たかちゃんさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

たかちゃん

たかちゃん

映画(891)
ドラマ(0)
アニメ(0)
  • List view
  • Grid view

白鍵と黒鍵の間に(2023年製作の映画)

4.0

冨永の音楽映画であるが、井上梅次のような、小手先でつくったような安直な印象はない。しかし、凝り過ぎて意図が読み取れないところもある。池松の二役の狙いなど、最初は混乱した。そして終盤のゴミ捨て場の不条理>>続きを読む

イコライザー THE FINAL(2023年製作の映画)

3.7

1作目はホームセンターのシーンが印象的なサスペンスであった。本作も『ジョン・ウィック』のように世界観が大きくなっていく。3作目はシチリア、ナポリ、ローマとイタリアが舞台。薬物取引のマフィア組織を壊滅さ>>続きを読む

娘の季節(1968年製作の映画)

3.9

樋口弘美という監督が気になる存在だった。日活児童映画の監督で、一般映画は本作だけ。役者の立ち位置をよく考えており、芦川と和泉の対立は背中合わせで会話させている。バス会社の合理化に反対する労働者の置かれ>>続きを読む

大森林に向って立つ(1961年製作の映画)

2.9

野村孝の丁寧で誠実な演出が、本作にはまるで反映されていない。内容も「渡り鳥」と「ギャンブラー」を混合したようで、丹波哲郎も宍戸錠のキャラのコピーかと思うほど、丹波らしさが失われている。そして、アキラが>>続きを読む

BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.4

原田眞人は『さらば映画の友よ』からの付き合いで、失敗作も含めて楽しませてもらっているが、本作は失敗作に近い出来と言わざるを得ない。主人公の姉弟はバッドだが、それを許容できるキャラクターになっていない。>>続きを読む

ロビンソン漂流記(1954年製作の映画)

3.0

ブニュエル作品の中では、失敗作と位置付けられているが、なにしろメキシコ時代の作品だ。再評価すべき作品かもしれない、との期待も込めて接したのだが、ブニュエルらしさは見出すことが出来なかった。まず、一人称>>続きを読む

⾼野⾖腐店の春(2023年製作の映画)

3.2

豆腐作りに始まり、豆腐作りで終わる。しかし、ハナシは豆腐とは関係ない。豆腐店の娘・ハルの結婚だ。つまり、鮮魚店でも床屋でも成立するハナシなのだ。娘の連れてきた男が父親は気に入らない。それが病院で見かけ>>続きを読む

ロスト・キング 500年越しの運命(2022年製作の映画)

4.2

リチャード3世の死の真相を明らかにし、彼の名誉をさせようとする女性。一種の推理劇であり、探偵ものの要素がある知的作品。しかしスティーヴン・フリアーズにしては、どうも物足りない。『グリフターズ 詐欺師た>>続きを読む

バーナデット ママは行方不明(2019年製作の映画)

4.5

リンクレイターだから、ただのホームドラマではない。ブランシェットは壊れた主婦であり、優れた建築家。ママ友や近所とのお付き合いが苦手で、攻撃的になる。家族で南極旅行に行く計画を進めているが、トラブル発生>>続きを読む

突然の花婿(1952年製作の映画)

2.9

新婚のトニー・カーチス、軍務に戻らなければならない。新妻との時間を過ごしたいのだが、妻の実家では邪魔が入るし、義母はとんでもない毒母。妻の勤務先の社長からは、セメント運搬鉄道を敷くので、土地を売れと言>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

4.8

アクションの連続で、単調になりそうだが、設定とキャラクターの面白さで引っ張ってゆく。盲目の殺し屋(ドニー様!)は、どちら側につくのか、状況次第で変わる。賞金稼ぎの殺し屋は、ジョンを殺そうとする雑魚を排>>続きを読む

グランツーリスモ(2023年製作の映画)

3.8

小生、車にもゲームにも興味がないので、本作は何ら期待せずに観たのだが、予想外の面白さ。主人公であるゲーマーの性格、家族の人柄、とくに父親の複雑な息子への思いが説明セリフを使わず描けている。GTアカデミ>>続きを読む

熊は、いない/ノー・ベアーズ(2022年製作の映画)

4.1

ある村の人々を通して、イランの閉塞的状況を炙り出す。「熊」は国家の作り出した権力の恐怖であるが、それは張り子の虎なのだ。それでも犠牲者は出る。偽のパスポートを手に入れてでも出国すべきか。それでは偽りの>>続きを読む

アウシュヴィッツの生還者(2021年製作の映画)

2.9

ユダヤ人同士のボクシングを楽しむナチ高官たち。ふと、我々観客もナチと同じ視点で楽しんではいないか。そんな居心地の悪さを覚えたのは、作り手の意図したものだったのだろうか。

私の大嫌いな弟へ ブラザー&シスター(2022年製作の映画)

4.3

作家の弟を嫌う女優の姉。両親の入院をきっかけに、病院で顔を合わせそうになるのを、身を隠す弟がかわいい。スーパーで遭遇すれば、「あれ、お姉さんじゃありませんか」ととぼける弟。些細なことから仲直りするまで>>続きを読む

きのう生まれたわけじゃない(2023年製作の映画)

4.5

福間健二の遺作。空、光…。風景の捉え方もシネポエム。老人グループと中学2年の少女との会話は対等の関係で交わされ、老人たちは純真で帰るところを持っている。ここには老若や貧富、強者と弱者といった格差は存在>>続きを読む

名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊(2023年製作の映画)

1.5

切り返しばかりの会話。フルショットがなく、カメラが自在に動いていないので、その場の空気がわからない。これでは役者は表情演技だけしか求められていないことになる。当然人物造形もなく、伏線もないので、ポアロ>>続きを読む

劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)(2023年製作の映画)

3.4

女刑事やキャッツアイ、ルパン三世と登場人物は豪華だが、肝心のリョウの「もっこり」がしつこく、時代遅れのセクハラ芸に堕している。むしろ香のハンマーの出番が少なく感じた。登場人物はにぎやかだが、話はリョウ>>続きを読む

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!(2023年製作の映画)

3.4

白石の『ノロイ』は本当に怖かったが、『コワすぎ!』シリーズは工藤と市川の漫才的やりとりで、コメディに近い。しかも霊能力者のキャラも明るく、師弟関係がどこかM。仕掛けは盛沢山だが、直線的で単調さは否めな>>続きを読む

禁じられた遊び(2023年製作の映画)

3.9

ファースト・シーンはホームドラマのようだが、息子がトカゲの尻尾を両親に見せるところから、早くも死者の甦りという話の核心に入っている。そして母親と息子の事故死。母親は助からないが、息子は蘇生する。息子は>>続きを読む

フレンチドレッシング(1998年製作の映画)

3.3

ナルコレプシー(色川武大も罹っていた)の高校生。虐められている最中に眠ってしまう。飛び降り自殺を図るが、教師に止められ、犯される。女生徒を仲間に仕返しを図るが、三人の同居生活となる。長廻し、突発的暴力>>続きを読む

色道四十八手 たからぶね(2014年製作の映画)

1.8

「ピンク映画50周年記念作品」と銘打っているが、出来は凡作。ピンクの中でも新婚夫婦ものは社会性が欠落した退屈な作品になりがちだが、本作も例外ではない。春画の「たからぶね」を実技で再現しようとする夫婦の>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

4.4

重層的構造の力作。香川県讃岐からの薬行商人一行を、流言飛語から朝鮮人と思い込み、虐殺した千葉県福田村の人たち。行商の親方の叫び。「日本人なら殺してはいかんが、朝鮮人なら殺してもええんか」。縛られ、殺さ>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.4

小生、ウェス・アンダーソン作品が苦手だった。社会性が希薄で、自分の趣味に没頭した自閉症的映画作家と位置付けていた。だが、前作と本作でようやく面白さを理解できたような気がする。前作はマスコミ、本作では演>>続きを読む

スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.0

女優が、蓮佛美沙子、奈緒と趣味の良いキャスティング。モデルルームで面倒見の良い営業の奈緒。その上司の松角洋平が不気味。完成したマイホームの地下室の存在、監視の気配。不穏な空気を芦澤明子の原色を取り払っ>>続きを読む

Gメン(2023年製作の映画)

1.8

勢いのある学園コメディを作りたかったのだろう。しかし、ジャンプカットや細かいカット割りでスピード感を出しても、肝心の主人公の履歴がわからないので、なんでけんかに強いのか、わからない。「東京リベンジャー>>続きを読む

エリザベート 1878(2022年製作の映画)

2.2

何を言いたいのか、よくわからない。自由を得るには、現職ではムリ。結局、逃避という結末しかない。だが、ヒロインに共感を抱くことができない。彼女を取り巻く人々こそ迷惑(もちろん馬もね)。

春に散る(2023年製作の映画)

3.9

ボクシング映画にハズレなし。リタイアしたボクサーが、若者を育成、そしてチャンプを実現させるが、若者も同じ道を辿る。そこまでのプロセスと感情が見事に描けている。佐藤浩市と片岡鶴太郎の息の合った気持ちのや>>続きを読む

ナイン・マンス(1976年製作の映画)

4.0

就職2日目で、上司からプロポーズ。しかし彼女には婚外子を抱えていた。上司はそれを知ってもめげない。しかし両親にはそれを内緒にしているので、彼女から話してしまう。激高する両親。破局。だが、男はめげること>>続きを読む

アダプション/ある母と娘の記録(1975年製作の映画)

4.3

行動するのに許可が必要な社会構造。子供は校長の、大人は上司の許可を得なければならない。そのプロセスを経て、結婚や養子を得ることができた。だが、許可に基準があるわけでもなく、許可する資格も役職でしかない>>続きを読む

座頭市二段斬り(1965年製作の映画)

1.9

井上昭は描写が丁寧だが、面白くない。日活『波止場の鷹』と井上の『勝負は夜つけろ』は、同じ原作なのに、日活の西村昭五郎の方が格段に面白い。脇役の安部徹、洗練されたセリフ。それが井上には欠けている。『子連>>続きを読む

高校生芸者(1968年製作の映画)

1.3

弓削太郎の作品で良いと思ったものは1本もないが、本作も酷い出来だ。高橋一二の説明的脚本に従って、陳腐な話を詭弁のごとく強引に進める。勉学優秀で処女だから、わかめ酒でも清いままの真面目な女子高生とは、説>>続きを読む

君は行く先を知らない(2021年製作の映画)

3.4

長男を見送る家族の旅。ロードムービーだが、家族の様子は不穏に包まれ、はしゃいでいるのは次男だけ。父親の足のギプスは一緒に行けないとのメタファーか。ともあれ、このファミリーは好きになれないし、ダラダラし>>続きを読む

MEG ザ・モンスターズ2(2023年製作の映画)

3.4

深海の鉱物(レアアース)をめぐる善玉、悪玉の争奪戦だが、悪玉はMEGの餌食となる、都合の良い展開。ときおりホラー、スリラー的演出を見せるが、スプラッタ、人体破壊は一切見せないから、クライマックスのレジ>>続きを読む

花腐し(2023年製作の映画)

4.1

女優が監督と心中。女優の恋人が真相を探る。彼(綾野)は監督だが、5年も作品を撮れていない。アパートの大家から、立ち退きに応じない住人(柄本佑)を説得してくれと頼まれるが、その住人(脚本家)と意気投合、>>続きを読む

ぼくは君たちを憎まないことにした(2022年製作の映画)

3.6

パリのコンサート・ホールをテロリストが襲撃、多くの犠牲者がでるが、妻もその一人だった。夫と1歳半の息子を残して。夫は新聞社に手紙を送る。「ぼくは君たちを憎まないことにした」と。それは彼の決意表明であっ>>続きを読む