鮃サブロウ太さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

鮃サブロウ太

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鈴木家の嘘(2018年製作の映画)

3.3

途中まで興味深く観ていたが、段々重い部分と軽い部分の単調な色分けに厭きてしまった。
役者陣は鈴木ファミリーを中心に味のある俳優陣が揃っている。とりわけフツーのおじさんでもマフィアの親玉でもこなせてしま
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3月のライオン 後編(2017年製作の映画)

4.3

前編に比べるとずいぶん動的で、所々思いが溢れ過ぎて情緒過多の印象なきにしもあらずといった感じだったが、その人間臭さが逆に後編の魅力を一段と押し上げたのではないかと思う。
とにかく主人公の周りにいる人た
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3月のライオン 前編(2017年製作の映画)

4.0

原作未読、将棋知識なしでも十分楽しめた。
思い返せば和田誠がメガホンをとった『麻雀放浪記』も、麻雀の知識がなくてもその人間ドラマに思わず引き込まれる秀作だったが、本作に対してもそれに近い印象を持った。
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(2017年製作の映画)

2.0

内輪の世界を行きつ戻りつしながら入念に描いていて、よく言えば生真面目、悪くいえば気が滅入る。
3日経つと細部が曖昧になる映画が多い中、ドキュメンタリータッチでしっかりとした印象を残す本作。映画の中の映
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マスカレード・ホテル(2019年製作の映画)

3.2

古畑任三郎がセリーヌの自転車に乗ってやってきそうなお洒落なホテルで繰り広げられる喜悲劇といった趣で、『手紙』や『容疑者Xの献身』、『白夜行』のような図らずも犯してしまった罪が別の悲劇を生み落とすテイス>>続きを読む

日日是好日(2018年製作の映画)

3.5

徹頭徹尾模範的、優等生的な映画でこの作品にケチをつけるのは憚られる、そういう雰囲気が全篇を覆っている。
とりわけ物語の背骨になっているお茶のシーンは、茶道に門外漢の私のような無粋な人間がみても美しい景
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不灯港(2009年製作の映画)

2.3

憎めない映画だった。
内容的にはどこかチグハグな印象を否めないし、スマートとか洗練とか、そういう表現からは一番遠いところにある作品なので、正直観ていていい気分にはならないし、笑えない。
余分なモノを削
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ここは退屈迎えに来て(2018年製作の映画)

1.0

最近観た邦画の中ではダントツでつまらなかった。というより、過去観た邦画作品の中でも、つまらなさという点では一二を争うかもしれない。
全体に気懈く、物憂く、生命力のかけらもない。会話は対話になっておらず
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嘘八百(2017年製作の映画)

1.8

同じような素材を扱った『文福茶釜』は途中で観るのを止めてしまったのでレビューが書けなかったが、こちらはどうにか最後まで観ることができた。しかし、いくら騙し騙されの世界を描いたとは言え、後に何も残らない>>続きを読む

バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.3

愛と善意に溢れた感動の物語。国家や宗教を超えた人間愛がここにある。
2時間半を超える長丁場ながら、奔流にのまれるような推進力に時が経つのも忘れ一気に観てしまった。
元気だった頃の韓国映画を髣髴させるよ
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先生! 、、、好きになってもいいですか?(2017年製作の映画)

3.0

ナラタージュの松潤先生はどうしようもなかったが、本作における生田先生は土俵際で何とか踏みとどまった。
夢物語のような設定と都合のよすぎる展開には辟易しつつも、少なくとも作品が醸し出す清潔感だけは認めな
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世界で一番パパが好き!(2004年製作の映画)

4.0

4,5年前に観てとても印象のよかった映画。その時に感じた印象は、今観直してみても全く変わらない。
演技よし、展開よし、余韻よしの三拍子揃った素敵な物語。
といっても何か特別なことが起こるわけではない。
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田園に死す(1974年製作の映画)

1.0

禍々しい映像作品。
観るというより感じるというか、音楽を聴くようなスタンスで接したほうが作品の世界に入っていきやすいかもしれない。
ただし、視覚に訴えてこない音楽が映像作品以上に好悪を分けるように、本
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5時から7時の恋人カンケイ(2014年製作の映画)

3.5

きれいな不倫映画。
不倫にきれいも汚いもあるか!というような、物語の設定自体を受け容れられない場合を除けば概ね好意的に受け止められる作品ではないだろうか。
ただ、全体的にあまりにもきれいに仕上げすぎて
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砂の器(1974年製作の映画)

4.8

何度も観ても飽きることがないという点では『天国と地獄』と双璧だが、硬派な黒澤映画に比べれば本作はずっとロマンティックで芸術基調。優劣はつけがたいが、個人的な好みでいえば断然こちら。
これまで幾度もリメ
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15時17分、パリ行き(2018年製作の映画)

3.0

実話という部分をとりあえず横に置いて作品だけを観た場合、やはり前半の回想場面や列車に乗る前のバカンスの場面はいささか冗長に過ぎた気がする。特に彼らの友情や来歴(軍隊での訓練の様子など)が、この勇気ある>>続きを読む

のび太の結婚前夜(1999年製作の映画)

4.1

ドラえもんにある程度親しんでいる事を前提にすれば、本作は僅か30分足らずの短い時間のなかでドラえもんの『核』となる要素を結晶化させたという点では最高傑作かもしれない。
とりわけ結婚式の前夜、しずかちゃ
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激突!(1971年製作の映画)

4.0

ずいぶん昔に観て印象的だったので改めて観直したが、昨今問題になっている煽り運転の原型のような作品で、こちらのほうが更に過激だった。
これを40年以上前に作ったスピルバーグの才気には恐れ入る。
カメラワ
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アルキメデスの大戦(2019年製作の映画)

3.5

久しぶりに映画館で観たが、大スクリーンと大音響が生きたのは予告動画にあったVFXの迫真性に富んだ大和沈没シーン(5分くらい)のみで稍拍子抜け。後は人間ドラマだった。
尤も、その人間ドラマはなかなかにコ
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かぞくいろ―RAILWAYS わたしたちの出発―(2018年製作の映画)

3.0

人肌に触れるような温かい作品だった。反面、言葉は悪いが子どもをダシにして感動を引き出した狡い作品だとも思った。
苦悩や葛藤、大人のイヤらしさといったものをこどもというフィルターを通して表現しすぎている
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ヘンリー(1986年製作の映画)

1.5

ドライな狂人映画。演出などについては評価が可能かもしれないが、物語自体はあってないようなもの。逆に言えば、それで成り立っている本作はある意味すごいとは思う。

名前(2018年製作の映画)

3.2

素朴な映画。
もう一押しほしい気もするが、それをしてしまうとこの素朴さが毀れてしまうようで、これはこれで良かったのかもしれない。
正直、面白かったのは最初の40分ぐらい。中盤から終盤にかけては種明かし
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家へ帰ろう(2017年製作の映画)

4.6

冒頭、孫達と家族写真を撮る本作の主人公アブラハム翁の様子を見ただけで、これはもう一筋縄ではいかない感じがして本編への期待値がグッと上がる。
物語は戦争の深い爪痕を時に鋭く抉るが、それを周りの人たちがう
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ある女流作家の罪と罰(2018年製作の映画)

3.0

テンポよく進むので飽きずに最後まで観ることはできたが、汚部屋と化した住まいといい本人の風体といい、荒んだ生活臭が画面越しに漂ってくるようでお世辞にも愉しい気分になる作品ではなかった。

女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.0

ピンと張り詰めた緊張の糸が最後の最後まで切れることなく続いてゆくスリリングな展開に舌を巻いた。派手なアクションで見せるのではなく、立て板に水の弁舌と巧みな心理戦で魅せる高級感のある映画だった。

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

3.5

何となくいかがわしさを感じて避けていたのだが、シンプルに楽しめる映画だった。
本編とメイキング映像をドッキングしたような内容で、1本で2度美味しいというか、舞台裏のゴタゴタがなかなか味のある人間ドラマ
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ダンボ(2019年製作の映画)

4.0

夢の詰まった心温まる物語だった。難しいことを考えず作品の世界にスッと入っていけて、観終わった後には夢から覚めたような心地よさに浸ることができる。
美しい映像、心が豊かになるようなセリフ、勇気を奮い立た
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ジュリアン(2017年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

「ラスト15分の衝撃」すこし前にもこれと似た宣伝文句の踊っていた作品にまんまと騙された記憶があるが、この手のキャッチフレーズや満足度○○%!の類は全く信用できないことを確信した。こういう煽情的な謳い文>>続きを読む

残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

1.5

語り手である『私』も辛気臭く妙に深刻ぶっていて、土地にまつわる因縁もそこまで都合良く繋がってゆくかという感じで、途中からリアリティーが失われてしまった。
間延びした展開を補正するためにラストにかけて無
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渇き。(2013年製作の映画)

1.0

まず作品以前に画面が暗くくすんでいて、何が起きているのかよくわからない。作風としても非常に感覚的に作られているので、この酸鼻をきわめた凶行に理由や動機を求めてはいけないと頭では分かっていながらも、それ>>続きを読む

ナラタージュ(2017年製作の映画)

1.5

ジメジメどんよりした鬱陶しいこの時季に観たのがまずかった。
部屋の湿度が50%から90%に跳ね上がるような感じで、思わずエアコンの設定を変えたほど。個人的にはこの作品から肯定的な言葉を紡ぐことは難しか
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起終点駅 ターミナル(2015年製作の映画)

2.8

一昔か二昔前の日本映画を観ているようだった。
フィルマークスのあらすじやジャケットだけをみると失楽園風の重苦しい内容を想起してしまうが、実際はそれほどでもない。
小細工なしの直球勝負で最近流行りのSN
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あの頃、君を追いかけた(2018年製作の映画)

3.0

前半の1時間が2時間くらいに感じられた。後半は足取りも幾分軽くなり物語が流れていったが、どちらかと言えば前半に力点を置いた作品だと思った。
全体として厭な印象を受ける場面もなく気持よく観られる反面、青
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ぼくは明日、昨日のきみとデートする(2016年製作の映画)

4.5

切ないのに愛おしい素敵な物語だった。
全く個人的なことで恐縮だが、最近観た邦画のラブロマンスものでは『君の膵臓をたべたい』と『今夜、ロマンス劇場で』が出色だった。
どこまでも現実路線のキミスイとお伽噺
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来る(2018年製作の映画)

3.6

シリアスなのに軽薄。その落差というか高低がユニークな作品で、映画というよりも現代アートのパフォーマンスをみているようだった。
妻夫木聡は『春の雪』のような作品で見せる顔よりも、本作や貫井徳郎のサスペン
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手紙は憶えている(2015年製作の映画)

4.2

実に見応えのあるすばらしい映画だった。
ジャケットだけみるといかにも硬派な雰囲気で取っつきにくさを感じるがそんなことは全然なくて、むしろ枯淡の趣とでも言おうか、重くて生々しいテーマなのにラストまで淀ま
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