台上を裸足で動くはデヴィッド・バーン率いるアメリ
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ゴダールの決別(1993年製作の映画)

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ジャン=リュック・ゴダール追悼特集

正直、寝ました。仕事後に見るもんではない、コンディションを整えてから再度挑もう。ただ、私の無教養さゆえに次見ても変化はあるのかは怪しい…

80年代以降のゴダール
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EO イーオー(2022年製作の映画)

4.3

スコリモフスキ監督の待望の新作
監督が今まで唯一映画館で涙したというロベール・ブレッソン『バルタザールどこへいく』を現代のポーランドに舞台を移した翻案

待望のEO公開!
台詞少なめにロバのEOくん視
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毒薬/我慢ならない女(1951年製作の映画)

4.3

記録
サッシャ・ギトリ特集にて
冒頭、監督から直々に熱い賛辞を贈られるミシェル・シモンの名演。
あまりにも明るい唐突なラストは吹き出さずにはいられなかった。皮肉すぎる笑

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

3.8

記録
映画の中における長距離列車での出会いはささやかで奇跡的なものですね。

日陽はしづかに発酵し…(1988年製作の映画)

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ソクーロフ特集
いつか観たかった作品をとうとう見れた…!今やロシアを代表する巨匠となったソクーロフ監督作であり、彼が一躍時代の寵児となるきっかけとなったという作品。
トルクメニスタンに派遣された若い医
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地獄の黙示録 ファイナル・カット(2019年製作の映画)

4.4

This is the end

映画館で見なければいけない映画。
機会を逃してから待ち続けた結果、新文芸坐での待望の上映。満を辞して観に行きました。3時間が一瞬のフランシス・フォード・コッポラの代表
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名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)(2023年製作の映画)

4.3

原作ファン歓喜!

唯一子どもの頃から追い続けている漫画ながら、ここ数年はコナン映画から興味離れていたけど、今回はとことん激アツ展開を仕込んできていてシリーズ屈指の名作だと思います。
本編である漫画に
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たぶん悪魔が(1977年製作の映画)

4.1

2022年レビューし忘れ分

ブレッソンの中ではかなり直接的にメッセージを描いた方ではないか。
環境破壊問題の提起や社会通念の揺らいだ時代にシニシズムに沈む若者を描いた終末論的な作品。あまりに呆気ない
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

4.0

上原ひろみ・馬場智章・石若駿のトリオとかエグすぎる。。マジでこの3人でBlue Noteでやってほしい。

ずっと漫画を読んでみたいと思っていながら未見だったものを映画で見られました。
学生時代にサッ
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