たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 10ページ目

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狂った果実(1956年製作の映画)

3.7

同じ女性を愛した兄弟を描く、言わずと知れた石原慎太郎の原作小説の映画化を初鑑賞。本作がフランソワ・トリュフォーを始めとしてヌーベルバーグに影響を与えたとの解説を聞いて観てみたくなった。本作以降、「男2>>続きを読む

水の中のつぼみ(2007年製作の映画)

3.6

思春期の少女の人知れぬ恋心を描いてて、偏見から周囲に嫌われてる孤独な美少女との繊細な交流が瑞々しかった。いろいろあったけど一番の心の支えになってくれるのはやっぱり親友なんだってところが「ブックスマート>>続きを読む

Pearl パール(2022年製作の映画)

3.9

前作「X エックス」の前日譚となる本作は、スターを夢見るパールがメンヘラを発露させていく姿を古き佳き時代のハリウッド映画スタイルで描いてて、戦慄のゴア描写とのミスマッチが活きてて良かった。特にエンドク>>続きを読む

大いなる自由(2021年製作の映画)

3.6

同性愛が法律で禁じられてた時代のドイツを舞台に描かれる男同士の性別を超えた友情に、何とも不思議な気分になった。3つの時間軸を入れ替えながら見せる構成が少々分かりにくく、ハンスが同性愛の罪で何度も刑務所>>続きを読む

遠いところ(2022年製作の映画)

3.7

底辺生活者の絶望的な現実を描いててキツかった。境遇に恵まれない未成年で子持ちの女性が生活苦から路頭に迷っていく話で、沖縄が舞台なのに開放感はゼロ。最近の邦画はクズ男が出てくるのが多くて、特に本作はまと>>続きを読む

夜ごとの美女(1952年製作の映画)

3.8

実生活に馴染めない音楽家の夢の世界への現実逃避を描くルネ・クレール監督1952年作品で、タイムトラベル要素を含む壮大なドタバタコメディが見応えあった。暗いイメージのあったジェラール・フィリップが、昨日>>続きを読む

悪魔の美しさ(1950年製作の映画)

3.7

ゲーテの「ファウスト」をベースにした、老科学者と悪魔の契約をめぐるドタバタを描くルネ・クレール監督1950年作品。ジェラール・フィリップがこんなに感情豊かに演技してるのを見るのが初めてで驚いた。老科学>>続きを読む

ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

3.6

台北を舞台に3人の男女の生活が交差する群像劇で、とりとめのない描き方に戸惑ったんだけど、各人が心の停滞を抱えつつ人とささやかな交流を持っていく姿にほんのりした余韻が残った。原題”Missing Joh>>続きを読む

ガッジョ・ディーロ(1997年製作の映画)

3.6

ロマの歌を求めて彼らが住む村を訪れたフランス人青年と現地住民の交流を描いてて、暖かい交流の様子を見てほのぼのしたと思ったところで最後に急展開となり、何とも言えない気持ちになった。タイトルの「ガッジョ・>>続きを読む

インディ・ジョーンズと運命のダイヤル(2023年製作の映画)

3.8

インディー・ジョーンズの5作目で、エンタメとしてまとまっててなかなか楽しめた。本シリーズは3作目までしか観ておらず、そんなに思い入れはなくて、「魔宮の伝説」だけレーザー・ディスク(死語)を買って何度か>>続きを読む

小説家の映画(2022年製作の映画)

3.7

創作意欲を失ってる小説家が偶然出会った女優に触発されて短編映画を撮ろうとする話で、会話中心のとりとめのない作風がホン・サンス監督らしかった。皆が取り繕った会話をする中で、ジュニがその上っ面のやりとりに>>続きを読む

山女(2022年製作の映画)

3.7

18世紀後半の東北を舞台に、冷害に苦しむ村での理不尽な扱いに翻弄される女性を描いてて、ノーメイクの山田杏奈の素朴な演技が光ってた。東北訛りのせいか、登場人物のセリフが半分くらい聞き取れなかった。泰蔵役>>続きを読む

その男を逃すな(1951年製作の映画)

3.6

気の弱い強盗犯の男がある一家に立てこもる話で、本作が遺作となるジョン・ガーフィールドが猜疑心に苛まれた哀れな強盗犯を演じる。「陽の当たる場所」のシェリー・ウィンタースがどこまでも気の良い娘役で、観てる>>続きを読む

子宮に沈める(2013年製作の映画)

3.5

これを観て気分が悪くなったというレビューを多く目にしたので恐る恐る鑑賞。平凡な家庭の母親がネグレクトに至る過程を描いてて、あえて主観を排した淡々とした映像からただならぬ異常事態が滲み出す。この母親がと>>続きを読む

スイング・ステート(2020年製作の映画)

3.6

アメリカの選挙戦の舞台裏を描くコメディ。アメリカ大統領選挙の壮絶な裏事情を描いた映画に「スーパー・チューズデー」があったけど、本作は田舎町の町長選で、小規模ながらもあの手この手の情報戦のすさまじさに引>>続きを読む

ロバと王女(1970年製作の映画)

3.7

ジャック・ドゥミ監督がシャルル・ペローの童話「ロバの皮」を映画化した1970年作品で、ドゥミ監督の最大のヒット作と知って驚いた(「シェルブールの雨傘」じゃないんだ)。格調高い弦楽に始まるミシェル・ルグ>>続きを読む

インサイド・ヘッド(2015年製作の映画)

4.5

今まで観たピクサー映画のうち断トツ好きな作品で、ブルーレイを買って何度も観直してる。人間の感情の擬人化と、彼らの存在する脳内世界が実際の脳のメカニズムに忠実に沿ってるのが見事で、人には喜びだけでなく悲>>続きを読む

スペードの女王(1949年製作の映画)

3.6

プーシキンの短編小説の映画化で、19世紀初頭のロシアを舞台にカードゲームの勝利に取りつかれた貧乏軍人の末路を描く。「赤い靴」に出演してたアントン・ウォルブルックが、堅実な男が欲望に狂っていく姿を見事に>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.5

山口淳太と上田誠のコンビが「ドロステの果てで僕ら」で見せた「2分間」の仕掛けを変奏し、使い古されたタイムループモノに新鮮な魅力を与えてて面白かった!‥んだけど、タイムループのターンが手持ちカメラのワン>>続きを読む

カード・カウンター(2021年製作の映画)

4.0

地味ながらジーンと来た。消えない罪を背負って死んだように生きてるギャンブラーが、復讐心に囚われた青年を救おうとする贖罪の話で、一人の男が己の業に向き合うところがポール・シュレーダーらしい題材に感じた。>>続きを読む

告白、あるいは完璧な弁護(2020年製作の映画)

3.9

面白かった!殺人事件の被疑者が有能な弁護士に無罪を立証してもらおうとする話で、深い人間ドラマはなかったけど、事件の真相が二転三転して何が本当か分からなくなって行く筋書きに引き込まれた。ネタバレ厳禁系の>>続きを読む

わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.6

デンマークの農場を舞台に、世間から身をひそめるように暮らす女性とその叔父との静かな生活を描く作品。Amazonの作品紹介文に「かぎりなく愛おしい」って書いてあるけど、一度は世間に目を向けた主人公が、あ>>続きを読む

アッシャー家の惨劇(1960年製作の映画)

3.3

ロジャー・コーマン監督作品は恐らくこれが初鑑賞。エドガー・アラン・ポーの小説「アッシャー家の崩壊」の映画化で、調べたら今までに何度も映画化されてるんだね。フィルムの状態が悪く、編集が不自然に飛ぶ箇所が>>続きを読む

エル プラネタ(2021年製作の映画)

3.5

新鋭のアーティストとして注目を集めるアマリア・ウルマンの長編監督デビュー作。ある母娘の何気ないように見える日常を淡々と描く中に、現実逃避の狂気が滲む感じがちょっと怖かった。母親役は、アマリア・ウルマン>>続きを読む

海峡、血に染めて(1961年製作の映画)

3.4

相反する立場の兄弟同士の葛藤を描く鈴木清順監督1961作品。清水まゆみ目当てで観たんだけど、出番があまりなくてちょっと残念。海上保安庁が密輸船を取り締まる映像的な迫力はなかなかすごかった。両者の対決の>>続きを読む

ザ・フラッシュ(2023年製作の映画)

3.9

面白かった!あまり好んで観ないDCモノの中ではかなり好きな方。フラッシュの「足が速い」という超人的な身体能力よりは、タイムトラベル要素が中心になってたのが意外で、過去に起きたことの結末は変えられないと>>続きを読む

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース(2023年製作の映画)

4.2

(2023/6/24吹替版)
1回目が字幕版で、その圧倒的な情報量に後半がよく分からず2度目を吹替版で観てみたら、めちゃくちゃ楽しめた!何より画面に集中できたし、声優さんが皆上手くて作品そのものに没頭
>>続きを読む

⻘いカフタンの仕立て屋(2022年製作の映画)

4.0

夫婦の究極の愛のかたちに心を揺さぶられた。モロッコの仕立て屋を舞台に主人とその妻がそれぞれ抱える苦悩を受け入れる姿を、セリフを極力排して目の演技で語らせるのが素晴らしい。人物のアップを中心とした静かな>>続きを読む

バタアシ金魚(1990年製作の映画)

3.5

同学年の女子に一目ぼれした男子高校生が恋に一直線に突っ走るド直球の青春モノで、主要な出演者がほぼ全員デビューもしくはデビュー直後という、いま観ると不思議な感覚を覚える作品。筒井道隆は映画が始まってしば>>続きを読む

苦い涙(2022年製作の映画)

3.7

中年男の恋の妄執を描くフランソワ・オゾン監督作品で、オリジナルのファスビンダー監督版は未見。赤と青の色の使い分けが印象的だった。舞台劇風の会話の応酬の中で、人生経験を重ねてきたはずの大人が子どもみたい>>続きを読む

夢みるように眠りたい(1986年製作の映画)

3.6

未完の映画の結末と誘拐事件の捜査という、一見無関係な要素が絡んでいく林海象監督の長編デビュー作品。全編をモノクロのサイレント映画に見立てた斬新な作りの中に大正時代の郷愁が混じり合い、タイトルの意味が分>>続きを読む

女狐(1950年製作の映画)

3.6

19世紀末のイギリスを舞台に、ジプシーの血を受け継ぐ女性が正反対の気質を持つ二人の男性との愛の間で揺れ動く話。マイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーの名コンビによるテクニカラーの圧倒的な美しさ>>続きを読む

ウィッチ(2015年製作の映画)

3.5

ロバート・エガース監督の長編デビュー作で、17世紀初頭のニューイングランドを舞台に当時の裁判記録や民間伝承から着想を得たホラー。同監督の「ライトハウス」や「ノースマン」のようなゴツゴツしたタッチは控え>>続きを読む

ガッデム 阿修羅(2022年製作の映画)

3.8

タイトルからバイオレンスアクションを予想したら全く違ってて、良い意味で裏切られた。実際の銃乱射事件に着想を得た群像劇で、漫画の世界と現実とがないまぜとなった話に引き込まれる。タイミングが一歩違えば犯罪>>続きを読む

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)

3.8

面白かった!戦慄のホラーというよりは、B級映画的な可笑しさの方が目を引いて、観てる間ずっと楽しめたね。AIがユーザーにとって理想的な振る舞いをするのは「エクス・マキナ」でも描かれてて、ミーガンのまさに>>続きを読む

逃げきれた夢(2023年製作の映画)

3.9

平凡に生きてきた中年男が、痴呆の発症をきっかけに冷え切った家族関係をなんとかしようとあがく話で、いわゆる記憶喪失モノかと思ったら全く違った。もし自分も家族を持ったらこんな風になるかもと、何だか人ごとに>>続きを読む