たくさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

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あるアスリートの告発(2020年製作の映画)

3.5

アメリカの女子体操業界で起こっていた幼い選手への虐待や性的暴行が、被害者からの告発によって白日のもとに晒される経緯を追ったドキュメンタリー。スポーツ業界のスキャンダルを描いた作品には、オリンピックのド>>続きを読む

嘘をつく男(1968年製作の映画)

3.5

難解で知られるアラン・ロブ・グリエの監督3作目で、ウォッチリストに入れたままなかなか手が出なかった作品。やっと観たけど、やっぱり良く分からなかった。レジスタンスの英雄の同志と名乗る男がその英雄の家族の>>続きを読む

青春怪談(1955年製作の映画)

3.7

親子2世代の恋愛事情をコメディタッチで描く市川崑監督1955年作品。連れ合いを亡くした独身同士の親世代と、あっけらかんとした子世代の価値観の違いが浮き彫りになってて、そこに百合要素が絡んでくる。タイト>>続きを読む

マーベルズ(2023年製作の映画)

3.4

事前に「キャプテン・マーベル」を観ておくべきだったと後悔。まずキャロルとモニカの関係性がよく分からなかったし、惑星アラドナの王子との政略結婚のエピソードも唐突で、かなり戸惑った。話の展開が「スター・ウ>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.6

生き辛さを抱えた人たちが、孤独に苦しみつつも自分のささやかな居場所を見つけようともがく重めの人間ドラマ。予告編で新垣結衣が取り調べを受けるシーンがあったので、てっきりクライムサスペンスかと思ってたら全>>続きを読む

理想郷(2022年製作の映画)

3.8

高い理想を掲げて辺鄙な土地に移住した夫婦と、彼らを受け入れない閉鎖的な地元民の対立を描いてて、予告編で現代版「わらの犬」とあったように、教養ある人物が荒くれ者にジワジワと狙われて行く構図が何とも嫌な空>>続きを読む

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)

3.8

面白かった!こんなB級路線に徹した作品は久々に観た気がする。老人がたった一人でナチスの残党兵に立ち向かう話で、あの手この手のアクションの見せ方は「ジョン・ウィック」もかくやと思わせ、思いもよらぬ危機回>>続きを読む

乳房よ永遠なれ(1955年製作の映画)

3.7

乳房を失った女性の絶望と生への執着を描いてて、田中絹代の監督作を観るのは「月は上りぬ」に続いて2作目。月岡夢路がまあ美しくて、女としての生き方を諦めつつも最後にほんのひと時の恋をつかむ姿が切なく、オル>>続きを読む

8番目の男(2018年製作の映画)

3.6


2008年に行われた韓国初となる国民参与裁判の顛末を描いてて、実話が基とはいえかなり脚色が入ってるように思った。民間の陪審員と法の執行者である裁判官の認識のギャップが、人が人を裁くことの難しさを浮き
>>続きを読む

フレンチ・ラン(2015年製作の映画)

3.5

パリを舞台に、テロリストと間違われたスリとCIA捜査官、フランス警察、テロ組織の四つどもえの攻防を描くクライムアクション。テンポ良くサクサクと観られて、中盤からのバディモノの展開もなかなか熱かった。デ>>続きを読む

レッド・ファミリー(2013年製作の映画)

3.6

どんより重い気分にさせられる映画。北朝鮮の工作員として韓国で暗殺を遂行し続ける疑似家族を描いてて、実際にこういうことが行われてるのかは知らないけど、切なすぎる話だったし、北朝鮮ならこういうことがあって>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

4.0

あまり期待してなかったけど面白かった!VFXの迫力が半端なくて、さすが山崎貴監督。映像だけでこんな感動する作品も珍しく、本作はまさに映画館で観るべき作品だね。昭和の空間の再現度も「ALWAYS 三丁目>>続きを読む

パトリシア・ハイスミスに恋して(2022年製作の映画)

3.4

レズビアンの人気作家であるパトリシア・ハイスミスの秘密に満ちた生涯を描き出すドキュメンタリー。本人のインタビューや日記、恋人、親戚などが彼女の恋多き人生を浮き彫りにする。同性愛に対する偏見から「キャロ>>続きを読む

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)

3.7

売れない漫画家がゾンビパニックの中で自分の弱さに向き合う話で、使い古されたゾンビモノの定型パターンを使いながらなかなか見応えあった。荒涼とした風景の遠近感のある映像や、迫力あるゴア描写にけっこうお金が>>続きを読む

地獄の警備員(1992年製作の映画)

3.4

事務所ビルの警備員が社員を次々襲う黒沢清監督1992年の不条理ホラー。美術商の高額な取引が出てくるのがいかにもバブル期の日本の雰囲気なんだけど、作品自体はかなりチープな印象。予算がなかったのか直接的な>>続きを読む

名もなき野良犬の輪舞(2016年製作の映画)

3.7

刑務所で友情を交わした男二人の皮肉な運命を描く韓国ノワールで、ソル・ギョングの善人とも悪人ともつかない演技が、ちょっと悪い役を演じる時のリリー・フランキーみたいで絶妙にハマってた。その彼が、母を思う純>>続きを読む

ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.8

仕事をしくじったことで自分が狙われる立場になった凄腕の殺し屋の容赦ない反撃を描く、デビッド・フィンチャー監督最新作。主人公が淡々としたモノローグの中で静かに計画を遂行していく手際の見事さに引き込まれつ>>続きを読む

愛にイナズマ(2023年製作の映画)

4.5

今年の邦画ベスト級。こないだ観た「月」から連続で傑作を繰り出してくる石井裕也監督は凄いね。しがない映画監督の花子と謎めいた青年との奇妙な出会いから、花子の家族たちの軋轢と再生に至る話で、濃密な140分>>続きを読む

白鳥(2023年製作の映画)

3.7

悪ガキから凄惨ないじめに遭った少年の1日を描く、ロアルド・ダール原作の短編の1つ。主人公が登場人物のセリフをほぼ一人で担当するという、ウェス・アンダーソン監督の短編4作品の中で一番無駄がそぎ落とされた>>続きを読む

(2023年製作の映画)

3.5

ある男の体に潜むヘビの駆除をめぐる騒動を描く、ロアルド・ダール原作の短編の1つ。ベッドの上で腹の上のヘビにおびえて1ミリも身動き取れない男が、ヘビがいないことが分かってベッドから飛び上がったとたんにカ>>続きを読む

ネズミ捕りの男(2023年製作の映画)

3.5

ネズミ捕りを生業とする男がその腕前を自慢げに語るも成果が出ず、チート的な方法でグロテスクな勝利を捻り出して周囲に引かれる話。Netflix配信のウェス・アンダーソンの短編の一つで、カメラワークと照明以>>続きを読む

(2023年製作の映画)

4.0

邦画の底力を感じさせる作品。実際に起きた障がい者施設の殺人事件をモチーフにした辺見庸の小説の映画化で、宮沢理恵の入魂の演技が抜群だったし、最近大注目の磯村勇斗のサイコパス感もハマってた。映像の暗い色調>>続きを読む

ヨーロッパ新世紀(2022年製作の映画)

3.7

ルーマニアの小さな村を舞台に、村民の外国人労働者に対する激しい差別意識が渦巻く話。監督の指示によりルーマニア語とハンガリー語、その他の言語で日本語字幕の色分けがされてて、多言語が飛び交うカオスな世界で>>続きを読む

イフ・アイ・ステイ 愛が還る場所(2014年製作の映画)

3.7

音楽家になる夢と恋人男性への愛との狭間で葛藤する女性がある出来事に遭遇し、人生における重大な決断をする話で、クロエ・グレース・モレッツの抑えた演技が引っ込み思案な役どころに合ってた。チェロの演奏姿も堂>>続きを読む

ヘカテ デジタルリマスター版(1982年製作の映画)

3.7

第二次世界大戦前夜のフランス植民地の北アフリカで、謎めいた人妻との情事に溺れていく外交官の話。中近東の音楽が流れる退廃的なムードに男女の激しい情事が包み込まれて、不毛な愛に嵌った男の醜悪さを引き立たせ>>続きを読む

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)

3.8

森の奥で少女が時空を超えて自分と同い年だったころの母親に遭遇する不思議な話で、とても可愛く繊細な優しさにあふれた作品。セリーヌ・シアマが監督や脚本で関わった作品はけっこう観てて、評価の高い「トムボーイ>>続きを読む

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.0

マーティン・スコセッシ監督最新作は、1920年代のアメリカを舞台にオイルマネーの権利を狙って次々とインディアンが殺されて行く実話を基にした話。ロバート・デ・ニーロの老獪さが役にピッタリで、マーロン・ブ>>続きを読む

Fair Play/フェアプレー(2023年製作の映画)

3.7

同じ職場で上司と部下の関係となった婚約者同士の醜悪な愛憎劇で、観てる間ずっと胃が痛くなるような展開だった。そこに金融業界の非情な世界の狂気が重ねられて、まさに地獄みたいな映画。「ハン・ソロ スター・ウ>>続きを読む

私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?(2022年製作の映画)

3.7

企業の利権絡みの大量解雇に反旗を翻した労組代表の女性が、襲撃事件の被害者から加害者に仕立て上げられて行くという事実を基にした話で、淡々と進む硬派な作りが却って事の不気味さを浮き彫りにしてた。彼女が長い>>続きを読む

スマイル(2022年製作の映画)

3.7

シンプルながら面白かった。精神科医が、自殺の連鎖を起こす「何か」に取り憑かれる話で、主人公の心情を直接表すような不安をかきたてるBGMが効果的。ジャンプスケアをふんだんに採り入れながら、B級映画っぽく>>続きを読む

カサンドロ リング上のドラァグクイーン(2023年製作の映画)

3.7

メキシコのルチャリブレを舞台に、実在するゲイのプロレスラーであるサウル・アルメンダスが逆境を乗り越えて自身の個性を開花させて大スターとなっていく話。メキシカンスタイルのプロレスのことを「ルチャリブレ」>>続きを読む

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

3.8

命知らずのお尋ね者の猫が「一つだけ願いを叶える星」をめぐって繰り広げる冒険譚で、予告編であまり興味を引かれずスルーしたけど、観てみたら話が良くまとまってて面白かった。コマ落としを効果的に散りばめたアニ>>続きを読む

スクールガールズ(2020年製作の映画)

3.5

スペインを舞台に思春期の少女たちの揺れ動く心を描いてて、少ないセリフで人物の表情に語らせる映像が瑞々しかった。その反面、説明を省きすぎて分かりずらい部分もあった。邦題とポスターの絵柄から、女子高生たち>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

3.7

トラウマを抱えた女性が持ち前の歌で前に進もうとする姿と、彼女と固い友情で結ばれた女性との関係を岩井俊二らしい叙情漂う雰囲気で描いてて、それをアイナ・ジ・エンドの癖の強い歌唱の魅力が支える。3時間が長か>>続きを読む

こちらあみ子(2022年製作の映画)

3.8

周囲に馴染めない少女の一人称視点で描いてて、人の心を理解できず孤独な境遇に追いやられる彼女が、それでも真っ直ぐ生きていこうとする姿にジーンと来た。あみ子を取り巻く人々が皆な弱い人間で、それが一見弱者に>>続きを読む

LONESOME VACATION(2023年製作の映画)

3.8

リーゼントを決めた探偵が元恋人の調査依頼を請け負う突飛な話に、大人の不倫と若者のささやかなロマンスが絡むという奇妙な青春要素があって面白かった。ポスターから汗臭い内容を予想してたらすごく繊細で、文学口>>続きを読む