堀雄一

ラストナイト・イン・ソーホーの堀雄一のレビュー・感想・評価

3.0
60年代ショービジネスの世界の持ちつ持たれつの共犯関係(今ではハラスメントともいうが)は、あれだけ人が死んでも犯罪として立証する動機が働かない、殺されても仕方がないことをしているというところで、最終釣り合っているんだなと理解。
蘇りを待つ死者の出現の恐怖は、通常そのような釣り合いが取れていないことを人の記録や物証をもって示すことで、カタルシスと共に消え去るのだが、この映画では釣り合いが取れているのか、そうでないのか当事者である死者に迷いがあるように見え、最後には殺された無念を晴らすと、なんとも腑抜けた一般化した恨みに出現の動機が還元されている。こっちも悪いけどあんたも悪いみたいな。
だからホラー的な意味で、まったく怖くない。音楽と小気味よい展開は楽しいのたが。
堀雄一

堀雄一