ぼずごんさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ぼずごん

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空気人形(2009年製作の映画)

4.0

見終わった後思わず、引用されていた吉野弘さんの『生命は』を検索してしまった。「生命はすべて そのなかに欠如を抱き それを他者から満たしてもらうのだ」作品のテーマに通じるこの詩が挿入されることで、のぞみ>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.0

後半、事件から8年後。鈴岡夫妻の風貌の変化が見事。メイク、演出、演技、すべての賜物だと思う。映像では撮されていない空白の8年が、そのリアリティーある風貌から十分に語られている。観客に解釈が委ねられるこ>>続きを読む

ジョゼと虎と魚たち(2003年製作の映画)

4.0

恒夫はいつか、香苗や他の女性の料理を食べたときに、ジョゼのご飯を思い出してしまうんだろうなぁと思った。「料理」って作る人の人となりや思い、すべてが詰まっているような気がするから。
「あの雲、持って帰ら
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葛城事件(2016年製作の映画)

3.0

決して、希望が持てる、元気づけられる、という類の映画ではない。が、最後まで惹きつけられる、考えさせられる作品だった。父親の抑圧的な言動が家族を狂わせていった、と捉える人は多いのかもしれないが、個人的に>>続きを読む

大鹿村騒動記(2011年製作の映画)

3.0

『ディア・イーター』というネーミングが巧い。インパクト大で豪快な店名、食堂を営む主人公善の人となりを十分に物語っている。村民を演じるベテラン俳優陣の存在感ある演技がすばらしい。まるでそこに住んでいるか>>続きを読む

川の底からこんにちは(2009年製作の映画)

4.0

「どうせ『中の下』だから頑張るしかない」腹をくくった人間は強い。まわりの人間も、その勢いと正直な姿に影響されて変わっていく。覚悟が表れている新社歌の歌詞、大きな声で合唱するみんなの一体感、エネルギー。>>続きを読む

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.0

『人生は他者だ。』この言葉にすべてが集約されているように思う。大事な人を失った家族が、大人も子どもも、他者との関わりの中で一つ前へ踏み出していく。ドキュメンタリーのように描きだされる「心の再生」に惹き>>続きを読む

ズートピア(2016年製作の映画)

4.0

ジュディのラストのセリフ。みんなが仲良く暮らし、だれでも何にでもなれる。そんな理想の町、ズートピアを実現するために。「お互いのことをもっとよく知り、お互いの違いを認め合えばきっとうまくいく。世界はより>>続きを読む

スペース カウボーイ(2000年製作の映画)

3.0

志半ば、宇宙への夢を断念させられたパイロットたちが年老いてその夢を実現。サクセスストーリーかと見ていると、後半、そのミッションに隠された秘密が明らかに。すっかり引き込まれた。ただ、月へのくだり、トミー>>続きを読む

あの、夏の日 〜とんでろ じいちゃん〜(1999年製作の映画)

4.0

おじいちゃんが飛ぶ、特殊撮影も安っぽいし、演出も芝居じみてる、奇抜な作品。が、尾道というロケーション、ピーカンによる青空、緑、夏の日。郷愁を感じざるを得ない。のんびりしてるからこそ見える景色があるボケ>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(2014年製作の映画)

3.0

キャラクターがいい。ギャグセンスがいいい。音楽もいい。小気味良いテンポで進むストーリーに、感動のアクセントも効いていて、いい!

そこのみにて光輝く(2013年製作の映画)

3.0

人物描写とそれを表現する役者の演技がすばらしい。特に、拓児はこの作品の重要な存在。彼のもつ明るく憎めない性格の奥にある悲哀まで表現した菅田将暉の才能は本物であると再確認させられた。町の閉塞感、「光」を>>続きを読む

カラフル(2010年製作の映画)

5.0

イジメを受けている子どもたちは、この作品を「きれいごと」と捉えるだろう。一度死んだら終わりだし、人生をやり直すことはできないのだから。でも、だからこそ、真っ当なことをキライなく真っ当に訴えるド直球な作>>続きを読む

いつか読書する日(2004年製作の映画)

4.0

深い味わいのある作品。中年男女の純愛ファンタジーとも思える作品をリアルに成立させているのは、景色の丹念な描写、二人に関わる町の人々のストーリー、そして主演二人の演技。特に、田中裕子、すばらしい!

息もできない(2008年製作の映画)

4.0

ヤン・イクチュンの存在感に圧倒された。人を殴る時の殺気立った目、甥っ子に悪態つきながらも滲み出る優しい眼差し、釘付けになった。大きな憎しみの中でもがき苦しむ姿、確かな演出とその表現に胸をつかまれた。今>>続きを読む

運命じゃない人(2004年製作の映画)

5.0

秀逸な脚本、フレッシュな役者さんたちの演技、ウイットに富んだセリフ。お金をかけなくても、こんなにおもしろい映画を作れるんだという見本のような作品。その後の、「アフタースクール」「鍵泥棒のメソッド」も傑>>続きを読む

千年女優(2001年製作の映画)

5.0

外界との接触を一切断ち隠居する大女優。千代子の好きな蓮の花を社名にするほどのファンである立花。撮影所解体によりドキュメンタリー作成、大女優が沈黙を破り語りだす。
人物や設定が非常に興味深く描かれていて
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アナと雪の女王/家族の思い出(2017年製作の映画)

3.0

「リメンバー・ミー」と同時上映の短編。『アナ雪』フリークでもないし、アンチでもないけど楽しめた。“家族の伝統”というテーマは、「リメンバー・ミー」と通じる部分もあり、様々な家族の伝統に温もりを感じた。>>続きを読む

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)

5.0

「時を超えて私たちを支え、力を与えてくれる人々を決して忘れない」
エンドロールで、先人たちの写真とともに映し出されるメッセージ。ピクサーとディズニーの映画に対する真摯な姿勢と熱い想いに感動した。
今作
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パンダコパンダ 雨ふりサーカス(1973年製作の映画)

4.0

45周年記念上映「パンダコパンダ」との2本立て。『ポニョ』でも同じような水没のシーンが描かれていたが、何とこちらの方がワクワクして楽しいことか。残念ながら『ハウル』以降、宮崎作品に魅力を感じられない。>>続きを読む

パンダコパンダ(1972年製作の映画)

4.0

45周年記念上映ということでイオンシネマにて初の劇場鑑賞。宮崎駿さん、高畑さんの創作意欲溢れる初期の貴重な作品。以後の宮崎作品の原形となるようなキャラクター、設定、ストーリー、セリフ…、生き生きとして>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

4.0

おとぎ話のような語り、幻想的な水中に浮かぶ女性。冒頭の美しい水中シーンからすっかり物語の世界に引き込まれた。異形、障害(身体・性)、人種への差別や彼らの生きづらさも描いているが、一貫して純粋なラブスト>>続きを読む

15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

4.0

「まるであの瞬間のためにこれまでの人生で訓練してきたような感じ」当事者のセリフを映画作品に仕上げた手腕はさすが。しかも、本人に演じさせるという奇抜なアイデア。老いて尚、新しい挑戦を続けるイーストウッド>>続きを読む

ニュー・シネマ・パラダイス(1989年製作の映画)

5.0

24年ぶりに劇場で鑑賞。この手の作品だと当時の上映はシャンテだっただろうか。モリコーネの美しい音楽をバックに語られる、人生の機微に心が温かくなり、また、胸が熱くなった。映画・映画館への愛もたっぷり感じ>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

4.0

『オンリーワン』の個性を持ったキャストたちが、その思いをぶつける「This is Me」に心が震えた。歌もダンスも素晴らしい。枝葉の説明はカットし、テンポと簡潔さを貫いたストーリーもいい。バーナムの弱>>続きを読む

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

5.0

公開直後に満席のテアトル新宿で観て、今回は2回目。イオンシネマで、THXの臨場感ある音響で、¥1,000円にて上映。常に戦争と背中合わせの際どい平穏の上で生かされている現代、この作品は絶えることなく上>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.0

『庭の千草』が流れる中、剥がれた野立て看板がゆっくり映し出される、何か起こりそうな予感を駆り立てるオープニングが秀逸だった。全編通して登場人物の心情を代弁するかのような音楽、選曲が見事にハマっていた。>>続きを読む

花筐/HANAGATAMI(2017年製作の映画)

3.0

宮崎駿や巨匠黒澤明でさえ、晩年の作品に全盛期のパワーはなく淋しさを感じたが、大林監督は違った。まるで初期の作品のような、映像美と音楽、そして作家としてのパワー全開、いい意味でやりたい放題。「映像の魔術>>続きを読む

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)

5.0

「シン・ゴジラ」に続き、イオンシネマつきみ野閉館感謝上映『メモリアルシアター10』にて鑑賞。約25年を経て劇場で、しかもワンコインで、当時の感動を再び味わうことができてあたたかい気持ちになった。「よか>>続きを読む

シン・ゴジラ(2016年製作の映画)

5.0

『巨大不明生物』への国の対応がおもしろい。初動の遅さ、縦割りの指示形態が、圧倒的な情報量と専門用語を詰め込んだセリフの応酬でリアルに描かれている。アメリカとの関係、世界との連携なども興味深い。「君たち>>続きを読む

パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

4.0

最近話題となっているストーカー事件、アイドルとファンの距離、ネットトラブル等が先駆的に描かれている。約20年前の作品とは思えないリアリティがあり、現代においてもまったく色褪せず遜色ない。アニメにサスペ>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

4.0

太陽の光、雲の動き…、インサートの鮮やかな自然の描写と戦場の地獄絵図の対比が見事。手持ちのカメラワークは、自分があたかも戦場にいるかのような恐怖感を煽る。生臭さ、焦げ、腐敗、といった臭いまで感じられそ>>続きを読む

きみはいい子(2014年製作の映画)

5.0

「がんばって。」と岡野先生が甥っ子に抱きしめられるシーンがあたたかくて涙が出た。いくつかのエピソードが一つの大きなテーマに結びつく構成が秀逸。「私があの子にやさしくすればあの子も他人にやさしくしてくれ>>続きを読む

美しい夏キリシマ(2002年製作の映画)

4.0

監督の体験に基づいた、ドキュメント要素を強く感じられる作品。戦争が起こった当時と同じ空気を感じられる、と映画化を決意したとか。公開から15年、一触即発、当時よりも間近に戦争を感じられる現在。「ヒロシマ>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

4.0

『スパイシーに不足、欠如はパプリカ!円満成就に足りない一振りのスパイス』
いま流行のVRの先見といえるような人形の罠。パプリカの体に手が入り込むエログロ。魑魅魍魎のパレード… 存分にスパイシーだし、パ
>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.0

「お前たち新型レプリカントは奇跡を見たことがない…」サッパーの言葉がキーワードとなって話が進んでいく導入が見事。前作の陰鬱とした背景から一転、カリフォルニアの開放的でありながらも荒廃した世紀末感漂う背>>続きを読む